「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
スタスタスタスタスタ。
「・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
スタスタスタスタスタ。
無言での前を歩き続けるエリオット。
あれからお互い一言も言葉を発してない。
って言うか、エリオットは未だに相当怒り心頭状態を保ったままのようだった。
こんな彼は今まで見た事がない。
大体において、何があってもまずエリオットが折れて、
結局いつも通りと言うパターンに慣れ切っていたから。
だけどどうやら今回ばかりはそう簡単にいきそうにない様子。
は彼の背中に視線を向けながら、深い溜め息を吐いた。
何にしろ、このまま会話なしで帽子屋屋敷に戻るのも気まず過ぎる。
はエリオットに気付かれないよう深呼吸し、
それから彼に話しかける事を決心した。
決心。
なんて、大げさな言い方っぽいけど、ハッキリ言って、
今のエリオットは殺気を発散し続けていると言ってもいい位鋭い空気を纏っていた。
「エリ――――・・・?」
ピタリ。
が声を掛けようと口を開いたのとほぼ同時に、
前を歩いていたエリオットが急に立ち止まった。
は咄嗟に口を閉じると彼を見つめる。
と。
クルリ。
「っ!?」
今度は唐突に彼が振り返り、有無を言わさぬ態度での肩を抱き寄せると、
そのまままるで引きずられるようにして強引に連れ去られてしまう。
余りに急過ぎるエリオットの行動に、は一瞬目を白黒させながら声を上げた。
「え!?ちょっと!?何何っ!?」
「・・・・・・・・・・・・‥・・・・・・・・・。」
「エリオット!?ねぇ、何所に連れてく気!?いたっ!痛いんだけどっ!!」
明らかにいつもより乱暴な感じのする扱いで、
彼はの肩に回している腕に益々力を込めた。
帽子屋屋敷に続く道の途中にある森の中に入った途端。
グイっとを振り回すように腕を動かし、
エリオットは荒っぽくの背中を大きな木の幹に押しつけた。
「っつ!」
「・・・。」
「エリオット!痛い、放しっ――「うるせぇ。」
「!!」
マフィアモードがオンになったままなんじゃないかと思う程、
ドスの利いた声でたった一言、返される。
はビクリと身体を震わせると、咄嗟に怯えた目で彼を見上げた。
怖い。
本気、ここまで怖いエリオットは初めてだ。
「、俺は・・・あんたのことが大好きだ。好きで好きで堪らなくて、
ムチャクチャ大事にしてやりてぇと思ってる・・・。」
「・・・・・・・・・・エリオット・・・。」
「けどっ・・・けどな・・・・」
そこで彼は言葉を切り、の両肩を抑えつけている手にまたしても力を込める。
肩が砕けるんじゃないかと思う程の圧迫感。
は小さく息を呑む。
「ああやって、他の男と楽しそうにイチャついてんの見せられて笑って居られるほど、
俺は心の広い男じゃねぇんだよ。しかも相手はあのクソ野郎だ!!
あんた、俺がアイツをどう思ってるのか知ってんだろう!!??それともマジでアイツが好きなのか!?」
「ち、違う!違う!絶対そんなんじゃないわ!ユリウスは友達で、
それに大体ユリウスにはアリスが居るって知ってるでしょ!?」
激昂と言ってもいい位興奮しているエリオットに、はただ必死で訴える。
こんな状況は未だかつて陥った事がない。
無意識に声が震えていた。
「が好きなのはエリオットだけよ、・・・エリオット・・・。」
「じゃあ、何だってアイツの側に居たんだよ!?
何であんな・・・・、腕組んだりなんかしてたってんだ!?」
「あれは・・・ふざけてただけで、本当に深い意味なんか全くないよ!全然ない!」
「ふざけて・・・?じゃああんたは、ふざけて誰にでもああいう事するっつーのか!?」
「違う!そうじゃなくて、そうじゃなくて・・・!」
ああああ!もう!!最悪だ。
本当に本当に本当に最悪だ。
まさかあれがこんなことに繋がるなんて。
は必死にエリオットに信じてもらえるように言葉を探した。
でも出てくる言葉はベタベタで陳腐ないい訳ばかり。
彼は益々苛々した表情を見せてる。
あり得ない。
いつもはばりばり癒し系のエリオットに、こんな顔をさせてしまうなんて。
「ごめん、エリオット。だけど本当に違うから、そんなんじゃなくて。」
「・・・・・・・・・悪ぃ・・・、・・・・・・・・・けど、今回ばかりは俺も我慢できねぇ・・・。」
「え!?――むっンっ・・・・・!!」
一瞬エリオットは地面に視線を移して俯いたかと思うと、
唐突にの唇に向かって自分の唇を押しつけてきた。
本気、食い千切られるかと思うくらい激しく、キスをされる。
噛みつく、じゃない。
食い千切られるのだ。
今のエリオットからはいつもの可愛らしい空気なんか微塵も感じられなかった。
の唇に自分の舌をねじこむように強引に挿し入れ、
息継ぎする暇さえ許さないような勢いで激しく唇を貪られる。
と彼の口内はあっという間にお互いの唾液でどろどろになっていた。
そうして、その間に彼はのシャツからボタンを引きちぎるつもりじゃないかと思うくらい、
荒っぽい手つきで洋服を脱がせていく。
「ァっ・・・やっ、ちょっと・・・、・・ここ、外・・・っ!」
「関係ねぇ・・・。」
どうにか唇を離された合間に夢中で言葉を発して訴えるに、
エリオットは低く掠れた声でそう答えた。
最悪だ。
これはもうスイッチが入ってしまっている。
獣スイッチが。
「っ・・・!」
再度、唇を塞がれ、喉の奥まで彼の熱い息で満たされて、
息苦しさには眉間に刻んだしわを深くした。
ブラを強引にずらしたエリオットの大きな掌が、の胸を乱暴に揉みしだく。
そしていつもより強めに力を入れ、彼が指先での胸の突起を転がした。
「いやっ、痛っ!」
「少し我慢してくれ・・・・・・あんたには、
・・・俺の気持ちをしっかり知ってもらうんだからな・・・。」
湿った吐息をの肌に吹きかけながら、
エリオットは今度はの肩口に顔を埋める。
同時に無理やりに太腿を割って、彼の長い脚がの脚に絡みあわされた。
「エリオット・・・っ・・・ハぁ・・・っ」
は拒んでる。
全力で、夢中で、必死で。
なのにどうしても口から零れ出る自分自身の甘みを帯びた声を抑えこむことが出来ない。
「許さねぇぞ・・・。あんたには俺しか見て欲しくないんだ・・・。」
「っ・・・エリオット・・・!」
結局、彼の激情に引きずられるようにして、は抵抗し続けることを諦めるしかなかった。
「・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・。」
「なぁ、・・・その、怒ってるか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
時間帯が変わって夜になった。
とエリオットは木の根元に座り込み、
はエリオットに寄り添ってぐったりと頭を項垂れさせている状態だった。
時間帯が回ったおかげでぐちゃぐちゃだった洋服は清潔さを取り戻している。
の肩を支える様にして抱いている彼の手は、
さっきまでと違っていつもと同じように優しい。
「・・・・・・。」
チラリ。
視線を上げると、無言のままのを怒っているのだと判断したらしい彼は、
ウサギ耳をへにゃりと垂れさがらせてしょんぼりとした表情を見せている。
これはある意味で反則技だ。
今回のことはに非があったことは全面的に認める。
これは本当に。
だけど、だけど、だけど、だ。
あの、あれはないんじゃないだろうか。
まさか好きな人とシて真実の意味で殺されると思うことがあるなんて、
(気持ち良くて死ねるとかそんな可愛らしい乙女な感覚では断じてない、
この場合は真の意味で殺害されると言った感じだ)思いもしなかった。
だけど、こんなに思いっきり落ち込まれたんじゃあ、
責める言葉なんか掛けられたもんじゃない。
寧ろこう、キューンときてしまう。
プレイヤーとして見ていた時より、
リアルで目にすると破壊力抜群のエリオットの可愛さ。
チラリ。
もう一度見てみる。
さっきと変らず、ううん、さっきよりもどよーんとしょぼくれているエリオット。
よりかなりデカイ身長のくせに、そこにはちっさいウサギさんがいる。
ある意味でペーターの兎化よりリアルに兎っぽい。
(と言ってもこっちは生で目にしたことがないけど)
ああああああああもおおおおおおおおおおおお!!!
「―――怒ってない。」
「へ?」
「怒ってないって言った。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
キラキラキラキラーーーン☆
と言う、あからさまに素敵な効果音が聞こえてきそうな表情を見せるエリオット。
どうしよう、マジでもう、可愛過ぎる。
あんな、死にそうな目に合わされといて、
これだけで全部無かった事にしそうな自分が怖い。
「!!!俺やっぱりあんたのことが好きだ!!愛してるぜ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、も・・・大好き・・・。」
あああああああああああああああああ!!
もおおおおおおおおおおおお!!!!
何てベタベタ甘々な言葉を返してしまってるのよ!!はああああ!!
心の中で絶叫しつつも、彼に抱き寄せられると抵抗できない。
もう、なされるがままだ。
「だけどな、。」
「うん?」
不意にから腕を解いて、エリオットが少しだけ距離を置いてを見下ろす。
そして真剣な眼差しで先を続けた。
「今回みてぇな事は、絶対ぇなしだからな。俺だけ見てろよ、。」
「・・・・・・・・・・・・‥‥・・・・・・・・・はい、肝に銘じておきます。」
END
優しくしたい
泣かせたい
あんたが好きで堪らない。制御出来ないこの想い。