、おいで、あんたにおもしろい話をしてあげるから。
そう、おもしろい話だよ、楽しみ?うん、うん、は可愛いね。
あんたのお母さんの小さい頃よりずーっと可愛いくていいこ。
それじゃあお祖母ちゃんのお膝においで、うん、そうそう、じゃあ始めようか。
これを見てごらん、前にお前が綺麗だって言ってたネックレスだ。
この水晶、本当にとっても綺麗だろ?おっと、そんなに乱暴に触っちゃ駄目だよ。
これは大事なものなんだから。が今よりもっと大きくなって、大人になったら、
この水晶がの大事な運命の人のところに連れて行ってくれるんだよ?
え?王子様?はははっ!そうだねぇ、うん、王子様、ま、そうかもしれないね。
この水晶でお祖母ちゃんはお祖父ちゃんと巡りあったし、
あんたのお母さんだってこの水晶を持ってからあんたのお父さんと出会ったの。
あんたのお母さんはそれまではそりゃもうこっちが情けないと思うくらいに男を見る目がなくて・・・、
ああ、まぁまだこんな話はあんたには早いかね。
とにかくね、この水晶は昔からうちにあって、これを身に付けた・・・、
多分女の人に限られるみたいなんだけど、
これを身に付けた人の『王子様』を見つけ出して出会わせてくれるんだ。
どうだい?素敵だろ?うんうん、は素直だねぇ、よしよし。
お祖母ちゃんのお祖母ちゃんは姉妹が6人居たらしいんだけど、その中のお姉さんの一人が、
この水晶を持ったまま、ある日急に居なくなっちゃったらしいんだ。
皆とても心配して探し回ったけれど、お姉さんはどこにも居ない。
その前日まで今まで通り普通に生活をしていたのに、まるで突然消えちゃったみたいだったんだって。
え?お化けに攫われた?ははははっ!大丈夫、怖いお話じゃないから。
それから警察・・・お巡りさんの所に届けようかって話が出たところで、
どんなに探しても見つからなかったお姉さんの手がかりが見つかったんだ。
不思議なことに、皆がさっきまで見ていた筈の居間のテーブルの上に、この水晶が置いてあったんだよ。
お姉さんが置いて逃げたんだって?ふふっ、違うよ、水晶が戻ってきたんだよ。
そう、水晶がお仕事が終わったから戻ってきたの。
きっとお姉さんを運命の王子様に会わせて、幸せになることを見届けてきたんだよ。
どうして分かったのかって?うん、お祖母ちゃんのお祖母ちゃんのお話だとね、
その水晶にお手紙が巻きつけてあったんだってさ。
家族の誰が見ても分かる、
お姉さんの字で『大事な人が出来ました、私は幸せです。今までありがとうございました』ってね。
まぁ、それでも結局家族は探すことを諦めなかったみたいだけど、
そのお手紙以外はお姉さんの手がかりは最後まで見つからなかった。
でもお祖母ちゃんは言ってたよ、きっとお姉さんは手紙にあったように、
どこかで大好きな人と一緒に幸せになれたんだって。
うん、そう、そのお祖母ちゃんのお祖母ちゃんもこの水晶があったから大事な人、
つまりお祖母ちゃんのお祖父ちゃんに会えたんだ。
素敵なお話だろ?え?やっぱりちょっと怖いお話?
はははっ!だからお姉さんは別におばけに攫われた訳じゃないよ。
だって運命の王子様、会ってみたいだろう?
じゃあ、あんたが・・・そうだね、高校生位になったらこれをあげる。
それまではお母さんに預けとくからね。楽しみに待っておきなさい。
はははっ!は可愛いね、いいこ、いいこ。
あんたにも素敵な運命の王子様、きっと見つかるよ。
うん?またこないだみたいにあの水晶のお話が聞きたいって?もっと?
そうだねぇ、あの水晶はね、運命の王子様に出会わせてくれるって言ったけれど、
実は一番にその人に出会わせてくれるって決まってる訳でもないんだよ。
例えばあんたのお母さんの場合はお母さんが居酒屋さんでお友達とお酒を飲んでいて、
そこでお酒をこぼしちゃった時にそのお酒がかかったことでお父さんの上司、
会社の偉い人と知り合うきっかけになった。
そしてその偉い人の部下だったのがあんたのお父さんだったんだ。
え?それは別に水晶は関係ないって?うん、これだけ言うとそうだね。
でもあんたのお母さん昔っから妙にしっかりしてて、
いつもは他人にお酒ひっかけるなんて真似はしないんだよ。
だけどその時に限って上着のポケットに水晶のネックレスを入れてて、
しかもそのネックレスの鎖が外に出てることに全然気付かなかった。
それでそのお父さんの会社の偉い人のテーブルを通る途中にその鎖がグラスに引っかかったらしいんだ。
偶然って言うにはあんまりにも面白い位に輪っかになってあの重いビールのジョッキをひょいってね。
その後お母さんが改めて会社に謝りに行った時に出会ったのが、あんたのお父さん。
二人とも一目ぼれだったらしいからね、くくく。え?お祖母ちゃん?
お祖母ちゃんがお祖父ちゃんに会ったのは水晶の鎖が切れて、
丁度お祖父ちゃんの足元に落ちちゃって、それをお祖父ちゃんが踏んづけたのが始まりだったね。
ああ、そうそう、。大事なことを言い忘れてたけど、この水晶はね、
お仕事を終えると色が変わるんだよ。
そう、お仕事終わりましたって教えてくれるの。
今は綺麗な水色だろ?これが持ち主が大事な人と心が通じ合うと深い青になるんだ。
うん、見ていたいだろう?あんたなら見られるよ、きっと。
うんうん、その時を楽しみにしていなさい。