「やっぱり不思議だよ、兄弟。どう考えても不思議だ。」
「そうだね、兄弟。本当に不思議だよ。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

只今ステレオモードでお送りしております。
――――じゃなくて。

「あんた達さ、何なの?一体。何がしたいの。」

の両脇。
固めるようにして腕を掴み、ジーっと見上げる赤と青の瞳の双子。
ディーとダム。
二人にしか分からない会話を交わしながら、
それでもを解放しようと言う気配は全くなし。
しかもの質問は見事にスルー、と言うか、シカトされ続けている。

「お姉さんは可愛くて大好きだ、僕達の好みのタイプだし、ボスだって気に入っている。
ひよこうさぎだって馬鹿みたいに懐いているしね。」
「うん、お姉さんは可愛いよ。
それにこの屋敷の中で1番お姉さんと仲がいいのはきっと僕達だ。」

そして今回のの質問も華麗に無視し、彼らは二人だけの会話を進めていた。
因みに、今話題に上がっている『お姉さん』はアリス。
そのくせのことも『お姉さん』と呼んでたりするから、
ここに来たばかりの頃はイマイチどっちの事を言ってるのか分からなくて混乱したけど、
最近は何となく微妙なニュアンスで聞き分けることが出来るようになった。
って言うか、それより何よりこの双子、
アリスに対する態度とに対する態度に妙な違いがある。
だからこそ聞き分けることが出来るようになったのかもしれない。


「でもお姉さんはやっぱり変だ。可愛いとは思うけど、やっぱり変なんだよ。
なのに僕達はどうしてこんなお姉さんをこんなに好きだと思っているんだろう、兄弟。
お姉さんと遊ぶことをお姉さんと遊ぶのと同じくらい時間外労働だとは思わない。」
「確かに不思議だ。お姉さんとならタダで遊んであげてもいいと思うからね。
お姉さんは納得できるけど、お姉さんは不思議だよね、兄弟。」

もう、何が何やら。
会話内に二人の人間を同じようにお姉さんお姉さんと使っている為に、
端から聞くとごちゃごちゃし過ぎて全く意味が分からない。
だけど、お姉さんのニュアンスを極め始めたなら、解読は可能だ。
この場合、変だ不思議だと言われている方の『お姉さん』が
そしてしっかり綺麗に彼らの中で肯定されている方の『お姉さん』がアリス。
どう考えても失礼な少年たちだ。

「あんた達ねぇ・・・、人のこと捕まえてそう言う話を本人を前に、
わざわざ聞かせなくていいから。」
「僕達お姉さんをよく観察して確かめたかったんだ、お姉さんの何処がいいのか。」
「そうだよ、お姉さんの良さを探そうと思ったんだ。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
本気、殴りたい。


やっとの言葉に答えたかと思えばこれだ。
勿論双子の手にある黒光りしている斧を前に、本当に彼らに手を上げる勇気なんかにはないけど。
それにしても失礼過ぎる。
彼らは再びジーっと左右からを見つめ、同時にうーん、と唸った。

「・・・そろそろ仕事に戻らないとエリオットに叱られるんじゃないの。
それに、出かけようと思ってたんだけど。」

ハァー。
脱力気味に溜息を漏らしながら、は言った。
と、今度は双子は二人揃っての腕を掴んでいる手にさっきより力を込めた。

「僕達は今休憩中だよ、いい仕事をするには適度な休憩が必要なんだ。
それよりお姉さん、僕達を置いて何処へ行く気?」
「そうだよ、それにひよこうさぎはボスの用事で2回後の昼まで帰ってこない。
ねぇ、お姉さん、僕達を置いて何処へ行こうって言うの?」

ステレオモードで交互にそう口にして、彼らはジッとの瞳を下から覗き込んだ。

「特に決めちゃいないけど・・・・。」
「だったら僕達と一緒に居ればいい。僕達が一緒に遊んであげるよ、お姉さん。
「僕達ならお姉さんを退屈になんてさせないし、絶対に満足させてあげられるよ。」

言いざま、二人同時に背伸びをして、の左右の頬にキスをする。
何処かで見た図だ。
なんて妙に落ち着いてしまっている
でももう一人のは、普通に驚いても居た。
さっきまで人のことを変だ、不思議だと散々言ってたくせに、意味が分からない。
(とは言え、ここの住人で筋の通ったことをする人間は今までお目にかかったことがないけど。)
ぼんやりと思考を働かせていると、双子は益々に体を密着させて、
耳元に唇を寄せて囁いた。


「お互いのことを良く知ることは大切だよ、お姉さん。
お姉さんはやっぱり不思議で変な感じのする人だけど、
だからこそ僕達はお姉さん事を隅々まで知りたいんだ。」
「今見えている部分だけじゃなくて、隠れている所の隅々まで知りたい。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ナニイッテンノ。」

彼らが普通の常識的な本当の意味での少年達なら、だってこんな深読みは絶対しない。
したくもない。
だけど、こいつら二人は斧を常に装備していると言うエキセントリックさを差し引いても、
断じて、断じて、断じて普通の常識的な少年なんかじゃない。
有り得ない。
しかもは彼らが単なるませガキで済ませられるレベルじゃないことも知ってる。
その証拠に―――

「っ!」

ぬらり。
の両方の耳元。
左右から、ねっとりと舌で這いまわされる。

「お姉さんが僕達に教えてよ、実は経験豊富なんじゃない?」
「調教って言葉、燃えるよね。でもされるのは、僕達じゃないよ?」

「ディー、ダム・・・・。」

本格的に身の危険を感じ始めたその時。
二人は再度、がしり、と、の両腕を掴みなおした。

「お、落ち着こう、落ち着いて、ディー、ダム。」

焦るを完全に無視し、双子がを引きずって歩いていく。
も必死に抵抗をしているものの、右も左もびくともしやがらない。
華奢な見た目に反して、少年にあるまじき力。


その後、抵抗に疲れてぼんやりとした頭で、一人、考えた。


双子の公式の年齢は知らない。
見た目からすれば13〜15位だろうか。
対しては―――――



が犯罪者になるのも、時間の問題だ。


(終わり)



後書き
双子にとってある意味特殊な位置にあるヒロインってな感じで書きたかった・・・筈です。
そして彼らはお姉さんとしか呼ばないので名前変換の意味がっ!
しかし本当にアリスのキャラ達の年齢って幾つなんでしょう???
ではでは、ここまでのお付き合い、誠に誠に有り難うございました!
貴重な姫様に感謝です。失礼します。


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