カラスからす、旅鴉。
感情隠した黒き者。

カラスからす、旅鴉。
感情殺した黒き者。

カラスからす、旅鴉。
憎しみ愛しさ知らぬ者。

カラスからす、旅鴉。
心を無くせ、塗りつぶせ。


カラスからす、旅鴉。

闇に濡れたる悲しき鳥よ。


カラスからす鴉。
カラスからす鴉。
そう私は鴉。留まらない事、それが鴉のルール。




「・・・・・・・私はゆっくりと休むつもりだったんだけれど・・・。」
「フッ、そう言わないでくれ、
今まで君が役持ちの連中から離れていた間は、
余り現れないようにしていただろう?私なりに気遣っているんだ。」
「・・・そうね、それを口に出しては台無しだけど。」
「君は・・・アリス並にハッキリと言ってくれるな。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「ん?どうしたんだ?」
「いいえ、別に?それで、今回は何か用があって?」
「いや、特にはない。」
「そう、バイ、ナイトメア。」
「待ちたまえ、。嘘だ。」
「ならば手短にお願いするわ。惰眠を貪れるのは恐らくこの数時間滞だけだから。」
「仕事が入っているのか。」
「そういうことね。さぁ、御用をお伺いしましょう。」
「アリスに会ったんだろう?鴉。」
「――――――――――・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
「・・・是非君の口から感想を聞きたくてね、どうだった?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・どうして、知ってるの?・・・アリス=リデルから?
・・・彼女はまだお茶会に出てる筈でしょう、なのにどうして・・・。」
「ふふっ・・・・・・・。」
「――・・・ナイトメア=ゴットシャルク・・・鎌を掛けたわね?」
「ふっ、まさか本当に君が引っ掛かるとは思ってもみなかったよ、
いつもの君ならば、絶対にこんな安易なミスは犯さない。」
「・・・・・・・・・・・・‥‥・・・・・・・・・あんたといい、
ブラッド=デュプレといい・・・役持ちは本当に油断ならないわね。」
「へぇ、つまりそれは君が彼女と顔を合わせた事に、
帽子屋が絡んでいると言うことか。」
「ボスはお戯れの好きな方だから。」
「ははっ、確かにそうだね・・・。それで?」
「何?」
「今更問い返すこともないだろう?アリスさ。彼女はどうだった?
可愛いコだったろう?」
「ええ、そうね。」
「他に感想はないのかい?」
「気の強い、賢そうなコだったわ・・・。
でもそんなこと私よりあんたの方が知ってるでしょう。」
「ああ、知っている。だが私は君の口から聞きたいんだ。」
「以上よ。」
「・・・・・・・・・・うん?」
「私からの感想は以上で終了、
短時間しか一緒に居なかったのだからおかしくはないでしょう?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「クス、そんな不満そうな目を向けられてもこれ以上は何も出てこないわよ?
ナイトメア。」
「まぁいい、君がこれから役持ちの連中の間を渡り歩くつもりならば、
どうせすぐにまた彼女と顔を合わせる事になるさ。
彼女はどの勢力の権力者からも気に入られているからね、
帽子屋屋敷以外の場所も出入り自由なんだ。」
「――・・・そう。だとしても、私は今まで通りやっていくだけ。」
「出来るのかい?」
「当然でしょう、私は鴉だもの。」
「鴉・・・か、そうだな、君は鴉だ。だが―――。」
「何?」
「君は、鴉と言う位置に居るには繊細過ぎるよ、。」
「・・・・?それは・・・褒めてるの?けなしてるの?」
「どちらでもないよ、私の率直な意見を述べているだけだ。
最も、恐らく他の役持ちも同じように感じているに違いない。」
「いまいちよく分らないわねぇ。」
「私は以前までの旅鴉を直接は知らないが、知識はある。
私が心に触れた人間の中にも君より以前の旅鴉を知っている人間が居たからね。」
「・・・その、私より前の鴉と比べて、私が繊細だと?」
「そうさ。少なくとも、以前の鴉はもっと淡泊で、
そして何をするにも酷く事務的だったらしい。
だからこそ印象が薄く、仕事以外の繋がりを必要としない。」
「そうね、それならば憎悪も愛情も湧かないわ。」
「だが、君は違うだろう?少なくとも、役なしであろうと役つきであろうと、
君に対して何の感情も持ち合わせていない人間は存在しない筈だ。
いい意味でも悪い意味でも、
君は自分が思っている以上に、君を取り巻く周囲の人間に心を砕いている。
無意識の内にね。・・・・・・・・・鴉であるにはデメリットと言えるかもしれないが・・・。」
「クス・・・、ナイトメア=ゴットシャルク、どうしてそうだと言いきれるの?
私がそんな俗に言うまるで『善人』の様に。」
「君が善人だとは言わないさ。
だが、君は他人に心底無関心で居られる程図太い神経の持ち主じゃないと言いたいんだ。」
「鴉として存在する時点で、私はその図太い神経を持ち合わせている筈だけれど。」
「いや、違う。それが出来ないのが君だよ、。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「納得できない、と言う顔だね。」
「そうね、けれどもういいわ。タイムリミットよ、ナイトメア=ゴットシャルク。
お願いだから私を寝かせて。ゆっくり休ませて欲しいの、了解?」
「ふふ、そうだな、今回はここまでにしておこう。」
「バイ、ナイトメア。次会うときは、ややこしい話はなしにしてね。」
「君がそう望むなら。・・・・・・・・・ああ、そうだ。」
「何?」
「アリスによろしく。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・バイ、ナイトメア。」
「クックック・・・・ああ、また会おう。」



それは真実であり戯言


今の君にはまだ届かないと知っている。それでも―――――