カラス、からす、どこへ行く?
  ここではない何所かへ。留まる事は許されない。

カラス、からす、何を泣く?
  泣きはしない、泣けはしない、泣いてはいけない。

カラス、からす、何望む?
  決して叶いはしない願い。決して手の届かないそれは幻。


カラス、からす、鴉。
カラス、からす、鴉。


そう、私は鴉。留まらないこと、それが鴉のルール。





「やぁ、。次の滞在先は帽子屋屋敷か、君も大変だね。」
「大変?クス・・・今更そんな事を思ったりしない、
もう慣れてるわ。だって私は鴉だから。」
「ああ、そうだね。君は鴉だ・・・。
それで?次の夕方には帽子屋屋敷に移動するのかい?」
「そうね・・・、次、と言わず、目覚めたらすぐにでも。
今の滞在先は宿屋なのだけど、実はついさっき主が殺されていたから、
宿代も挨拶も省いてとっとと退散するつもりなの。」
「・・・き、君は、相変わらずだな。挨拶はまだしも、宿代までケチるつもりか。」
「最近役なしの間ばかり渡り歩いてたせいでロクな仕事が回ってこなかったのよ。
私としては50時間滞分の宿代が浮くとなると結構助かるって訳。」
「・・・・君が帽子屋の所の門番と仲のいい理由がよく分ったよ、。」
「え?ああ、可愛い弟分たちだからねぇ。ちょっとやんちゃだけど、
考え方は嫌いじゃないわ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・でも別に、仲がいい訳じゃないけれど。」
「そうだな・・・君は誰にも心を許さない。いや、許せない。」
「そうよ、だって私は鴉だもの。」
「・・・・・・・・ああ。だが、好意や敵意が命取りになるルールとは・・・
君のルールは本当に特殊だ・・・。」
「クス・・・それこそ、何を今さら、だわ。
まぁ、でも幸い、今まで上手くやれているんだし?特に不満はないわよ。」
「・・・・・・・・・・・・‥不満はない・・・か・・・。」
「何?」
「いや、君が心底そう思っているのならいいのだがね。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「おっと、そんな顔をしないでくれ。私の戯言など今に始まった事じゃないだろう?」
「そうね。」
「・・・何の躊躇いも無く肯定してくれるね・・・。
まぁいい・・・、私は君のそう言うところも「何を言う気?私を殺したいの?」
「・・・・・・君の時計に害をなす程熱烈な台詞を口にするつもりは無かったんだが・・・。」
「そう。」
「だが、もしも私が君の心に触れ続けていたとしたなら、
話は変わっていたかもしれないな・・・。」
「遮断しているんだからもうそれは『もしも』でしかないでしょう。」
「ああ、その通り。・・・・・・・・・そうだ、。君はアリスに会った事はあるかい?」
「アリス?ああ、あの噂の・・・・ハートの城に居るって少女ね。
貴方とホワイト卿が連れ込んだって言う。」
「つ、連れ・・・・・・・・、そうだ、その少女だ。
その様子だと直に顔を合わせたことはない様だね。」
「ええ、噂だけ。」
「興味はあるんだろう?君も。」
「さぁ?何とも言えないわ。」
。」
「何?」


「余所者には、君のルールは適用されない。」

「?」
「彼女なら、君が望んでいるものを与えてくれるかもしれない、と言う事さ。」
「・・・・貴方の言ってる意味が私には理解できないわ。」
「いいや、君は十分理解している。理解できないふりをしているだけだ。」
「嫌な男。・・・・・・ああ、アンタは夢魔だったわね、悪夢、ピッタリよ。」
「ふふ、そう、私は悪夢だ。」
「・・・・・・・・・・・・・目覚めが来る、そろそろ行くわ。暇つぶし程度にはなった。」
「話が中断してしまったな、まだ君と話して居たかったんだが。」
「終わりよ、この話は終わり。」
、アリスに会うといい。そうすれば、私の言いたいことが分かる筈だ。
・・・・・・・・・・・・・・いや、今以上に理解できるだろう。」
「必要ないわ。夢魔、私は誰?」
「鴉。」
「そうよ、私は鴉。特定の人間に強く興味を抱き過ぎる事も、
そして相手から強く興味を抱かれる事も許されない。」
・・・。」
「バイ、ナイトメア。また会いましょう。」
「――――ああ・・・・・・・・・・・。」




絶対 運命


綺麗な綺麗な君の微笑は、だがいつも哀しみに満ちている。