すれ違いざま。
ほんの一瞬、絡まり合う視線。
その一瞬に、とてつもない快感を覚えるときすらある。
それを何気なくあの男に話すと、彼はいつものように薄い唇の端を吊り上げて笑った。
「ふぅん・・・。」
短く返すその曖昧な、相槌とも言えないそれは、奴の口癖でもある。
中嶋英明。
端正な顔立ちに、いかにも神経質そうな、眼鏡の奥の冷めた瞳が印象的な私の職場であるこのBL学園の生徒会、副会長だ。
そして―――。
「それは俺とこうしてキスをする以上に感じる快感なのか?先生?」
静かにそう口にすると、彼は椅子に座っている私の方へと屈み込み、唇を合わせてきた。
唇が触れ合った瞬間から、熱を含んだ湿った吐息が私の口内を満たす。
僅かに開いた私の唇を割るよう様にしてぬらりと彼の舌が入り込んでくる。
絡まり合った舌が、強弱をつけて吸い上げられ、既に私の意識と思考をかき乱していた。
高校生にして恐るべきテクニックの持ち主。
そうだ、彼は私の恋人でもある。
彼の骨張った長く、そして男にしては白いその指先が私の首筋に触れた。
そしてその指先は私の肌を滑るようにして降りていき、シャツのボタンへとかかる。
手馴れた様子で外されていくボタン。
本当に、仕草全てに舌を巻く。
「俺がこの手で直接与えるこの刺激よりもか・・・?」
ヒデは濡れたお互いの唇を殆ど触れ合わせたまま、囁くように再び問いかけた。
彼の手元で私のブラのフロントホックがパチンと小さな音を立てる。
外気にあてられたことで鳥肌の立っている私の胸元に、
ヒデの指先が引っ掻くような刺激と一緒に移動して行った。
「ヒデ・・・。」
「何だ?。」
真っ先私の視界に入るのは、レンズの奥に青い炎を称えたヒデの瞳。
ゆらゆらとゆらめているその炎に魅せられるようにして、私は少しの間それをジッと見つめていた。
「キミから直接与えられる刺激が大きければ大きいほど、
すれ違いざまの一瞬の快感は最高なんだ。念の為、確認してみるか?」
「フッ・・・・。」
口元に薄い笑みを浮かべ、ヒデはゆっくりと眼鏡を外した。
そしてそれを制服の胸ポケットへとしまう。
「ならば今回はいつもより更にハードなコースを選んでやる。
次に廊下ですれ違う時には、一瞬でイク程の快感をお前に与えてやろう、。」
いかにも楽しげに歪められた薄い唇に、私はただ小さく頷いた。
次に廊下ですれ違うその時、すれ違いざまに与えられるその大きな快感を思って。
(終わり)
後書き
初中嶋SSS・・・。お題に沿ったつもりだったのですが・・・、うううーん。
そして彼は微エロ系が多くなりそうな予感。キャラがキャラだけに。
で、ではではここまでのお付き合い、誠に有り難うございました。
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