あああー、サイアク・・・。やっぱり今日は学校に来るんじゃなかった・・・。
なんぞと後悔しても既に時遅し。
の目の前にはを取り囲むようにして立ってる3人の男子生徒。
彼らの目的は当然のようにを『食料』として美味しく頂く事にある。
いつもならこんな風に面倒なことになる前にさっさと逃げるか、
適当な術で脅すかしてるところなんだけど、
今日はよりによっての妖力が低くなってる日で、
更に寝不足が祟って体のダルさがそれにプラスされてるような状況だ。
目が覚めた時にそれが分かってたから今日はもう一日授業に出ないつもりだった。
だが、1限目の授業で小テストがあるのを思い出し、
その教科の先生がねちっこいタイプだった事もあって仕方なく1限だけはと出てきた訳だ。
授業自体は無事に終わり、これ以上授業を受けるつもりはなかったから、
日比谷に見つかる前にとさっさと教室を後にし、
校舎を出ようとした所で奴らに捕まったのだった。
妖力が低くなってる日は特に周囲を警戒してなきゃならないってのに、
今回は寝不足のせいもあってぼんやりし過ぎてた。
幾らなんでもこんなに簡単にこんな人気のない空き教室まで連れ込まれるとは間抜けじゃ済まされない。
「相変わらず美味そうなニオイだぜ。たまんねぇなぁ」
の正面。
真っ赤な髪に蛇のように長い舌を持った妖怪が耳障りな声でそう言って、
ちろちろと舌を動かす。
ヤツの右隣には体格のいい頭に角が3本も生えている妖怪が、
それから左隣には小柄で顔色の悪くどこか陰気そうな妖怪がそれぞれ立ってる。
タイプはどれも違うけど、
多分こいつ等一応成績の何かしらが上位50位以内に入ってる連中なんだろう。
日比谷よりは手を出しやすい位置に居るとは言え、
ここに来たばかりの頃に比べれば、
を食そうと襲ってくる輩への対処もそれなりに慣れて来てる。
後々しつこく追い掛け回されない程度に痛い目を見せたこともあるし、
コイツは舐めない方がいいというのが広まるくらいには不本意ながら頑張ってきた。
まぁそれでもを狙ってくる妖怪は後を絶たない訳だけど、
大体は自分の腕に自信のあるやつか、
のことをよく知らない生まれたての妖怪なんかが多かったりもする。
でもの場合、ただ単純にどう見ても強力な妖に見えないから噂は知ってても取り合えず襲ってやる、
みたいな連中が多いってのも聞いたことがあるんだけど。
「どうする?早速食っちまうか?」
「いや、その前に色々楽しむのもいいんじゃないか・・・。コイツ結構イイよなぁ」
「人間のメスかぁ、・・・それもイイかもナ・・・クックック」
分かり易くいやらしい会話に嫌悪感でぞっとした。
ヘタに刺激しないようにとさっきから大人しくしてたけど、
さすがにこれ以上大人しくしてたら本気でこいつらの思う壺だ。
妖力が低くなってるとは言え、
一発大技かましてこいつらぶっ飛ばしてその隙に逃げる位の事は出来るだろう。
だろうというかする。
じゃなきゃこのままコイツらにいいように扱われて食われるしかないんだから。
「それじゃ、まずは・・・」
ニヤリと笑って舌なめずりする蛇舌野郎。
同時にの肩に腕を伸ばそうとしてくる。
それとほぼ同じくは風系の術を発動させようと身構えた。
その時だった。
―――――ガァンッッ
「「「っ!!!???」」」
「っ!?」
突然、物凄い勢いで乱暴に教室のドアが開いた。
それこそドアがぶっ壊れるんじゃないかと言うくらいの勢いで。
三人はかなり驚いた様子でそちらに視線を向け、
も同じくそちらを見る。
「てめぇら・・・こんな場所に女一人連れ込んで、何してやがる・・・?」
殺気を含んだ低い声。
達の視線の先に立っていたのは、長身で目付きの鋭い男子生徒だった。
(後編へ続く)