「君は、私が思っていた以上に残酷な女だな、。
側に居ても片時も気が抜けない。
ほんの一瞬でも目を離せば居なくなってしまいそうだ。
おかげで君を私の帽子に閉じ込めると言う馬鹿げた考えを、
本気で実行に移したいとまで考えてしまって居るほどだぞ、お嬢さん。」
ブラッドから告げられたその台詞に、は微笑と共に短く答えた。
「ありがと。」
そして、自らブラッドの唇へと自身の唇を寄せる。
涼しげな容姿に対して存外肉感的な彼女の花唇。
飄々とした性格で、常は少女のような表情を見せる事の多い彼女だが、
一度色香を解放すると、別人の如く妖艶さを帯びた一面を見せるのだった。
「忘れないでくれ、。
私は君を力づくでここに縛り付けるような真似はしないが、
雌の姿をした君を目にする男が他にも居るとするならば、私は迷わずその男を撃ち殺す。」
「わお、情熱的ね。エキセントリックな嫉妬の仕方だわ。」
ゆっくりとブラッドから身を離し、肩をすくめておどけた口調で返す。
されど彼女ははっきりとした否定も肯定も口にしはしない。
ブラッドはその真意を探るようにして僅かに瞳を細めた。
威圧に近い視線を送り、彼はをジッと見つめる。
だが、彼女はそれに憶した様子も見せず、微かに口の端を上げて笑った。
「アナタのそう言う嫉妬が心地いいって思ってる時点で、
も中々に末期だと思うんだけど。」
それでものゲームを止める気はないから。
が続けることの無かった最後の一言。
しかしブラッドはそれを既に読み取っていた。
「、やはり君は、残酷な女だな。」
薄い唇を僅かに曲げて笑んだ後、彼は彼女の腰に腕を絡め、強く抱きしめる。
平生と同じく気だるさを含んだその口調は、されどどこか焦りを滲ませていた。
組織の頂点に立つ、ブラッド=デュプレにあるまじき焦りを。
――これ程までに私を狂わせた女は君が初めてだよ。
(終わり)
私なしでは居られない身体になってもらおうか、今の私と同様に。