好きで好きで好きで好きで
大好きなんです
目覚めてすぐのぼやけた視界がクリアになり、真っ先に目に入るのは端正な顔。
以前ならその事に驚くだけでなく違和感を覚えていた。
だが、今は違う。
を抱きしめる形で密着している自分以外の心地よい体温と、
その人の存在に思わず口元に笑みが浮かんだ。
甘ったるい思考で脳内が侵食される。
不安で堪らなかった時にも今と何ら変わらない状況になった事など数えきれないくらいある。
だけど相手の気持ちが見えなかった頃には無かった余裕が、
今のには素直な幸福感を覚えさせてくれていた。
既に十分密着していると言うのに、は自分から更に体を寄せ、
ブラッド=デュプレ、その人の頬に片手で触れる。
そしてゆっくりとブラッドの形のいい唇の自分の唇を触れ合わせようとした。
その時だった。
「そう言う事は、起きている時にして貰いたいものだな・・・」
「っ、ブラッド」
唇が重なる直前にいつもより一層気だるげで艶のある声でそう囁かれる。
同時にブラッドの湿った吐息がの口元を撫でた。
「・・・・もしかしてずっと起きていたんですか?」
「いいや、目覚めたのはたった今だ。・・・だが、いい時に目が覚めたものだな」
至近距離のブラッドの唇がニヤリと吊りあがる。
だが、それは意地の悪い笑みとは程遠い、
機嫌がいい時に見せるものだと言う事ははもうよく知っていた。
「ふっ・・・、、君から私にキスをしてくれるんだろう?」
ブラッドは再び囁く様な声音でそう言って、
未だに彼の頬に触れたままのの手に自分の手を重ねた。
間近にあるエメラルドグリーンの瞳に甘い熱が宿っているのが分かる。
は小さく頷くと、自分からブラッドの唇にキスをした。
啄ばむように一度、口付ける。
以前のならブラッドが目覚めた時点でこんなに素直に彼の言う事を聞いては居なかった。
ブラッドの事は勿論その時から好きだったが、それでも彼の気持ちが見えなかったこともあり、
いつも躊躇いが生じていた。
そしていつも今更のように、画面越しのプレイヤーとしてじゃなく、
当事者になってブラッドに恋をしてしまった事を後悔したものだ。
だが、今は違う。
今は、が馬鹿みたいにこの人を好きになってしまった様に、ブラッドもまた、
余所者で役なしのカードと言う珍しいものとしてでなく、
をとして想ってくれているのが分かる。
体だけの繋がりじゃなくて、心まで繋がってると、ブラッドは彼なりのやり方でに伝えてくれた。
勿論、相手が相手だけに、こうなるまでにはお互い笑える位の紆余曲折があった訳だが。
「・・・」
熱のこもったうっとりとした声での名前を呼んだブラッドが、その唇ですぐさまの唇を塞ぐ。
両腕を体に絡められ、更にの太ももを割ってブラッドの長い脚が滑り込んで来た。
裸のままの肌と肌が隙間なく密着し合い、再び熱を持って汗ばみ始めるのが分かる。
その瞬間にもう嗅ぎ慣れた薔薇の香りがの鼻孔を満たした。
その事にどうしようもなく幸せを感じる。
甘い、甘すぎる溶けた思考に苦笑しつつ、それが全然嫌じゃない。
の口内で舌と舌が縺れ合う。
生温くとろみのある唾液が混ざり、ちゅくり、といやらしい水音をたてた。
「ブラッド、・・・好きです・・・。大好き」
キスの合間に熱に浮かされたように囁くと、抱擁が一層強くなった。
濡れた唇を触れ合わせたまま、間近にある切れ長の瞳と視線を絡み合わせる。
「まったく困ったお嬢さんだ・・・。この私を随分と狂わせてくれたものだな・・・。
だが、それを心地いいと思ってしまう。
厄介な事だ・・・。今の私は自分でさえ始末に負えないぞ」
「ブラッド・・・」
そこで不意に、ブラッドは珍しく苦笑に近い笑みを浮かべた。
艶やかさは変わらないものの、その奥には穏やかな優しさが滲んでいる。
きっとこの表情は、以外の人間には見せないものだ。
そうであって欲しいと心から願ってしまう、そんな顔だった。
心が震えて、どうしようもなく愛しさが込み上げてしまう。
だってとっくの昔に狂っている。
「私も、君が好きだ、。恐らく、君が想っている以上に・・・な」
続けて囁かれた台詞に、涙が出そうなほどの幸福感を覚える。
あまい甘い、甘すぎる、糖蜜の空間に溺れる。
は微笑を浮かべると、ブラッドに返事をした。
「どっちが、なんて比べられない位には、想っていますよ・・・」
この答えで、が喜んでくれればいいと願った。
それはこの答えの意味を、ブラッド自身も分かってくれていると言う事だからだ。
ブラッドのへの想いの重さをの彼への想いと重ねて、
その想いが強ければ強いほど、の返事の意味をよく分かってくれると言うことだ。
こんな幸せは、きっと他には得られない。
END
アトガキ
・・・・・・・・・・・・・・・・・、ど、どどどど、どうしよう!?これ(笑)。
予想以上の糖分配合値に自分自身であわあわしてました。
いや、これがこの企画のコンセプトなんだからいいんだろうけども!けどもおおお!
ただ、誤字脱字チェックの為にもう一回読み返すのがものっそ辛かった(笑←てめぇで書いといて)。
役なしヒロとブラッドの未来的なお話のひとつです。
彼女は多分、相手の気持ちが分かれば早い段階で他のヒロインより素直になると思います。
スランプの延長線上に有るんですが、そのせいもあってメチャクチャ恥ずかしい気がする!
ではでは、ここまでのお付き合い、誠に有難うございますv 失礼します。
Title by ユグドラシル