「・・・・・・・おはよう、さん」
「お、おはよ、・・・・・・ムツキ」


瞼を開けると、まるで示し合わせたみたいに目の前にあるムツキもと同じように目を覚ましたばかりと言う状況だった。
初めて、ムツキがの部屋に泊った日の早朝。
妙に照れくさい気分を味わいつつ、お互い視線を合わせて小さく笑う。
ムツキは頬を赤くして口を開いた。

「な、何か・・・やっぱり照れるね、こう言うの・・・」
「うん・・・・・・・、確かに」
「・・・でも俺、・・・気分は凄くいいよ。目が覚めてすぐさんの顔が見られるなんてさ・・・」

言って、彼はの体に腕を回して自分の胸に抱き寄せた。
ムツキはの部屋に遊びに来て遅くなっても、いつもは必ず自分の家に帰る。
おじさんが仕事で家を開ける期間が長いこともあって、
サツキやおばさんだけを家に残すのは心配だからというのがその理由だ。
確かに、今の世の中物騒だし、それも頷ける。
と、がその話に同意したところ、ムツキに困った様にこう言われた。

『人ごとみたいに言ってるけど、さんだって一人暮しなんだから、気を付けなよ?
戸締りはしっかりして、何かあったら連絡して。俺がすぐに駆け付けるからさ』

正直その言葉は本当に嬉しかった。
の事も家族と同じように心配してくれてるんだってことが分かったから。

「・・・あ、のさ、ムツキ・・・今日は、ゆっくりしてける・・・?」
「うん。今回は父さんが明後日までは家に居るって言ってたから、少し位なら遅くなっても大丈夫」
「そっか、うん、良かった・・・」

ムツキの返事に無意識に口元が緩む。
今目が覚めたばっかだってのに、こんな話をするのはおかしいのは分かってるけど、
それでもこんな風に彼と過ごす事の出来る日は滅多にない貴重な時間。
だからこそ、思わず確認してしまった。

「・・・今日はどうしよっか?さん、どっか行きたい所、ある?」
「え?や・・・特にそこまで考えてなかった・・・」
「あ、さんもなんだ?実は俺も・・・、さんの部屋に泊れるってことで頭が一杯になっちゃってて・・・」

言ったムツキが照れた様に苦笑する。
それにつられても笑ってしまった。
こう言う事を素直に口に出してくれるムツキのこと、本当に好きだなと思う。
正直は余り可愛らしく素直な事をいえる性質じゃない。
それでも彼がいつも絶妙のタイミングでこう言う台詞をくれるから、
変に気取らず自分の気持ちを口に出来るようになった。

「実はも同じ理由・・・だったりするんだよね。
ムツキが泊るんだと思うとそればっか考えてそわそわしてた」
「・・・・・・さん・・・。
・・・・・・・それじゃあさ、取りあえず午前中はゆっくりここで過ごすってことにしても・・・いいかな?」
「うん、勿論、賛成」

答えたの唇。
ムツキが自分の唇をそっと重ね合わせる。
は素直に目を閉じた。
柔らかく押し当てるように軽いキスを2度、3度、繰り返して、
4度目のキスでムツキの舌がゆっくりとの唇の挿し入れられる。
抱きしめられたままの密着した肌と肌の心地よさも手伝って、たったそれだけのことで甘ったるく蕩けそうな錯覚に陥った。
少しずつ確実に達の口内にお互いの唾液が混じり合ったものが溢れていく。

・・・さん・・・」

の唇を甘く食むように唇を動かして、
ムツキは殆ど声にならない声で呟くみたいにの名前を呼んだ。


「好きだよ、・・・・・さん・・・・」


続けられた言葉に、ドクンと大きく心臓を突く鼓動の音が聞こえた。


甘い言葉とか、甘い空気とか、恋人同士独特の雰囲気が、はずっと苦手な方だと思ってた。
ドラマとか漫画のヒロインは、何であんなにも溶けそうな表情で相手を見ていられるんだろうと内心呆れても居た。
だけど、今。


呆れる位に甘い空気の中、同じ位に甘い言葉を囁かれて、は―――――――――



「・・・・・・・・・、も・・・」



とてつもなく、幸せを味わっていたりする。



だってきみが好きなんだもの


(END)



アトガキ
ブウウウウウっ!何かものっそ砂吐き気味なものが出来あがってしもうた(笑)
長さ的には明らかに短い部類なんですけど、こ、この糖分配合値、あり得ぬぇえええ!
読み直してチェックするのが辛い一品になりましたが、これもきっとムツキ愛故に!(
と言うことで、このお話にここまでお付き合い下さった姫様!誠に誠に有難うございます。
感謝感謝!なのです。失礼致します。
Title by 群青三メートル手前