「哲也、そろそろ朝食食べて学園に向かったらどうだ?」
「いーやーだー。」
「・・・・・キミは・・・また・・・。」

はぁー。
と、私は大きな溜息をひとつ、吐く。
未だにシーツにくるまって枕に顔を押し付けている哲也。
まったく、図体のデカイ子供も居たもんだ。
私は無意識に、ヤツの後頭部にそっと手を触れた。

「いい加減、中嶋にばかり仕事を任せるなよ。
おかげで私は書類の山に埋れた生徒会室で、嫌味を言われたじゃないか。」
「ヒデの嫌味は今に始まったことじゃねぇからな、そんなの言わせとけって。
今日は日曜日だぜ?仕事なんてやってられっかってんだ。」
「・・・キミの場合、曜日に関係なく仕事を滞らせているようだが?てっちゃん。」

哲也の硬い髪質の少し茶色がかった毛を掌で弄びながら、私は呆れた声で返した。
不意に、ヤツががばりと身を起こす。

、お前なぁ、それこそ嫌味だろうが!ヒデと同じようなことを言うなよ。」
「ふふっ・・・アイツは教師でも容赦せずに嫌味を発してくるからな、
おかげでそれが体に染み付いたらしい。」
「勘弁してくれよ・・・ったく・・・。大体、お前最近忙しくて俺とまともに会ってなかっただろ、
久しぶりにゆっくり出来るチャンスだってのに、追い出すなよ。」
「ああ、カズの理事長職の方の手伝いをさせられてたからな。
とは言っても、学園内じゃ毎日顔を合わせて居たし・・・・。」
「るせぇっ、そんなのは会ってる内には入らねぇんだよ。」

哲也の浅黒く筋肉質な腕が、シーツから顔を出し、素早く私の肩を捕らえる。
そして私は体ごと強引にベッドへと引き寄せられた。

「っ・・・哲也?」
「こっちは全然お前が足りてねぇってのよ・・・朝になった途端にさっさと着替えまで済ませやがって。」
「ふふっ・・・そう拗ねるな、哲也。裸のまま料理するわけにもいかないだろう?」

奴のひざの上に乗せられた体制で私は思わず苦笑する。

「チッ・・・余裕見せやがってよ・・・。」
「余裕・・・?クスクス・・・そうか、キミにはそう見えるのか・・・。」
「ああん?何だって?今の、聞こえなかったぞ。」
「独り言だ、気にするな。」

言いざま、私は哲也の唇に軽くキスをした。
一瞬、奴が面食らった様な表情を見せ、でもすぐに口元にニヤリと笑みを浮かべた。

「ってことで、だ、。今日は俺は仕事をする気は全くない!
今まで会えなかった分、これからここで取り返そうぜ。」

ゆっくりとベッドの中へ私を沈めながら、哲也が耳元で囁きかける。
私の目の前に迫っているのは、高校生と言えど厚く逞しい褐色の胸板。
私の体の芯が、熱を帯び始める。

「大人の余裕・・・か・・・。」
「ん〜?何だって?」

私のシャツのボタンをひとつひとつ外しながら、哲也が言った。
私はフッ、と、目元に笑みを浮かべる。

「哲也、キミには負けたって言ったんだよ。」

私は手を伸ばして哲也の腰付近の硬い筋肉の形をなぞるように指先を滑らせ、
そのまま腕を絡ませた。


―俺の頼んだ仕事はキッチリこなしてくれているからとやかく言うつもりはないが、
最近ボーっとしていることが多いんじゃないのか?


理事長であるカズにここ最近からかわれるようにして言われた言葉。
哲也、キミは私のこのギリギリの余裕、いつ気づいてしまうだろうか?


(終わり)



後書き
丹羽夢2本目・・・もうこれ取りあえずはこの教師ヒロイン固定にしておくか(苦笑)
思い浮かぶのがことごとくこのヒロインなので仕方ない。
ではでは今回はここまでのお付き合い、誠に有り難うございました。


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