突然降り始めた雨は、数秒程でどしゃぶりになった。
そして私が咄嗟にタイミング良く見つけて駆け込むことにした雨宿り先は、
今じゃ存在自体が珍しくなった電話ボックスだった。
中に人が居るかどうかを考えるより先に、
は勢い良くそのドアを開けて中に入り込もうとした。
瞬間。
「わっ!?」
「わぁっ!!??」
電話ボックスの中には、先客が居た。
驚いて声を上げたと彼は、お互いが顔見知りだと分かって尚更驚いた。
と言うか、顔見知りなんてもんじゃない。
電話ボックスの先客はユキで、彼は私と現在進行形で付き合っている彼氏ってヤツだから。
「ユキ!」
「・・・!って、驚いてる場合じゃない、早く入って!」
言いざま、ユキは既に濡れ鼠状態の私の腕を掴んで電話ボックスの中に引き入れた。
「もしかして誰か入って来ちゃうかなとは思ってたけど、まさか君とは思わなかったよ。」
「確かに、凄い偶然。っと、ごめん、狭くてあんまり避けられないけど、私に近寄るとユキも濡れる。」
「え?そんなこと気にしなくていいよ。っていうかさ、君、凄い濡れちゃってるよ。
そのまんまじゃ絶対風邪引くって。」
「まぁ確かにずぶ濡れだけど・・・、この位なら平気、少し寒いかなって程度だし」
そう答えながら、はなるべくユキと体が触れないように背中をガラスに貼り付けた。
ユキは気にするなとは言ってくれたけど、今のは本当にずぶ濡れなのだ。
殆ど雨の被害に合ってない彼を巻き添えにする訳にはいかない。
大体ここでユキが濡れたら雨宿りした意味がなさ過ぎる。
って、まぁ、ずぶ濡れのが言うのも何だけど。
「」
「ん?」
「そんなに僕から離れようとしなくていいんだよ。さっきも言ったけど、全然気にしなくていいんだからさ。」
「いやいやいや、でものせいでユキが風邪引いたら困るし」
「僕はそんなに柔じゃないって。知ってるでしょ、これでも鍛えてるんだ」
「そりゃまぁ・・・、けどそれとこれとは別で・・・・・・・っ!?」
更にそう続けて返事をするの腕。
ここに引き入れた時と同じように、ユキは力強く引っ張った。
必然的には彼の胸に自分の体を寄せる形になる。
「ゆ、ユキ!」
「うわ、君予想以上に冷えちゃってるじゃない。体全体冷たいよ」
「そんな大げさな!って言うか、マジ濡れるって!」
「いいや!これは大げさじゃないね。は人の事ばっか気にしてないで温まらなくちゃ」
言ったユキがの背中に腕を回し、ぎゅうっと力を込めて抱きしめる。
「ええええええ!!??もしもし!?ユキくん!?」
「どう?これで少しはあったかくなれそう?」
「って、ユキ!!」
もうこの状況じゃあユキの服が濡れるってことに騒いでも手遅れだ。
彼がを抱き寄せた上にかなり体を密着させたことで既にユキの服にもじとっと水分が移ってしまってる。
「あーあ・・・ユキまで濡れてどうすんの・・・。まぁ、が悪いんだけど・・・」
「僕はこの位平気だって。ねぇ、それより寒くない?」
「え?・・・うん、それは・・・うん」
濡れた洋服が体に張り付いて少し気持ちが悪いけど、
雨で冷え始めていた体はユキに抱き寄せられたことで少しずつ生温い体温を生み出している。
温かいとまでは言えなくても、さっきみたいに肌寒さを感じる事はなくなった。
何か、ユキ自身を犠牲にした感が拭えなくはないけど。
「・・・ごめん、ユキ。有難う・・・」
「君が謝ることないって。・・・って言うかさ、単に僕がこうしたかっただけってのもあるんだ・・・」
台詞と同時にさっきより少し腕に力を込められたように感じて、は照れ隠しにわざと声を上げた。
「・・・・・・ま、またそう言うことを!」
「へへっ、ま、そう言うことだからさ、君は気にしなくていいんだって。
・・・・・・・・・・僕が、君に触れたくて我慢できなかっただけなんだからね・・・・・・・・・・」
言ったユキが唇を耳に押し当ててくる。
外ではまだ雨が激しく降っていて、電話ボックスの中ガラスを激しく打ち付けていた。
でもここからは外の様子は分からない。
ただ雨が凄い勢いでガラスに降り注いでる様子が見えるだけだ。
「・・・・・・ゆ、ユキ・・・?」
「ねぇ・・・」
「な、何?」
「・・・・・・もう少し、温めてあげようか?」
「・・・・・・・・・・・・え?・・・・・・ユキ?」
が彼の名前を呼んで問い返したのと、ユキがの耳朶に舌を這わせ始めたのは殆ど同時だった。
唐突なユキの行動に、は反射的に体を小さく震わせる。
「ちょっと、なななっ・・・!?」
「動かないで・・・、」
ユキがそう口を開いたのと一緒に湿った吐息が直接耳元に吹きかけられた。
そして彼は耳朶を軽く甘噛みしながら、
片手で雨で張り付いた服の上からまさぐる様にの胸の膨らみを撫で始める。
「・・・ゆっ、き!・・・ここ、電話ボックス・・・!」
軽く体を動かして抵抗を試みるも、男女の力の差ってのは勿論だけど、力自慢のユキに敵う訳もなし。
ここに入った時から濡れていたとは言え、今耳に感じる濡れた感触はそれと比べらるようなものじゃない。
鼓膜に直接響くように、ユキの舌が耳を這いまわる湿った音が聞こえる。
「知ってるよ・・・、大丈夫・・・。誰も入ってこれないように、僕がドアの方に立ってるでしょ・・・?」
そう言う問題じゃなくて!!
なんてツッコミは多分口に出したとしてもきっと無駄なんだと思う。
大体そんなことを計算して立ち位置まで変えてしまってる時点でが抵抗しようが無駄ってもんだ。
だけど実のところ、本当にそこまで嫌なのかって言われると、そんな訳ある筈なくて。
問題と言えば、ある意味でそこが問題かもしれない。
「・・・・・・・・・・・・・、顔上げて」
「え?・・・・・ン、・・・」
言われたとおりに少しだけ顔を上げたところでユキに唇を軽く触れ合わせられた。
それから彼はの唇を舌でゆっくりと辿った後、強めに唇を重ね合わせ、ぬるりと舌を口内に侵入させてくる。
ユキはの舌を何の躊躇もなく捕らえると、それを絡み合わせた。
「・・・・・ふ、・・・」
「・・・・・・・・、っ・・・・・・」
唇を合わせたまま、同時に柔らかく胸元を揉みしだいていたユキの手が少しずつ移動して、
の洋服を捲りながら直に肌に触れてくる。
雨で張り付いているからそうそう簡単に彼の手の侵入を許すことはなかったけど、
それでも確実にユキは目的を成し遂げようとしていた。
「っ、ちょ、・・・ユキ・・・・!」
キスの合間に抗議の声を上げる。
その拍子に口内に溢れた唾液がつぅっと唇の端を伝う。
彼は舌でそれを追うように舐めた。
「・・・・・・・・・、さっきより・・・体が熱くなってきてるって気付いてる?」
「・・・・・・な・・・っ!?あっ・・・!!」
ブラを無理やりに片手で押し上げ、ユキの掌が直にの胸の膨らみを包み込む。
更に、彼はその指先での胸の突起を摘まんで転がす様に動かし始めた。
「っ、ゆ・・・き、・・・・!」
無意識に声が甘ったるい響きを持ち、ビリリと体に微かな痺れが走る。
「もう少し体あっためようか・・・・。もっと熱くなってよ・・・、・・・」
唇と唇。
殆ど触れ合わせた状態でユキはそう囁くと、再度、にキスをした。
ユキの言う通りだ。
さっきまで水分を吸った洋服がぬるま湯に浸かってる程度の温かさだったのに、
今はもう熱いと感じる位になってしまってる。
そして体の奥から湧き出る甘い痺れは、間違いなくユキがを翻弄してる証拠で。
不意に視界に入った電話ボックスのガラスは、達の体温で白く曇っていた。
雨はまだ、降り続いてる。
激しく降りしきる雨の音を耳にしながら、は自分からも彼の体に手を伸ばした。
このまま雨が止まなければいい、なんて。
そんなことを考えてしまったのは、当然、ユキには秘密だ。
(END)
アトガキ
貴様らは電話ボックスで何をしている!って感じですが(笑)
(と言うかそれ以前にどんだけ広い電話ボックス・・・)
梅雨的なネタとして使えるかなと思い、以前執筆しかけて放置してた物を書きあげてみました。
何気にユキ4本目!・・・あれ?私、本当はセイ様(大笑)ラブな筈なんスけども。
ユキは一番ネタ出しやすくて書き易いのかもしれません。
彼は基本ほのぼのだろうがダークだろうがギャグだろうがどれもイケそうですしね。
そして今回みたいにナチュラルにエロ方面へいけそうだし(そこか!)
と言うことで、ここまでお付き合い下さった姫様!!心底感謝なのです!
有難うございます、失礼します。