カラスからす旅鴉、お前の居場所はどこにある?
暗い暗い闇の底、一人孤独に彷徨って。

カラスからす旅鴉、お前の旅はいつ終わる?
さすらい続けて果ての果て。見えるものなど何もない。

カラスからす旅鴉、全てのものに愛されず、
全てのものに憎まれず、空虚な空虚な生涯を。

カラスからす旅鴉、一時の止まり木仮の宿、
流れ流れて消えていく。

カラスからす旅鴉、罪を犯した黒き鳥。
規則を歪めし大罪は、未来永劫刻まれる。





「ねぇ、思ったんだけど、のルールって簡単に言えば、
他人に憎まれても好かれてもいけないってことなのよね?」
「ああ、そうだな。それも彼女のルールの一部だ。
いや、特に重要なルールと言える。」
「そんなことって可能なの?」
「ある程度の基準があるからね。その境界線を越さなければ問題ない。」
「つまり、『それ』以上の好意や憎悪を抱かれなければいいってこと?」
「そういうことだ。」
「曖昧なのか明確なのか分からないルールね。
それに、ここの住人って時間に捉われてる様にはとても見えないけど、
彼女の場合は50時間って決まってるみたいだし・・・、どうしてなの?」
「彼女は・・・いや、鴉は特別なんだ。罪人だからね。」
「・・・・・・・・罪人?」
「ああ、そうだよ。犯してはいけない罪に手を染めてしまったのさ。」
「罪人なの!?あのが!?」
「いや、違う。彼女ではなく『鴉』と言う役割が罪人なんだ。」
「よく分らないわ。大体それならどうしては普通に出歩いている訳?
罪人なら牢屋に入っていて当然でしょう。
エリオットだって元は牢屋に入れられて居たって聞いたわ。」
「鴉の罪状は牢屋に入った程度で償う事の出来るものじゃないからね。
そう、ある意味では牢屋に入れられる事よりもずっと辛い。」
「あんたって本当に要領を得ない説明ばかりよね!」
「・・・ア、アリス、そう猟奇的な思考を働かせないでくれないか。」
「知らないわよ、あんたが勝手に私の思考を読むのが悪いんだわ。
口に出していること以外にまで指図しないで頂戴。」
「・・・・・・・・・・・・・・話を戻そう。」
「ええ。それで結局『鴉』は何をしたの?」
「決して足を踏み入れてはいけない領域に触れてしまったんだ。
ルール違反と言うだけでは済まされないことをした。」
「だからそれは何よ!?ここじゃ単なる殺しは殺しにならないみたいだし、
エリオットみたいに他人の時計を完全に破壊したと言う種類の話じゃないんでしょう? だってそれならも今頃牢屋の中に居る筈だもの。」
「観点は間違っていないが、もっと重罪だ。」
「だーかーらー!」
「今はまだ言えないんだよ、アリス。
君だって、まだ彼女とは一度顔を合わせただけなんだ。
これからも顔を合わせるつもりなら、おかしな先入観を持ちたくはないだろう?」
「ここまで教えておいてよく言うわね。」
「フフ・・・。そう怒らないでくれ。
だが、そうだな、これだけは言っておこう。
鴉の罪は大きいが、彼女自身の人格は全く無関係だ。
・・・・・・・・・・そう、特にはね。今までの鴉とは違う。」
「あんたは彼女を気に入っているの?」
「うん?」
「そんな言い方だわ。」
「そうだね、気に入っているよ。
但し、それ以上でも以下でもない。他の連中よりは付き合いやすいと言う程度さ。」
「冷たい言い方ね。それが境界線以内の好意ってこと?」
「ああ、ま、そういうところだ。」
「・・・それで言うならペーターはどうなのかしら?アレも境界線内なの?」
「ペーター=ホワイト?
・・・・ああ、成程、確かに彼は君以外の人間は憎悪の対象だからね。
だが、問題ないよ。彼の場合はそれが標準だ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・随分と融通のきく境界線ね。」
「はは・・・そうかもしれない。だが、アリス、君が関わってくれば話は別だ。」
「え?」
「ペーター=ホワイトの君への執心ぶりは君自身が一番よく知っているだろう?
君がに興味を抱いていることを知れば、
彼のに対する憎悪はその他大勢に向けての物とは形を変える。」
「・・・つまり、境界線を越えるということ?」
「ああ。」
「・・・・・・・・・・・・‥・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・アリス、気持は分るがペーター=ホワイトを制御するなんて事は到底無理だ、
余り恐ろしい考えを募らせるのは止めておいてくれ。特にここでは・・・。」
「フン!!・・・まぁいいわ、あの馬鹿兎の前ではの話はしないでおくから。」
「ああ、それがいいだろう。・・・・だが、アリス・・・君は・・・。」
「何よ?」
「まだ初対面だと言うのに、えらくに興味を持っているんだな。
気に入ったのかい?」
「・・・・・・・・・・・・別に。ただ、この世界の住人にしてはまともな会話が出来そうだし、
そう言う相手は貴重だと思っただけよ。」
「ふふ・・・そうか。やはり彼女に興味を持っているんだね。」
「いちいち人の考えを読んで勝手に答えを出さないで!・・・まったく。」
「・・・そう怒らないでくれ。そうだな、もう少し君が彼女と親しくなったなら、
その時は又君の質問に答えよう。」
「・・・・・・・・ええ、じゃあね、ナイトメア。」
「ああ、また会おう、アリス。」




多分それは卑怯


だがこんな形でしか、私は力になってやれない。