「ん・・・・。」
ゆっくりと瞼を開け、必然的に視界に入る見慣れた天井。
だけどここはの部屋じゃない。
ソファの上、ブラッドの部屋。
ぼんやりとした表情のまま、欠伸をかみ殺して、緩慢な動きで体を起こす。
その拍子に、の上に掛けられていたらしいブラッドの上着が、
パサリと小さな音をたてて落ちた。
「おや、お目覚めかな、お嬢さん。」
「・・・・ブラッド・・・。」
落ちた上着を片手で拾い上げたところで、ブラッドに声を掛けられた。
彼の方へ視線を移せば、一人、優雅に紅茶を楽しんでいる。
これはもう毎度目にする光景。
今のところはブラッドが紅茶以外の飲み物を口にしている場面に遭遇したことが無い。
そう言えば双子も、あの人の成分は紅茶なんじゃないかと噂してたな、と思い出す。
「時間・・・今は夜のまま?それとも変わった?」
「たった今新しい夜が来たところだよ、。
ああ、良ければ君も紅茶を飲まないか?新しい茶葉が届いたばかりなんだ。」
「ん、じゃあ貰おうかな。」
言って、がソファから立ち上がろうとすると、
ブラッドは口元に笑みを浮かべてそれを片手で軽く制した。
「そこに居なさい、。私がそちらに行こう。」
「ありがと、ブラッド。」
も笑顔で答え、床に脱ぎ捨ててあった自分の洋服を手に取る。
今のはほとんど下着姿に近い。
せめてシャツ位は身につけたかった。
と、そこで背後からの耳元にブラッドの唇が触れ合わせられた。
「服を切る必要は無いぞ、。どうせすぐに脱がせることになる。
それとも私の楽しみの為に着てくれるのかな?」
「・・・・こんな恰好で紅茶は飲めないでしょ・・・。」
思わず呆れた口調になりながら、手にしたシャツに袖を通す。
ブラッドが紅茶を前にしてこんなことを言い出すってことは、今はかなり機嫌のいい証拠。
そう言えばここ最近、昼が来てない。
スケジュール帳が手元に無いからハッキリしたことは言えないけど、
確か夕方と夜の繰り返しの上に、夜はこれで4回目位じゃないだろうか。
が紅茶を飲み終えると、ブラッドは見計らっていたようにしてをソファへ沈めた。
前々から思っていたけど、としてはこの状況、複雑な気分だ。
ソファと言えば、ゲームでもかなり印象的な『使用法』をされてる。
と言うか、まんま、ゲーム内でも今の状況な訳だが、
彼は親密になった相手をここで押し倒さないと気が済まないのかと本気で疑問に思ってしまう。
アリスじゃないけど、ソファでするのが好きなのかとか、微妙な思考が働く。
「・・・何か、最近ずっとブラッドの部屋に入り浸ってこのソファから動いてない気がするわ。」
いや、気がする、じゃなくて、そうなんだ。
連続する夜の時間。
は極力この部屋から出てない。
何かって言うとこうしてブラッドとだらだら過ごしてる。
「くっくっ・・・、いいことじゃないか、
つまりそれは常に私と過ごしていると言うことだ。君はそれが不満なのかな?」
「不満っていうか、・・・アリスが恋しい・・・。」
ついさっき身につけたばかりのシャツを早速脱がされてしまいながら、は小さく溜息を吐いた。
そう、なんだかんだ言って、は『ハートの国のアリス』の主役である彼女のことがとにかく気に入っていた。
彼女は自分を根暗で姉に比べて魅力に乏しいと思っているらしいけど、
実際にアリスに接してみてよく分かるのは、彼女の飾らない魅力だ。
まぁ、アリスはこの世界を自分の夢だと思い込んでるわけだから、
飾ったところで意味がないと思っているみたいだけど。
とにかくは、彼女を本当に気に入っていた。
「何だ、君はそちらの趣味もあったのか・・・。だが、男は私だけにしておくことだ、。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ナニイッテンノ。」
思い切り冷ややかな視線を向けるに構わず、ブラッドはニヤリとまた口元に笑みを浮かべた。
帽子を被っていない彼は、いつもより何処か幼く見える。
瞳に宿るオーラはマフィアのボス独特の威圧感と凄みがあるけど、
以前よりもそれにも慣れてしまっていた。
鎖骨から胸元に掛けて滑るブラッドの白い手袋の布の感触。
手袋越しに触れられると、何だか少しムカついてしまう。
「手袋は外して欲しいんだけど。触るなら直に触って。」
言ったすぐ後に、自分の言葉の表現の露骨さに絶句した。
ナニイッテンノ。
は、の方だ。
「嬉しいことを言ってくれるじゃないか、そう言う煽り文句なら大歓迎だ。」
の気持ちを知ってか知らずか、ブラッドはさも楽しそうに更に口の端を引き上げて笑った。
こうしてみると、悪役そのものの笑顔だ。
2次元である場合、こう言う類の笑顔には惹かれまくるではあるけど、
現実に目にして見ると馬鹿にされたような気分になる。
とは言っても、ブラッド程の美形のこの手の顔は、やっぱりムカつく位様になっていた。
「・・・煽るつもりで言った訳じゃないわよ。」
「無意識に口にしたのか?ならば今のは君の本心だと言うことだ。
君は私にこの手で直に肌に触れられることを望んでいる。」
口にしながら、彼は手袋を外した素手での胸元をゆっくりと撫で回した。
ブラッドの指先が胸の先端を焦らす様にして掠めていく。
その度にの体が知らず知らず小さく震えた。
「違っ・・・ッ・・・」
「使い古された言葉だが、体は正直だな。そうは思わないか?お嬢さん。
ここ数日で私は君の性感帯には随分と詳しくなったよ。」
「ブラッド・・・!!」
何、コイツ。
何コイツ、何コイツ、何コイツ!!
耳元。
ねっとりとの耳朶を這い回るブラッドの熱い舌。
そんなつもりは全くないのに、の体が反応し、体温が上昇を始める。
「今回もとてもいい夜になりそうだ。そう、とても気持ちのいい夜にね。」
瞳を細めたブラッドが、の耳元で直に鼓膜を震わせるような声でそう、囁いた。
(終わり)
後書き
いまいち文章にまとまりがないのですが、ネタが上がってるうちに急いで書き上げました。
名前変換が少なくて申しわけありません。読み返したら2回位しかなかった様な・・・。
何か私の書くブラッド・・・微エロ方面固定になりそうな予感。はっはっはっは・・・。
ではでは、ここまでお付き合い下さった姫様、本当に本当に有り難うございます!
失礼致します。
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