の一人暮らしの部屋のクローゼットと立海テニス部の部室のロッカーが繋がっていると判明し、
何だかんだではや1ヶ月。
さすがのももう現実だと受け止めるしかなく、
有る意味開き直りに近い形で彼らとの美味しい交流を続けていた。
開き直って全部受け入れてしまえば、現在の状況はそれ程悪くない。
手放しで幸せを叫べる程単純じゃないにしろ、やっぱり嬉しい状態だ。
とは言え、幾ら仲のイイ友達と言えども彼らとのことは口が裂けても言えないし、言うつもりはない。
と言うか、まぁ、立海メンバーとのルールとしてお互いにこのことは他言無用と言うことにはなってたけど、
彼らの場合はと考えてる方向性が違う。
もしも他の人間にこのことが漏れてしまった場合、
妙な噂が立ってテニス部の練習に差し障りがないとも言えないし、
それに彼らは何よりに迷惑が掛かるだろうと気遣ってくれてるのだった。
彼らからしてみれば立海大付属は有名校と言う自覚がある。
だから今の状況が他人に知れてしまってテニス部の活動に影響がある様な自体が起きるかもしれない、
と考えるのは極普通の事だと思う。
当然と言えば当然なんだけど、彼らは未だに知らない。
こっち(・・・)あっち(・・・)が、別世界だってことを。
微妙にズレが有るとは言っても、テニプリは別にファンタジーな世界な訳じゃなく、
こっち(・・・)とほぼ同じ世界観な訳だし、それもまぁ仕方ないとは思う。
立海大付属は勿論こっち(・・・)でもそりゃあ有名だけど、
それは凄く偏った方向だったりしなくもなく。
と言うか思い切り二次元的な意味で有名なのであって、当たり前だけどこっち(・・・)に実在はしてない。
もしも万が一、が誰かに(例え親しい友達でも)今のこの状況を漏らしたとしても、
信じる信じないと言う以前に即刻電波ちゃん扱いされるに決まってる。
だって自分がこんな体験をしなければ馬鹿馬鹿しいと言うか、かなりドン引きしてしまうに違いない。
と言う訳で、と彼ら、お互いの『他言無用』を守る意味に関して、
考えている方向性は大分ずれてい訳だけど、
とにかくそれは達の中で確実に守られるべきルールのひとつになっていた。
勿論、これ以外にも達の間には幾つかルールがある。
から彼らに会いに向こうのロッカーを(変な話だけど、内側から)開ける事はあっても、
彼らからのクローゼット(やっぱり内側から)を開ける事はあってはいけない。
これはまぁ、が一人暮らしの女の子だと言うことで、幸村と真田が真っ先に口にしてくれたことだった。
勿論がいつでも自由に一方的に彼らのロッカーに出入り出来る訳じゃない。
部活の練習前の着替え中・部活動時間・部活終了後に部室の戸締りをしてる時間なんかは、
当たり前だけど向こうのロッカーに鍵が掛かってて、が出入り出来ないようになっている。
こう言ったルールはお互いがこの特殊な状況で上手く交流を続ける為に必要だし、
としては不満なんぞある筈もなかった。
クローゼットを通り抜けるだけで大好きなテニプリの世界へそれはもうお手軽な異世界トリップが味わえるなんて、
楽しくない訳がない。
異世界トリップ特有の『帰る?帰らない?帰りたい?帰れない?』と言う、
あのジレンマに脅かされることなく(有る程度の制限があるとは言え)
本当なら二次元のキャラでしかない彼らと交流出来るんだから。


この一カ月でたった一度だけ、彼らがの部屋に遊びに来た事がある。
立海メンバーオールで、のこの部屋に、だ。
(口に出して言ってしまうと本当に電波チャンな発言にしかならないけど)
が行き来してたことであのおかしな不思議空間について分かったことがある。
こっち(・・・)あっち(・・・)の時間軸は相当ズレてるってこと。
ズレてると言うより、でたらめだ。
例えばが向こうで小一時間ほど皆と会話をして自分の部屋に戻ってきても、
こっち(・・・)じゃ4〜10分しか経ってなかったりすることも珍しくない。
反対の場合もまた然り、なのかどうかはこの時まだ分かってなかったんだけど、
その確率が高いってことで、
部活終了後とは言えうちで休んでいく時間位は取れるはずだって話になったのだ。
(真田は最初凄く反対してたけど)
あの時は一応お茶とお菓子を出したんだけど、それでも足りないってんで、
何と、皆で買い物に行こうと言う話が持ち上がった。
彼らにしてはとは違う意味でプチ旅行気分だったのかもしれない。
だけどは内心相当焦って、どうやって皆を止めて買い物を阻止するべきかを必死で考えた。
一人で買い物に行ってくるって提案もしてみたんだけど、当然即却下。
大勢で押し掛けた上にだけにそんな役割をおしつけられないと言う、
とても紳士的かつ、(一部、単にはしゃいでただけの人間も居たけど)
お優しい彼らの配慮に喜びたい様な悲しみたい様な複雑な気分だった。
だって彼らはその時部活終了後の制服姿で、それはこっち(・・・)の世界の人間から見れば、
どう見ても超完成度の高いコスプレイヤーさんか俳優さんにしか見えなかった。
だからと言って当たり前だけど彼ら立海メンバーが本物(・・)だと思う人間なんかいやしないことは分かってたけど。
でも、どう考えても、皆が外出すれば目立ちまくること請け合いだ。
大体、コイツら、空気が違い過ぎる。
結局大勢でぞろぞろと買い物ってのもどうかって話になって、どうしても外出したがる赤也・ブン太を含め、
真田が監視役として付いていくことになって、柳生と、
それから勿論も一緒にコンビニに買い物に行くことになった。
メンバー全員じゃないとはいえ、にしてみれば殆ど同じ事だった。
奴らは半端なく目立つ。
凄く、とても、非常に。
色々な意味で。
それでもどうにか目的のコンビニで買い物を済ませて、
さぁ帰ろう(さっさと速やかにと内心が超焦っていたのは言うまでもない)となったその時。
赤也がいつも買ってる雑誌をついでに買って帰るとか言いだした上、ブン太の奴はガムを買うのを忘れたとか言いだした。
あの時は本気で、ほんっとに焦った。
だって、赤也の買おうとしてる雑誌も、ブン太の買おうとしてるガムも、こっち(・・・)に存在してるのか相当怪しい感じだったし、
と言うか正直存在してない可能性の方が限りなく高くて、
は咄嗟にブン太にはここのコンビニは品薄だとか言い、
赤也には売り切れだとか無理やりな言い訳をしたような気がする。
二人とも信じてくれなかったけど、凄くいいタイミングで真田が二人を叱りつけてくれたんで、
まぁその日はそのままの部屋に戻って事なきを得た訳だ。

そんなスリル(?)がありつつも、は今も現在進行形で彼らと交友関係を続けていた。


そう、少しずつ、少しずつ、皆と親しくなっていくにつれ、
皆をキャラとして見ていた意識が薄れてくのを感じながら。


(END)



後書き
プロローグ3で終わりと見せかけて、微妙に補完として3.5とか書いてみました(笑)
キャラ登場一切なしで申し訳ないです。
どうにもどっかでこう言う説明入れとかないと個人夢でも長々書いてしまいそうだったので。
ではでは、ここまでお付き合い下さった姫様!本当に本当に有難うございます!