裸のの胸元に耳を押し当てるようにして無防備な寝顔を晒しているオス猫。
ボリス=エレイ。
今はそりゃもう警戒心なんか一切ありません、僕はとっても甘えん坊なんです。
みたいな面で健やか過ぎる寝息を立てている彼だけど、
それはこうして眠っている間だけだ。
こうやっての心音を子守歌代わりにしながら眠りについてる間だけ。
ボリスが目を覚ませばに向けられる言葉は、
大抵突放すような意地の悪いものばっかりだ。
それでもやっと近付けたかと思えば、すぐにの手をすり抜けて放れていく。
彼はまさに猫だ。
気まぐれで、残酷な猫。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
だけどやっぱりこうして見下すボリスの寝顔は年下の男の子らしく見えるし、
可愛いと思えないこともない。
は彼の猫耳にそっと手を伸ばして触れた。
猫特有の繊細な毛並みが指先に触れ、柔らかな感触が心地いい。
無意識に何度もその感触を楽しむように撫でていると、ボリスの頭がごそりと動き始めた。
咄嗟に手を引っ込めて、ジッとボリスを見下ろす。
彼はゆっくりと瞼を開けると、視線をに向けて欠伸混じりに口を開いた。
「ん・・・?、あんたまだここに居たんだ?」
第一声がそれか!!!
と言うツッコミはこの際しないでおく。
ボリスのに対する態度なんていつもこんなもんだ。
だからと言って、本気で彼一人を残してさっさとどっかへ消えていようもんなら、
後々何をされるか分かったもんじゃなかったりするし。
「・・・・・よく眠ってたわね。」
無難な言葉で自然にスルー。
これがが彼と付き合う上で学んだ賢いやり方だ。
ボリスはふぁ、と、大きな欠伸をひとつ、すると、体を起してを見下ろした。
「あんたの上で眠るのって気持ちいいね。
って言うか、あんたを虐げるのってすっげぇ快感かも。
俺専用の抱き枕になりなよ。他の男の物になるのは許さないぜ。」
言いながら、彼はお気に入りの玩具を見つけた子供みたいな笑顔を見せる。
そして、の喉元をざらついた舌でべろりと舐めた。
「あんたはいつでもを虐げてるじゃんよ・・・・。」
は溜息と同時にぼそりと呟いた。
まぁも、結局彼のことが好きだから言いなりになっていると言う部分はあるけど。
とは言え、たまにボリスは本気でを嫌っているんじゃないかと思うこともある。
『プレイヤー』として見ていた時の彼は、確かアリスにもっと優しかったし、甘えていたし、
何より彼女を大事にしていたような気がするから。(あくまで彼なりのやり方で、だ)
だけどに対しての彼はお世辞にも優しいとは言えない。
まぁ、ある意味それがに甘えていると言う意味だと捕えられなくもない訳だけど。
「の苦しんでる顔とか悲しんでる顔とかって、
サイコーに俺をぞくぞくさせてくれるんだよね。
だから俺はあんたを虐めるのを止められない。
でも、あんたを苦しめるのも悲しませるのも俺じゃなきゃ意味がないんだ。
あんたは俺の獲物、俺だけの獲物だからね。」
「・・・・・・・・・・・・それを受け止めるこっちの身にもなって欲しいんだけど。」
思わず零れ出たの本音。
ボリスはくすくすと嬉しそうに声をたてて笑った。
「言ってるだろ?俺はあんたの苦しんでる顔に感じてるんだって。
、あんたの望み通りに動いちゃ意味がないんだ。」
言いざま、彼は喉をごろごろと鳴らして再びの胸元に自分の耳を擦り寄せてきた。
「あんたが悪いんだぜ、。俺がイきそうになっちゃう程可愛い顔を、
迂闊に見せたあんたがさ。・・・・・・おかげで俺はあんたを手放せない。
俺の時計が動いてる間は、あんたは俺の獲物。
泣いて嫌がっても逃がさない。逆に俺を喜ばせるだけだよ。」
ボリスが軽く爪を立てての内腿をゆっくりと撫で回す。
彼の囁きかける言葉の内容は意地悪で残酷。
なのにどうしてかどこか甘みを帯びて感じる。
ぼんやりと紫のチェシャ猫を眺めながら、
何だかんだと実はってM属性の人間だったのか、
なんて怪しげな考えまで浮かんできた。
「つっ…!」
不意に、内腿に触れていた彼の指先が、の肌に食い込んできた。
肌に傷がつく程じゃないけど、ツキンとした痛みを感じる。
咄嗟に眉をしかめて彼を睨みつけるに、ボリスがニヤリと意地悪く笑った。
「そろそろまったりしてんのも飽きてきたし、お腹が空いてきたみたいだ。
あんたを食べて俺のお腹を満たさなくちゃね。」
ああ、これだから盛りのついた若い雄猫は嫌なのよ。
そんなことを考えつつも、に拒否権なんか有る筈もなく、
結局はされるがままに流されていく。
紫のチェシャ猫は、そんなの様子を見て満足げに瞳を細めた。
(終わり)
後書き
久々に書いた夢ですが…スランプ気味な感じがっ…(涙)
そしてそして、長いことハトアリをプレイしていないくせにボリスを書いた為に、
偽物感の否めない状態にっ!いい加減にこの方向にばかり進む話は脱したいところ(苦笑
ではでは、ここまでお付き合い下さった姫様、誠に感謝です。失礼いたします。