ボーイミーツガール戦争



「・・・おい」
「・・・・・・」
「・・・おい、
「・・・・・・・・・」
「おい!!シカトこいてんじゃねぇよ!!聞こえてんだろうが!」
「うっさい!!ああもう!こっちに近付くな!このどぐされ無神経男!!」
「アァ!!??何だと、こら!っつーか、お前は何を一人でかりかりしてやがんだ!?
久しぶりに顔合わせりゃ人のことガン無視しやがって!やっと口きいたと思やそれか!?」


お互いぎゃんぎゃんやかましく吠え立てる犬みたいに大声で喚き散らし、
同時に相手を視線だけで殺す勢いでジロリと睨みつける。
暫くの間ガルルルとばかりに目の前の相手を威嚇し続けた後、
とイヴァンはほぼ同時にふんっと荒い鼻息のまま目を逸らした。


ああ、ばからし。
ああ、こどもっぽい。
アホだ、アホすぎる!!


誰がって、まぁイヴァンのバカは勿論だけど、もそうだ。
自覚はある。
分かっちゃいる。
でも、それもこれもあれも全部、イヴァンのせいだ。
これでも達は一応、いわゆる恋人同士ってやつになってる筈なんだけど、
ほぼ毎度こんなやり取り。
元々イヴァンはをチビガキ扱いしてたし、
でそんなアイツのことを毛嫌いしてた犬猿の仲だったから仕方ないとも言える。
それでも今じゃ何だかんだでそれなりにお互いのいい所も悪い所もきちんと見えるようになってきた。
とは言え、やっぱりコイツの無神経さにムカっぱら立つのは変わらない訳で。


「俺がずっとここに顔出さなかったからそれで拗ねてやがんのか?
仕方ねぇだろう。ここんとこ色々立て込んでたんだからよ。
お前だってその位分かってんだろうが?」
「知ってる。これでもも忙しかったから。今更そんなことで拗ねない。
てか、拗ねてないから!!」
「ケッ!!どこがだよ?さっきからツンケンしやがって!マジで相変わらず可愛げのねぇ女!!」


イヴァンのバカに呆れたみたいな口調でそう言われ、またムカっとの頭に血が上る。
可愛げがないなんて、
今までイヴァンの奴からはそれこそ数えるのも馬鹿らしい位に口にされてきたし、
自分でも確かにそう思う。
だからってそれを素直に改める気にもなれないのは、イヴァンの態度にも問題がある筈だ。
そう言う風にしか考えられない自分も本当にどうかとも思いはするけど、
勢いがつき始めてしまうと憎まれ口は止まらない。
特にイヴァン相手だと、いや、コイツ相手だからこそ止まらないとも言える。


「だったらなんかより可愛げのある女のとこにでも行けば!?
何だっけ、あそこ・・・ジャンの言ってた『立ちんぼさんの小路』!?
そこで胸もお尻もあって、
しかもほっそりしてる綺麗なお姉さんと好きなだけヤればいい!!」
「なっ・・・!?お、お前、お前なっ!!それマジで言ってやがんのか!?
――――クソッタレ!!いいんだな!?
俺がホントに他の女とどっかにシケこんでヤりまくっても!!」


勝手にすれば!!??
そう言い返してやりたかったのに、
興奮しすぎて胸の奥からぐわわっと何ともいえないぐちゃぐちゃした感覚が競りあがってくる。
そして、気付いた時には自分の両目から一気に涙が溢れてきたのが分かった。
目の前に立ってるイヴァンがのその突然の変化にぎょっとしてこっちを凝視する。
それからすぐに激しく動揺した様子でおろおろし始めた。


「なっ、お、おい!?何なんだよ、お前は急に!?な、泣き落としとか・・・っ、
ズリぃだろうがっ、クソっくそっ!!」


確かに、この状況で唐突に涙なんて見せたら泣き落として言われても仕方ない。
だけど勿論にそんなつもりはなかったし、
そもそもそう簡単に泣けるような可愛げはは持ち合わせてない女だ。
計算で泣けるほど器用でもない。
自分でも予想外すぎて一瞬呆気に取られた位で、
でも、なんかよりイヴァンの方が相当慌ててるのが分かって、
思わず吹き出しそうになってしまった。
当然それは堪える。
何というか、今回はやっぱりの方がイヴァンの言う通りツンケンし過ぎたかも知れない。
久しぶりに会ったってのに、喧嘩で終わるなんて勿体無さ過ぎる。
まぁ、元々の原因は、お互いの仕事がバタバタする直前に会った時の、
イヴァンの一言だったりするんだけど。


「あああっ、クソっ、どうしろってんだ・・・!」


途方に暮れたような情けない声でイヴァンは今もおろおろし続けていた。
はと言えば、涙も止まっていたので、取りあえず手近にあったティッシュで目元を拭いて、
それからすぐ傍にあったソファにどさりと腰を下ろした。


「な、何だ・・・?おい、・・・?」
「こないだ、・・・に言ったこと、覚えてる?」
「はぁっ?」


つい数分前までぼろぼろ涙を零していたが、
余りに唐突にそう尋ねてきたものだから、
イヴァンは驚いたように何度か瞬きをしてを見た。
返事は最初から期待してない。
今の質問は話を始めるきっかけみたいなものだった。


――、お前ちっと太ったんじゃねぇか?
どうせまた調子こいてジャンやジュリオの野郎とバカ食いしたんだろ。


よりによってベッドの中でそんなことをのたまうものだから、
一瞬本気で殺意が湧いて、股間を蹴り上げてやろうかと思ってしまった。
実を言うと、最近食べ過ぎたかなと思い始めてた頃だったから、
図星と言えば図星だったのだ。
その後すぐにイヴァンもも仕事が忙しくなって会えない日が続いたから、
次に会った時には絶対同じ台詞を言わせてなるものか、と、
食事にはかなり気を付けてた。
勿論仕事が仕事だし、無理なダイエットで体を壊すような無茶な真似はせず、
必要な筋力も維持できるように努力した。
結果、それなりに効果は出た。
但し―――――


「・・・悪かったよ・・・」
「え?」


てっきりそんなことでふてくされてたのか、下らないとでも言われるのかと思った。
だけど、の話を聞いたイヴァンはバツが悪そうな表情をしつつ、
不機嫌な口調ながらそういってに謝ってくれた。
ぽかんと口を開けてイヴァンを見上げるに、
彼が小さく舌打ちをする。
そしての座ってるソファの隣にどさっと乱暴に腰を下ろした。


「あんときゃ、その前におまえがアイツらと一緒に居たの見た後だったから・・・、
そのー・・・あれだ・・・、・・・ムカついちまったんだよ!」
「・・・え?は?もしかしてさ、イヴァン、それ・・・ヤキモ」
「だああああっ!!クソッ!!分かったんならわざわざ確認するな!!」


言いざま、イヴァンは隣に座ってたの体に腕を伸ばし、
そのまま強引に押し倒す。
荒っぽい仕草で背中をドスリとソファに押し付けられ、
気付いた時にはアイツがの上に覆いかぶさってきていた。


「ちょ、ちょっと、まっ・・・!」
「これ以上待てるか・・・!どんだけ久しぶりだと思ってやがんだ!?」
「に、2週間とちょっと、かな・・・」
「その間俺はマスかくだけでガマンしてたんだ!
これ以上焦らされるのは御免だぜ」


分かり易く欲情でギラギラした瞳でを見下ろしながら、
イヴァンはそれこそ獣みたいにのシャツを引きちぎる勢いで乱していく。
更に言葉を発しようとした唇にイヴァンが噛み付くようにキスをした。


「っ、・・・ン・・・は」
「ふ・・・ぅ、ン・・・」


軽い接触なんてほんの一瞬で、あっという間に口内を犯され、食い荒らされる。
唾液が口から溢れて顎や首筋を濡らすのも構わず、イヴァンはの唇を貪り続けた。
の下腹当たりにさっきから何度も押し付けられてくるイヴァンのものは、
ズボン越しでも分かる位に熱く硬くなってて、それに耐えかねたのか、
アイツは片手で自分のベルトを外してチャックを開けた。


「い、イヴァン・・・」
「いきなり突っ込んだりしねぇよ・・・」


軽く息を弾ませながら、明らかに熱と欲を含んだ声でイヴァンが獣が呻くみたいに言った。
イヴァンの手が、乱したシャツの下からのわき腹から胸元に移動する。


「堪んねぇな・・・、お前の匂いも感触も・・・」
「あっ、・・・ぅっ・・・イヴァン・・・」
「お前のアソコも・・・、実はもう大洪水なんじゃねぇのか・・・?」


の首筋に顔を埋め、その周辺にねっとり下を這わせながら、
イヴァンがの反応を楽しむように卑猥な言葉を囁いてくる。
彼の舌が濡らした肌を熱く湿った吐息が撫でていき、
それだけで体の中心が一層疼いてく。
久しぶりの感覚にあっという間にお互いの体温が上昇するのが分かった。
最初にどんなにバカみたいに口喧嘩になっても、
こうなると後はもうお互いぐちゃぐちゃに溶けるまで離れられなくなる。
際限なく欲しくて欲しくて堪らなくなって、貪って貪りあって、ひとつになるから。
そう、いつもなら、そうなってるところ。


だけどここで、イヴァンのバカが、アホが、あんの超の付くどぐされ野郎が、
今のに決して言ってはいけない一言をのたまった。




「・・・、おまえ・・・胸が前より減ったんじゃねぇのか・・・?」




「―――――――――――」
「・・・まぁ俺は・・・そんなコト気にしねぇけどな・・・、なぁ、挿れるぞ・・・?」


ほんの一瞬頭の片隅でぶちりと何かがキレる音がした。
急激に体全体に広がってた熱が移動を始め、ある一部に集中する。
頭、に。



「こんの・・・・・・・・・、どぐされ野郎!!!!!」



渾身の力を込めたの拳の一撃は、
だけど体勢的に言えば今のの怒りを表すには、
比べ物にならない位に威力があるとは言えないしろものだった。
それでもまさかこの状況でがパンチを繰り出すとは、
夢にも思ってなかったイヴァンのアホには十分で。



「ぐっはっ!!!???」


見事の拳はアイツのみぞおちにめり込む。
ある意味かなり無防備な状態だったから、かなり効いたようだ。


「ゴホッ、ゲホッ、て、て、てめっ・・・な、何を・・・っつ・・・」


突然のことにゲホゴホとむせつつ痛みで苦しんでいるイヴァンの下から這い出すと、
はふんっと鼻を鳴らしてバスルームに向かう。


「なっ、!待ちやがれ・・・!」


ソファの上で間抜けな格好のまま、そう言ってを呼び止めるイヴァン。
はピタリと足を止め、振り返る。
にっこり。
自分でも褒めてやりたいほど今まで見せたことのない極上の笑顔を浮かべて、は口を開いた。



「クソッタレ!!!!」



(END)




アトガキ

『絶賛スランプ中なんですけども、久々にラキドをプレイし直したので、
イヴァン夢を書いてみました。
何か全体的にぐだった感じになってしもうたような・・・。
実は色々ツッコミどころが多い話なんですけど、
取り合えず久々ラキド書けたってコトで!
ではでは、ここまでお付き合い下さった貴重な姫様方に感謝しつつ、失礼致しますv