珍しいこともあるもんだと思った。
今、たちは、清々しい位に普通の気分転換をしてる。
しかも提案して来たのはあの少年悪魔どもからだった。
最初に気分転換にどこかに行こうと誘われたときは、
正直並みじゃなく身構えただったけど、それは余計な心配だった。
この双子にも常識的な思考回路が働くことがあるのだと安心している。
結局今達が何をしているかと言えば、ピクニックに来ているのだ。
ピクニック。
なんて健康的で清々しくて、ほのぼのとした響きだろう。
今まで散々危険な遊びに付き合わされてきたが、
こんなに普通の気分転換を満喫する機会を双子がに与えたのは初めてだった。
そりゃまあ、ブラッドやエリオット、
アリス達も含めて皆でピクニックってのは何度かあったけど、
それはあくまで皆と一緒であって、少年悪魔どもだけと言う訳じゃなかったし。
ピーチチチチッ・・・
周囲を緑に囲まれ、鳥のさえずる声がする。
空は変わらず快晴。
そんな中、シートを敷いてお弁当を広げている達三人。
美少年な双子に挟まれて、景色を眺めながら和やかに時間を過ごす。
このハートの国に来て初めて、は今心から平穏な時間を過ごしてる気がする。
いや、間違いなくそうだ。
大抵いつもいつもいつもいつも、
このドグサレツインズがの平穏をぶっ壊してくれるから。
でも、今回はそれもないみたいだし、
何よりピクニックに行こうと言いだしたのはこの二人。
今回だけは感謝しておこう。
「でも意外だよね、兄弟。お姉さんって料理上手だったんだ。
お弁当をお姉さんが作るって言い出したときは何を出されるかと冷や冷やしたけど、
心配しなくてもよかったよ。性格と料理の腕は比例しないみたいだ。」
「そうだね、兄弟。凄く意外だけど料理上手だよね。
家庭的だとお金がかからなくて安心できるよ。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
感謝しておこう。いつも通り失礼過ぎるけど・・・、今だけは、今だけはね。
双子どもの減らず口にグッと我慢しつつ、料理を口に運ぶ。
そう、今回はがお弁当を用意した。
3人分なんて初めてだったけど、メイドさん達に手伝ってもらいつつどうにか完成。
自分で言うのも何だが中々の会心作。
和食から洋食からごちゃまぜではあるけど、見た目も味も今までで一番。
こっちに来て料理の腕が上がった気がする。
「・・・ねぇ、兄弟。」
「何だい?兄弟。」
「ん?」
料理を食べ終えて空になったお弁当箱に蓋をして片づけている最中。
ダムがディーに声を掛けた。
そして、いつものように双子にしか分からない、視線で会話を始める。
・・・・・・・・・・・・・・・すっっっごく、嫌な予感がしてきたのは、気のせい?
まさかね・・・・まっさかねぇ・・・・?
大抵において少年悪魔たちが目で会話する場合、
にとっては激しく遠慮願いたい事態が転がり込んでくる。
特に――――
くすくす。
くすくす。
この、クスクス笑いを、奴らが始めた場合には警戒が必要、だ。
最悪・・・・だわ。
は警戒色を露にした瞳で少年悪魔どもに視線を送った。
何やら楽しげに小さく笑い声を立て続ける二人。
そして、ディーがにっこりと少年らしい笑顔をに向ける。
「お姉さんが美味しい手作りのお弁当を作ってくれたお礼に、
僕達もお姉さんに美味しいものをあげようと思うんだ。」
「・・・・・・・はい?」
予想外のディーの台詞に、間抜けな声で問い返す。
ダムが続けて言った。
「勿論、お姉さんの作る料理も美味しいよ、けどね、もっと美味しいものがあるんだ。」
「?もっと美味しいもの。あ、もしかしてデザートでも用意しててくれた、とか???」
二人の言葉の意味がイマイチ読み切れず、は更に問い返した。
双子が益々意味深に笑いだす。
「デザートかぁ、いいね、その表現。お姉さんはやっぱり大人だよ。」
「そうだね、兄弟。やっぱり大人だ。」
くすくす。
クスクス。
嫌な予感はほぼ確信に近くなってるのに、この二人の意図が全く読み取れない。
と、不意に双子が同時にズズイとに近付いてきた。
「「お姉さん。」」
「え?ってか、近い!!近い!!近い!!何なのあんたたちっ!」
身の危険をひしひしと感じ、は座ったまま後ずさろうとする。
そこへ一瞬突風が吹き、周囲の木々がざわざわとざわめいた。
「デザートはお姉さんだから、僕達にとってはこれ以上美味しいものなんかないんだよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
瞬間。
の思考がフリーズする。
そして体も。
イマ、コイツ、ナント言イヤガッタ!!??
硬直したままのの肩を右をディーが、左をダムが掴んで、ゆっくりと押し倒す。
目の前に広がる青空。
だったのは一瞬で、ディーとダムが笑顔でを上から覗きこんできた。
「「ねえ、お姉さん。外って、燃えない?」」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はっ・・・・・・・・・放して!!!放しなさいっ!!
何考えてんの!?燃えない燃えない燃えないから!!!」
こんの××××どもぉおおおお!!!
完璧に罠にハマっていた。
つまりそういうこと。
奴ら双子の狙いは最初からここにあったに違いない。
ディーがニヤリとした明らかに少年にあるまじき笑顔を張り付けて、の唇を塞ぐ。
その間にダムがのシャツのボタンを着々と外していた。
「・・・ッン!〜〜〜っっ!!」
抗議の声をあげようと口を開いた所を、
狙い澄ました様にディーがの口内に舌を侵入させる。
そしてダムは嫌になる程慣れた手つきと素早い行動で、
の胸元を完全に裸にしていた。
「お姉さん興奮してるの?フフ・・・やっぱり外って燃えちゃうんだ。」
そうの耳元で囁きながら、
ダムはの胸を小さめの掌でゆっくりと撫でまわし始めた。
その指先がの胸の突起を掠め、無意識にビクビクと体が震えて反応する。
声を上げそうになるものの、口はディーに塞がれたままだった。
神様!!神様!!!今こそこの××××ツインズに天の裁きを!!!
死ね!!死んでしまえ!!!即死して、お願いだからっ!!
ピーチチチチッ
の必死の願いも虚しく、周囲からはのどかな鳥のさえずりが聞こえるだけ。
ドグサレ少年悪魔がやっている卑猥行為とは裏腹に、
の頬や胸元を撫でる風はいやに心地いい。
「お姉さんはやっぱり美味しいや。甘くて、やわらかくて、大好き。」
「うん、大好きー!」
無邪気に声を合わせてそう口にしながら、ディーがのスカートを捲りあげる。
ダムがねっとりとの耳朶を舐めた。
「ふっ・・・ァっ・・・ディー・・・ダムっ・・・!いい加減に、・・・止めて。
って言うか、のこと好きなら止めて!」
「どうして?お姉さんこんなに興奮してるのに。」
「そうだよ、お姉さん自分が思っているより凄く凄く興奮しているよ。」
聞く耳を持たない。
そんなことはもうずっと前から知ってたけど、
それにしたって今回ばかりはこの状況に流される訳にはいかなかった。
事実上、双子とは強制的にもう何度も『こういう』関係にはなっているし、
だって何だかんだで結局彼らを好きだと言う事は認める。
だけど。
だけどそれとこれとは話が別。
全く別。
「ディー、ダム・・・!止めないともう2度とあんたたちには近寄らないから!!!」
ピタリ。
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」」
半分ヤケクソで叫んだ台詞。
だけど、予想以上に彼らに効果があったらしい。
二人の動きが停止した。
「お姉さん…今の、本気なの?」
「僕達を捨てるつもり?」
は素早く体を起して着衣を整える。
双子に視線を向けると、泣きそうな程潤んだ瞳でを見つめていた。
「捨てないで、お姉さんっ!僕達お姉さんがおかしくても変でも大好きなんだ!」
「そうだよ!捨てないでよ。僕達お姉さんが変でもおかしくても大好きなんだ!」
こっ・・・・・・・・・こいつら・・・。
どうしてもを変なヤツと言う認識を改めるつもりはないのか、
こんな時でもそこを強調する。
は深く大きな溜め息を吐いた。
被害者はなのに、何なんだ、この少年悪魔どもは。
「じゃあ外でこんなことしないって約束してよ。」
シャツのボタンを全て止め終え、は立ち上がって二人を見下ろした。
「・・・・・・・・仕方ないよね、兄弟。」
「そうだね、兄弟・・・。」
心底残念そうな表情でお互いにそう言って、双子は同時に立ちあがる。
そしての体に左右から腕を回してきた。
「もうしないよ、絶対にしない。だから機嫌を直してよ。」
「そうだよ、もうしない。お姉さんが屋外で×××するの嫌いなんだって分ったよ。
凄く興奮してたように見えたけど、アレも演技だったんだね、大人って凄いや。」
・・・・・・・・・・・・・・・おい!!!!!!!!!
最後の最後まで一言多い少年悪魔。
だけどどうやら本気で反省したらしく、手を出してくる様子はない。
その後達は和やかに会話を楽しんで、
時間帯が夕方になったところで屋敷に戻ることにした。
「ピクニックは楽しかったしお弁当も凄く美味しかったけど、
何だかやっぱり物足りないや。」
「そうだね、お金のかからない腹ごなしでもしようかと思うんだけど、どう思う?兄弟。」
「そうだね、それがいいよ、兄弟。僕達がうんと楽しめる運動をしたいよね。」
を挟んで左右。
ステレオモードのディーとダム。
並んで歩きながら、いつもと同じように無視の会話が進んでいる。
「あっ・・・運動ならパス。一眠りしたいから、やるなら二人でやってね。」
一応一言断わりをいれておく。
コイツらのおかげで無駄な疲労指数を上げてしまった為、
今から運動なんか考えたくもない。
「駄目だよ、お姉さんも一緒じゃなくちゃ意味がないんだから。」
「ええ!?でも疲れてるんですけど。」
「大丈夫、大丈夫、きっとお姉さんも喜んでくれることだよ。」
「はい?いや、本当にいいからさ・・・。」
「ううん、大丈夫だよ。」
執拗に食い下がってくる双子ども。
は眉間にしわを寄せて二人に視線を向けた。
すると、ディーがにっこりと笑顔を見せる。
「眠るのと同じだよ。三人で寝て、運動も出来ちゃうんだ!凄いでしょう!」
「凄いよね!お姉さんもきっと悦んでくれると思うよ!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
こ、これは、この展開は。まさか・・・・こ、コイツら・・・・・・・。
サァー。
の体全体から血の気が引いていく音がする。
ディーとダムが、がしっとの腕を力強く掴んだ。
「ちょっ・・・!ちょっと!?」
「やっぱりデザートはしっかり食べなきゃね。物足りないままじゃつまんないよ。」
「僕達育ち盛りだから、デザートまで食べないと食事した気分になれないんだ。」
ずるずる、ずるずる。
引きずられながら、は少年悪魔達の巣へ連れられて行く。
ああ!!ああ!!あああああ!!もう!!!!
いつかあの黒光りする例の斧で、奴ら双子をぶった切ってやりたい。
絶対に叶いはしないと分かっていながら、
は強く強くそう願わずにはいられなかった。
逃れられない檻に捕らわれている自分自身に気付かないふりをして。
END
双子たちの
無邪気な檻
逃げないでね、お姉さん。逃がさないよ、お姉さん。
僕達の極上でたったひとつの最高のお菓子!