闇に酔う

夢を見た。
悪夢を。
死神の出てくる悪夢。
古びてぼろぼろの布を纏い、白い仮面をつけた男。
手にしてるのは鎌じゃなく、血に濡れた白銀の剣。
そう、彼は、真っ赤な返り血を浴びて笑う、死神。



「やぁ、、目が覚めたみたいだね。
随分うなされていたようだったけど、大丈夫かい?」
「・・・うん、大丈夫・・・夢をみただけだから。」

瞼を開けて最初にの視界に入ったのは、エースの姿。
いつものように笑顔を崩すことなくに話しかけてきた。

「へぇ、夢か・・・。うなされていたってことは悪い夢かな・・・。
ところでその夢に俺は出てきた?まさか他の奴の夢なんか見ていないよな。」
「・・・悪夢なら、出てくる人は他の人の方がいいんじゃないの?」
「いいや、俺は悪夢であろうと君の中に踏み込んでくる奴は許さないよ。
普通の夢だろうと悪夢だろうと、君を傷つけるのも喜ばせるのも、
俺だけじゃなければ許せない。」

にっこり、と、何の曇りも見出せない爽やかな笑顔のエース。
は視線を彼に固定して、その顔をジッと見つめる。
この異常で危険なハートの国の登場人物の中でも、
特に危険な人物ランキングをつけるなら、間違いなく、エースは上位だろう。
そう、彼の中の狂気は、今、自身が身をもって実感しているところだ。
本当に異常だとも、狂っているとも思う。
だけどそれも仕方がない。
そう言う基本の元に創られた世界だから。
そしてここは『プレイヤー』として見るのなら、ただただ楽しむだけで終れた世界。
そうだ、常識的に考えれば、有り得ない。
現実としてなんて受け入れられないはず。
有り得ないはずなのに。

「エース・・・。」

彼の名前を呼んで、片手を彼へと伸ばす。
エースはの手を取ると、そのまま自分の腕の中へとを引き寄せた。
真っ赤で真っ黒な騎士の腕の中は、真っ赤な血の香りがする。
そして、真っ黒な死神の空気を感じる。

「さっきの夢・・・あんたが出てきた・・・。」
「ははっ、そっか。だったら安心したよ。
君の苦しそうな顔って、見ていて凄くぞくぞくするからさ。
つまりあれも、やっぱり俺が引き出したってことだよな。」

言いざま、彼はの唇に自分の唇を押し付けてきた。
唇が重なった瞬間から、何の前触れも無くキスが激しくなる。
は目を閉じて、彼の背中でぎゅっとその洋服を握り締めた。


イカレテル。
コワレテル。


それは
この世界の住人は、エースは、それが常識。
だけどは違ってた。
なのに、いつの間にか、もう随分と前に飲み込まれてしまった。
染まってしまった。
染めたのは、紛れもなく、この男。
けれど望んだのはだ。
狂って壊れてしまえば、正常な部分を働かせずに済む。


、きっと次もあんたの夢を見ると思う・・・。」


唇と唇。
ほとんど触れ合わせた状態で、キスの合間には呟いた。
エースの瞳が、ふっ、と、細められる。


「好きだぜ、。」


彼の口から零れ出る、甘い甘い囁き。
甘い、甘い、闇の誘い。


(終わり)


後書き
はっはっはっはっはっは・・・・・・・・・・・。ダーク系の執筆モードに移行されているようですね。
特にエースはこっち系書きやすい気がします・・・・。いいんだか、何だか・・・。
爽やかエロ黒のエース・・・よもやこんなにハマるとは思っていなかった。
ではでは、今回もここまでのお付き合い、誠に誠に有り難うございました!失礼します。