制御不能
「・・・・・・・・。エース・・・?」
「あ、。起きたんだな、久しぶり。」

目覚めてすぐに、は焦点のぼやけた状態で自分の上に居る人間がエースだとどうにか認識する。
思考はまだまともに働いておらず、状況を把握するまでに少し時間がかかった。
ここはハートの城。
ついさっきビバルディとの謁見を済ませ、帰ろうとした所で夜が来た。
ここ最近、夕方と昼との繰り返しで何となく寝る時間を逃していたは、
ビバルディに頼んで少しの間睡眠を取らせてもらう事にして、
この客室のベッドで眠っていた訳だけど。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ねぇ、何でキミはの上に居るのかな?エースくん。」

いつものように全く邪な心なんか持ち合わせてません的な、
眩しく清々しい笑顔を見せているエース。
例えるなら常に背後に真っ青に澄み渡った空をしょっていそうな感じ。
でも、明らかに、状況が、体勢がおかしすぎる。

「旅から帰ってきて、自分の部屋に行こうと思ったんだけどさ、また迷っちゃったんだよなぁ、俺。
で、結局辿りつけそうでつけない状態をずっと続けてたんだけど、
適当に開けた客室に君が居たって訳だ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

そう言うことを聞いてる訳じゃない。
いや、彼は判ってる。
分かっててボケたことを口にしてる。
しかもムカつくことに、本当のエースを知らなければ確実に騙されそうな無邪気とも言える爽やかな笑顔を浮かべたまま。
前知識なしなら、でも100パー騙されてる。

「ふふっ、そうじゃなくて、何での洋服、ボタンが全部外れてるのかとお聞きしたいんですけど?」

にっこり。
彼に対抗するようにして笑顔で尋ねる
自慢じゃないけど、接客系の笑顔はバイト先のコンビニでよく褒められていた。
エースほど極めてはいないから、時と場合によっては崩れるわけだけど。

「ははっ、久しぶりに会った君が無防備に眠っていたから、どうしても我慢が出来なくてね。」

一点の曇りさえ見つけられない初夏の風すら思わせる晴れ晴れしい笑顔。
いつものことだと分かっていながら、敗北、の2文字を刻まれたような気分になる。
口にしている内容と表情が伴ってないのに、エースは相手に全く不快感を与えず、
自分のペースに引き込んでいく。これはもうある種の才能だ。
そして、彼はそれをとてもよく理解し、自覚し、利用してる。

「久しぶりって・・・つい最近会ったし。しかも、あの時テントに泊まった。」

笑顔で対抗することを早々に諦めて、素の態度で答える
彼はふっ、と、今度は少しだけ瞳を細めて、笑った。

「そうだったかな・・・、君とはいつも一緒に居たいって思うから、
ちょっとでも離れてると凄く時間が経ったように思えるよ。」

言いざま、彼がの首筋へ顔を埋める。
唇が押し付けられた感触と同時に、ツキンと小さな痛みを感じた。
よりにもよって見える場所にキスマークをつけるつもりだ。
と言うか、これはもうつけられてしまった後と言った方がいい。

「エース・・・前に見えるところは止めてって言った筈なんだけど、忘れたの?」
「うん、覚えてるよ。だけどさ、最近君、色んなヤツと仲がいいだろ?
だから少し牽制しておこうと思ってね。分かり易い方が相手にも親切だ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・あのねぇ・・・。」

ハァー。
と、溜息を吐くを無視し、
エースは既にボタンの外されたのシャツを脇腹から捲ると、
を片手に抱くようにして背中に腕を回した。

―プッ

同時にブラのホックが外れる小さな音がする。
それからすぐにブラをずらす様にして、エースの掌が胸元に滑り込んできた。

「!言っておくけど、仮眠を取る為にここを借りたのよ!?」
「知っているさ・・・。」

くすり。
彼がの耳元で小さく笑って答える。
その間も、エースは脇から持ち上げるようにの胸を弄んでいた。

「だけどこうなっちゃうと俺自身ももう止められない。それに、君だってそうだろ?。」

熱っぽい声で言って、彼がの耳朶をやわらかに甘噛みする。
いつもより少し低めの声に、の背中を弱い電流が流れるような感覚が襲う。

いつもこうだ。
いつも、いつも、いつもこう。
エースのペースに引きずられているのは分かってるのに、
結局、いいかな、と言う気分にさせられてしまう。
妙にの奥に居座っている『は3次元の人間だ』みたいなプライドも、
彼の前では呆気なく消えうせてしまう。
実際、既にの両腕は彼の背中に回ってしまっていた。

「・・・声は絶対に上げないから・・・。」

虚しい強がり。
分かっていても、は思わず呟いていた。
ちゅ、と、彼がの耳朶に音をたてて、ひとつ、キスをする。
そしてエースはを見下ろし、いつもの爽やか過ぎる笑顔を浮かべて言った。



「それは無理なんじゃないかな。俺は君のあの時の声、凄く好きだからさ。
そう言う宣言されると、逆に啼かせてみたくなる・・・なーんてね。」



(終わり)



後書き
お題に沿っているのかも分からない上に、エースがあああ!エースなのかああ!?
・・・必死でエースを頭に思い浮かべながら書いてみたんですが、初キャラは難しいな。
何よりエースみたいなタイプのキャラは初めて書きます。精進、精進・・・。
ではでは、ここまでお付き合い下さった貴重すぎる姫様、有り難うございます。
失礼致します!