「んー・・・!やっぱ腹減ってるときに食う飯はサイコーに美味いぜ!!」
「ブン太、言っとくけどあんたのお腹満たせる程沢山ないよ。」
凄い勢いで食べ物を平らげていくブン太に有る意味関心しつつ、は言った。
取りあえず差し入れしようと思ってたおにぎりは全部彼の前に置いて、
後、お昼のシチューの残りも結構あったんでそれを出しはしたけど、
既にそれももう殆ど彼の胃袋に収まってしまってる。
二次元の中で眺める分には架空の事として笑って受け止めてたけど、
こうして目の前でその状況を目にするとさすがにビビる。
どこの大食い選手だ、コイツは。
「ええ!?マジで?もう終わりかよ?」
と、ブン太がの言葉に応えた時には食べ終わる寸前だった。
「今回はこれで我慢して。どうせ家に帰ってまたご飯食べるつもりなんだよね?」
「トーゼン!まだ全然足りねぇもん。」
「・・・ソーデスカ。」
ははははは。
乾いた笑いを浮かべ、は立ち上がってブン太が食べ終わったばかりの食器を片づける事にした。
「そう言えば、さっきブン太がこっちに来る時に部室に誰か居た?
このことバレたらヤバいんじゃない?」
「ジャッカル。アイツをロッカーの前に立たせて目隠しにしてこっちに来たんだ。
あん時は俺とアイツしか居なかったし、アイツは告げ口したりしねぇから平気。
万が一真田の奴が戻って来そうになったらアイツから俺のケータイに連絡あるしな。」
「・・・・・・・・・・あんた、またジャッカルまで巻き込んで・・・。可哀そうな・・・。
って言うか、ジャッカルも一緒に来れば良かったのに・・・。」
ジャッカルは苦労人。
特に赤也とブン太には相当面倒掛けられてる。
と言うのはもう公式で認められた(本人にしてみれば大迷惑なはず)図式だ。
しかもアイツってばホントに人が良くて、に対しても本当に優しくて気を使ってくれる。
だからこそ仕方なくとは言ってもあの二人の面倒見る役回りについてんだろうけど。
「なんだよ、、ジャッカルが居た方が良かったのか?」
「え?・・・・っ!?」
不意に、何でかいつもより少しだけ声のトーンを落としたブン太がそう言って、
食器に伸ばしたの手を掴んだ。
は咄嗟に食器が割れないようにそれから手を離す。
「ビックリした・・・。ブン太、脅かさないでよ。
その・・・、が言ってんのはジャッカルだって部活の後だし、お腹減ってるだろうと思ってさ。
まぁ絶対お腹一杯食べさせたげることは出来なかっただろうけど。」
「それって、ジャッカルの奴も部屋に呼びたかったってことなのか?
まさか、俺じゃなくてアイツに来て欲しかったなんて言わないよな。」
「・・・・・え?」
きょとん。
何故か妙に拗ねたみたいな声のブン太のその台詞に、は思わず間の抜けた表情で彼に視線を向けた。
「いや・・・そんな深い意味はなかったんだけど・・・・。
それに、誰かをこの部屋に上げたのなんて今のとこ家族を除けばこないだ立海の皆で来た時位だし・・・。」
「・・・・じゃあ、あん時以外じゃ俺が初めてってことだよな?」
「うん・・・、まぁ。友達もまだ今のとこ来たことないから。」
「んじゃもういっこ。その友達って、男じゃねぇよな?」
な、何だ。
何なんだ。
どうしたんだ、一体!?
の腕を掴んだまま、殆ど詰問するみたいにブン太が質問を重ねてくる。
しかも、何かさっきから少しずつ距離が近づいてきてるし。
それにこれじゃまるで、ブン太が嫉妬してるみたいだ。
そこでは心の中で激しく首を左右に振った。
いやいやいやいや。
ないないないない。
まさか、そんなことある訳がない!!
何度も言うけど、今文字通り目の前に居るのは、あの立海大付属の丸井ブン太なのだ。
幾らこんな特殊過ぎる状況下にあるからと言って、
みたいに普通な子にそんな方面の興味を持たれるとはどうにも思えない。
とは言え、こんな体勢でこんなことを口にされたら、
幾らきちんと自覚を持ってると言えども期待したくなってしまうのも否定しきれない訳で。
「、答えろよ。友達って男なのか?」
「・・・お、女だけど・・・。」
「・・・じゃあさ、今日、ここに来るって言ったのが俺じゃなくても、お前はOKしてたか?」
「って、あの・・・・・・・さっきから質問多いよ、ブン太。」
「答えろ。」
の言葉なんかさらっとスル―して、いつもより少し鋭めの声でブン太が言った。
すぐ傍からジッとを見つめる彼の瞳は、何だかいつもと雰囲気が違う。
「・・・・・・・・・・そ、それは・・・・。」
「俺だからだって・・・俺だけだって言えよ。」
「・・・・・・・・・・え!?ぶ、ブン太!?」
「そんで、他の男なんかこれから絶対この部屋に上げんな。
立海の奴ら皆一緒にってんなら仕方ねぇけど、それ以外は全部却下な。」
何と答えていいのか分からず、ただただ間近に有るブン太の顔を戸惑いまくった目で見つめ返す。
彼は焦れた様な表情で更に続けた。
「、いい加減さっさと言っちまわねぇと、このままキスしちまうぜ?」
「っ!!!!!!!言う言う!!言います!!言わせて頂きます!!」
「・・・・嫌なのかよ。・・・ま、いいや。そんじゃどーぞ。」
何て展開だろうこれは。
何がどうしてこんな流れにのってしまったのか。
一体いつからこうなったのか。
とにもかくにも、もう、逃げ場はない様だ。
「・・・・・・・・・・さっき、ブン太がうちに来てもいいかってメールくれた時・・・、
メチャクチャびっくりしたし焦った・・・けど・・・。
嬉しかったし・・・、あんたじゃなかったら・・・いいって言ってなかったと思う・・・。」
さすがにブン太の顔を見たまま言える台詞じゃなくて、は彼から視線を逸らしつつそう言った。
それにしても、これはもう殆ど告白みたいなもんじゃないだろうか。
幾ら相手が大好きな『テニプリ』の登場人物の一人だったとしても、
リアルな意味で好きじゃなきゃこんなこっ恥ずかしい台詞、本人を前にして言えるはずがない。
いや、好きだったとしても本当なら口に出せてるはずもないんだけど。
「・・・ぶ、ブン太、・・・そろそろ腕・・・放し「嫌だ。」
言葉を途中で遮られたかと思うと、そのまま力一杯腕を引っ張られ、
はバランスを崩してボスリとブン太の胸に体ごと突っ込んだ。
ドッ クンッ
外見に似合わない予想以上に硬い彼の筋肉の感触を瞬間的に感じてしまい、自分の心臓が大げさに大きく跳ねた。
「・・・やっぱり、お前も俺と同じ気持ちなんじゃん。」
「・・・・・・・・・同じ気持ちって・・・。」
「俺は・・・、お前のコトが好きだぜ。。すげぇ好きだ。」
「・・・・・・・・・・。―――――――――――――――。・・・・・・・・・っ!!??」
好き?
ブン太が、を?
す、すげー?
え?え?え?え?
ええええええ!!??
だって、あの立海大付属の丸井ブン太なのに!?
殆ど茫然としてブン太の腕の中でそのまま硬直していると、
頭の上に彼がぐりぐりと顎をのせてくるのが分かった。
「おい、何とか言えっての・・・。」
照れてるのか、彼にしては妙にぶっきらぼうな声だった。
「・・・・・・・・・う、うん。」
「うんじゃ分からねぇ。」
の頭の上に顎を乗せたまま、ブン太は両腕に力を込めてを益々自分の体に押し付ける。
の心臓はもう爆発寸前だった。
こんなことが現実に起こりうるなんて。
初めて彼らと顔を合わせた時と同じ位。
ううん、それ以上に信じられない。
「・・・・・・・・・・も、・・・・・えーっと・・・・。」
「えーっとって何だよ。」
プッと吹きだすみたいな笑い声。
ついさっきまで不機嫌っぽい言い方だった筈が、既に機嫌が直っている。
いや、そんなことよりは。
どくばく。
どくばく。
心臓の爆音が耳にうるさい。
少女マンガでよく使う表現だけど、あれは嘘じゃなかったんだ。
単なる大げさな描写じゃなかったんだと変な実感を覚えていた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、す、す、・・・好きデス。」
ようやく口に出来た一言。
口の中はからからで、熱が顔に集中して体温が全部そっちに持ってかれてるんじゃないかと思う位だ。
それにブン太の奴がを抱きしめたままのせいで、体は硬直して石化したまま。
色気のいの字も見当たらない状態での告白だった。
「バーカ。遅いっての・・・。」
「だ、だってそん・・・、な、・・・」
言いかけた所で、超至近距離からブン太に顔を覗きこまれ、その上唇がゆっくりとのものと重なりそうになる。
唇と唇。
触れ合うその時。
その瞬間。
――――〜〜♪
「っ!」
「・・・・・・・・・・おいおいマジかよ。よりによってこんな時に・・・!
ああー!!真田の奴が戻って来ちまう。」
ブン太は心底未練を残したみたいな顔でそう言うと、の頬に素早くキスをひとつ、落とした。
「わっ!?」
「今回はこれで我慢してやるよ。また来るからな!そんじゃ、さっきの言葉、忘れんなよ?」
「・・・・・・・・・・・・う、ん。」
未だに茫然状態のを残し、
ブン太はクローゼットの戸を開けてそこから慌ただしく部室のロッカーへと戻って行ってしまった。
さっきのケータイの着信音は、どうやらジャッカルからの真田接近中の合図らしい。
は床に座り込んだまま、今はもう彼の姿のなくなったクローゼットをぼんやりと眺めていた。
余りにも信じられなさ過ぎる展開に茫然となってしまったけど、
もしかして、は、あの立海大付属の丸井ブン太と両想いってやつになったのだろうか。
信じられない。
だけど、の体には今も、ブン太の腕の感触とか、その体温とか、少し早めの心音とか、
そう言ったもの全部が、リアルに残っているのだった。
(END)
後書き
びっみょーに尻切れ気味になったような気がしなくもないですが・・・。
ど、どうにか(拍手以外では)初・ブン太夢。実は結構苦労しました(苦笑)
やっぱりちゃんと性格を掴みきれてないのが問題だ!
でも一番にネタが上がったので執筆。
ここまでお付き合い下さった姫様!誠に有難うございます。失礼します。