スパイシーバニラビーンズ
仕事を終えて戻った薄暗い部屋の中。
極力音を立てない様に上着を脱いでそれをハンガーにかけ、パジャマ姿に着替える。
シャワーは出先で済ませて来たから、後は寝るだけだ。
ま、
は足音を忍ばせてそっとベッドの傍まで近づいた。
ベッドの上には健やかな表情で寝入ってる野郎共が二人。
珍しくちゃんと寝てるんだな、なんて妙な所で感心してしまった。
しかもベッドに不穏な痕跡が殆どない。
本当に本当に、極普通に寝てる。
二人ともほぼ裸同然の格好でベッドに入ってるのに、
こんなに普通に熟睡してるのは本当に珍しい事だ。
はジャンの金髪にそっと手を伸ばした後、ベルナルドの寝顔に視線を向けた。
心底安心しきった無防備な寝顔だ。
暗闇にあれほど怯えてたようには全然見えない。
そのことが今更ながら嬉しくて、は思わず笑みを浮かべる。
「ん・・・、ん?・・・やぁ、ベイビーおかえり。どうしたんだ?そんな所でぼんやりして」
の気配に気が付いたのか、ベルナルドが不意にゆっくりと瞼を上げてそう言った。
声を潜めてるのは、まだ眠ってるジャンへの気遣いだろう。
はニッと笑って返す。
「愛しのダーリンズが珍しくイイコでおねんねしてるのを眺めてたのヨ」
「俺達がお前抜きで楽しむ訳がないだろう?ベイビー」
はっはっは!どの口でそれをのたまいやがるか、ドチクショウ。
どちらかと言うとよりもベルナルドやジャン達の仕事が終わる方が遅い事が多いけど、
偶に彼ら二人の仕事の方が早く片付いてる事がある。
今晩の様に。
で、後から戻ってきたがうっかり濃厚な濡れ場に遭遇してしまったりすることも、
実は片手で数えきれない程度には経験が有る。
普通なら男同士のそんな場面に出くわすなんて、ギャアアアどころの騒ぎじゃない筈なんだけど、
二人の恋人を持つ身としては特に過剰反応を示す様なことでもなかったりする訳だ。
常識的にあり得ないのは分かってるし、未だにこの関係が成り立ってる事が自分でも不思議でたまらない。
それでもジャンとベルナルド、どっちをより好きなのかなんて比べられないのも確か。
の中の奥ゆかしい日本人はどこへ。
つか、大和撫子魂はどこへ。
とジャンとベルナルド。
誰が誰を、じゃなくて、それぞれに恋し合ってる。
本当におかしな関係だ。
「おかえり、ベイビー!アタシは必死にこのくそったれエロ親父から貞操を守り続けたのよ、褒めてチョーダイ」
不意にベルナルドの隣で寝息を立てていた筈のジャンがぱっちりと目を開けてそう言った。
そして彼の髪に触れていたの手を取り、その掌に大げさにチュバっと音を立ててキスをする。
「酷いことを言うね、ハニー。俺はちゃんと我慢してただろう?」
「少なくともそれは、人の体にキスしまくったり、乳首を噛んだりした人間の言う台詞じゃねぇな」
「・・・・・・・・・なるほど、んなことだと思ったけどね」
は思わず呆れ交じりに溜息を吐いた。
一見綺麗に見えるベッドも、実はギリギリのところで保たれてた訳だ。
と言うか、ギリギリだろうとそれでもどうにか保たれてた事の方が驚きかもしれない。
あの健やかな寝息を立てるまでに一体どれだけの攻防が繰り広げられたんだろうか。
それを想像するとちょっと笑える。
「それより、いつまでもそんな所に突っ立ってないで、こっちに来いよ」
言ったジャンが掴んだままのの手を促す様に軽く引っ張る。
「ああ、そうだな。おいで、。今日はお前が真ん中で寝る日だぞ」
ベルナルドはそう言いながら、ジャンと自分の間にが入れるほどの空間を作った。
「・・・・・・・・・」
「どうした?」
それでも動かずにその場から動かないに、ジャンが問いかけて来る。
はたった今一瞬頭を掠めた予言めいた考えを慌てて振り払った。
「いえ!何でも!・・・・・・・・・・・・そうそう、うん、そうだ、そうとは限らないしね」
前半をイタリア語、後半の呟きを日本語で口にした後、はベッドに潜り込むことにした。
「うぉっ!、お前体冷っ!!珍しく手が温かったから気付かなかったぜ」
「うん、長い間外に居たからさ。結構冷えて・・・・・・・・・・・・」
言いかけた所で、の体に自分の体を密着させて来たジャンの下半身の異変を即座に感じ取り、
は思わずそのまま数秒固まった。
今更この状況におろおろしたりはしないけど、何と言うか、ホント、どれだけ分かり易いの、マイダーリン。
「それはいけないな、俺達のベイビーを冷え切ったままで寝かせることなんて出来ない」
の背後からとジャンの体を抱き寄せるようにしてベルナルドの両腕が伸びて来る。
つまりは今サンドイッチ状態な訳だ。
ちょっと前の言葉を訂正。
どれだけ分かり易いのマイダーリンズ。
前と後ろ。
両方から熱くて硬い昂ぶりを押し付けられる。
早速ジャンがのシャツをじりじり捲りあげながら、直にその掌で肌に触れて来た。
「、あんたも凍えたままじゃ眠れないだろ?」
「・・・の安眠の為に貞操を守り続けてくれたんじゃないの?」
「ふふっ・・・どちらにせよ、俺もジャンもこのままじゃ眠れないよ、」
耳元でベルナルドから熱っぽく囁かれてぞくりときた。
ついさっきまで健やかに寝息を立てていたくせによく言ってくれる。
結局の予言めいた想像は全くその通りになってしまった。
とは言え、もこう言う事を全然期待しなかったかと言えば、
実はそうじゃないとこがまた困りもんだ。
ジャンの手がの胸元をまさぐる。
男にしては綺麗な、だけど節くれだった指が膨らみに食い込むように動いた。
「あんたの胸が巨乳になったら、俺のおかげだぜ、ちゃん」
の顔を間近から覗き込んでニィッと笑ってそう言ったジャンが、
不意にビクリと体を震わせ、掠れた高い声を上げる。
「ヒッ・・・〜っ〜っ、ベルナルド・・・!」
「胸の、特にここが弱いのはジャン、お前も同じだろう?」
背後からの耳朶にねっとりと舌を這わせてベルナルドが笑いを含んだ声でそう言った。
どうやら彼がジャンの胸の突起に手を伸ばしてそれを弄んでいるらしい。
そのベルナルドのもう片方の手はの内腿に伸ばされてるんだから、器用としか思えない。
「ふっ、ジャン・・・可愛い」
「ああ、確かに、ジャンは可愛いな。勿論、、お前も可愛いよ」
の太股周辺を焦らす様にして動いていたベルナルドの手が下着の上から揉み込む形で移動する。
既にじわりと中心から濡れた感触が滲みでてきているのを自身気付いていた。
このエロ親父、本当に参る。
何て言うか、本当にムカつく位に絶妙な焦らし方をするのだ。
それが恥じらいよりも先にの欲をこれでもかと言うほど刺激して、
気付けば誰より早く息が上がってると言う始末。
一人だけ羞恥プレイさせられてる気分だ。
「ふふっ、も随分興奮してるね・・・」
「そりゃ、これだけいい男に挟まれてりゃ・・・、それだけで濡れちまうよな?」
「・・・・ば、馬鹿じゃな・・・・・・ンッ」
憎まれ口を叩こうとしたところでジャンに唇を塞がれる。
更にベルナルドが肩口に舌を這わせ始めたのが濡れた感触で分かった。
密着した肌と肌が少しずつ汗ばみ始める。
硬い胸板の感触を前と後ろ、両方に感じる。
ベルナルドの手がの手を包み込む形でジャンの昂ぶりに触れさせた。
もうかなり熱くなってどくどくと脈打っているそれは、ぬるりとぬめった液体を滲ませている。
の口内に入り込んだジャンの舌が自分のものに触れられて一瞬動きを止めた。
「・・っ」
「・・・ハッ・・・」
とジャンの唾液がお互いの口腔から溢れる。
くちゅり、ぬちゅりと粘着質な水音がどこからともなく響き始めた。
とベルナルドの手の中にあるジャンの勃起したものが一層熱く、硬くなる。
それに合わせてベルナルドは彼の昂ぶりをより促す様に激しく手を動かした。
温くとろとろとした半透明の液体がとベルナルドの手にねっとりと纏わりつき、
それが潤滑油になる。
「ヤベ、・・・もう、・・・イク・・・っ!」
僅かにから唇を離し、ジャンが低く掠れた声でそう言うと、切羽詰まった表情を見せた。
その顔がまた堪らなく色気が有って可愛らしくて、の体の中心が酷く疼く。
瞬間。
ジャンが勢いよくのお腹に熱い精液を吐きだした。
「ふふっ、随分と一杯出したね、ハニー」
「二人がかりなんて、・・・卑怯よ、・・・ダーリン・・・」
軽く浅い息を吐きながら、ジャンがベルナルドの軽口に答えた。
その頬が薄ら上気して赤く染まってる。
がぼんやりとそれに見惚れていると、今度はベルナルドがに囁いた。
「今度は俺のタマの中のアレを吐きださせてくれるかい?ベイビー」
ど、ど、どんな御誘い文句だ、一体!!!
と、いつものならこれ以上に無く激しくツッコミたい台詞だ。
なのに、あんまり甘ったるい口調で言うもんだから、
は無意識に馬鹿みたいにとろけた顔で頷いてしまっていた。
「その次はあんたの中で俺をイカせてくれよ、」
正面から甘えるようにジャンに囁かれ、それにキスで応える。
ああ、駄目だ。
こうなるともう、自分で自分が手に負えない。
ジャンとベルナルドが望むなら、何だってしようって気になってしまうんだから。
寧ろ自分からもそれを求めて手を伸ばしてしまう。
だけど仕方ないじゃないか。
だってもう、非常識でおかしいと分かってるこの関係を、
そう理解しててももうは愛しくて手放せない。
のことをガキんちょどころか少年として見てた野郎共二人。
随分長い事女だって事実に気付きやがりもしなかった奴ら。
それでも、今は、
この上なくを「女」に戻す男は、ジャンとベルナルド以外に居ない。
両方好きだ、なんて欲張りにも程がある。
だけど、それを言うなら彼らだって同じ事。
でもそれでいいんだ。
は、それがいい。
今度の夜はジャンが真ん中になる日だったっけ・・・。
ぼんやりそんなことを考えつつ、
は噎せ返る程の甘い欲の湿り気を帯びた空気の中へと、再び溺れていったのだった。
(END)
アトガキ
実はLDG夢で真っ先に思いついたのがこの話だったりします(笑)。
ベルジャン自体が好きってところから妄想が膨れすぎてこんなことに。
でも本格的な攻めなジャンもいつかは書いてみたいです。
ではでは、ドマイナー上等!なこの夢にお付き合い、誠に感謝感謝ですv
失礼致します。