生徒会室。
数時間程前まで書類の山に囲まれ、乱雑だったその場所は、ようやくどうにか収まりを見せてきていた。
窓の外から見える空は既に薄紫色に変化しており、幾つか星が姿を見せている。
は今ファイリングし終えたばかりの資料を、少々荒々しく卓の上へ置いた。

「これでいいだろ、教師の私がここまで加勢してやったんだ。
・・・次、丹羽に出会ったらただじゃおなかない。あの暴君・・・・。」

フン、と、彼女は鼻を鳴らしてそう言い、その傍らで無言のままパソコンのキーを叩き続けていた中嶋に視線を移した。

「ああ、どうも。助かりましたよ、先生。」

彼は薄い唇の端を歪めるようにして笑って見せた。
はその中嶋の表情に軽く溜息を吐く。

「カズの用事ついでに顔を出した私が馬鹿だった。
修羅場の生徒会室なんていつものことだと思ったが・・・。」
「フッ・・・そう拗ねるな、。そうだな・・・お前のお陰で思った以上に仕事もはかどったことだ、
感謝の印にこの俺がご褒美をやろう。」

そう口にしながら、中嶋がゆっくりと椅子から立ち上がる。
同時にはクルリと椅子を回転させ、彼を見上げた。

「ヒデ・・・私としては物的な褒美を望みたい所なんだが?」
「ほぉ・・・、物的・・・ね。今から俺がお前に与えようとしているものでは不満だと言いたいのか?」

一歩、また一歩。
徐々に彼女との距離を縮めていく中嶋に、は椅子から腰をあげる。
中嶋の眼鏡の奥の静かな瞳は、既に生徒会副会長としての彼のものとは違っていた。
冷たく鋭い、例えるなら猛禽類の様な隙の無い視線。
そして彼のこの瞳の変化は何を意味するのかを、はよく理解していた。

「不満な訳じゃない・・・ただ・・・。」
「ただ、何だ?」

中嶋の長い腕が彼女の華奢な腰を捕らえ、それと共に太股を割るようにして互いの足を絡め合わせる。
は少々バランスを崩しかけ、中嶋はそれを狙った如く卓上に彼女を押し付けた。

「・・・キミの褒美は、今頂くには場所が悪すぎる・・・。」
「クック・・・生徒会室がか?だが、今更だろう。大体、この時間校舎に残っている人間はそう多くない。
俺が夜まで仕事をしていても他の者が入ってきた試しはないからな。」

言いながら、彼は片手をのわき腹から太股までを撫でるように移動させる。
そしてやがて中嶋の骨張った指先がのスカートの裾に触れ、
スカートの布地で彼女の肌を滑る形で捲り上げ始めた。

「珍しいな、。いつもはスーツでもパンツスタイルのものが多いだろう。」
「ん?ああ・・・今日は仕事でカズに頼まれて行く所があったからな。」
「ふぅん・・・。」

彼はいつもの如く一言で返し、程なくしてのストッキングを手馴れた様子で太股付近までずらした。

「っ・・・ヒデ!これは私への褒美じゃなかったのか?
だったらせめてもう少し私の希望を汲んで、ここでは控えて・・・「。」

彼女の言葉を遮るようにして、中嶋は彼女の耳元に唇を寄せ、名を呼んだ。
書類の置かれた卓上で羞恥心を押し隠すような表情の彼女は、
だがやはり成熟した大人の女らしく、扇情的であり、官能的に見える。

「この男ばかりの学園内で、俺以外の男に脚を見せるような真似はするな。
お前は俺のものなんだからな。」
「ヒデ、キミのその独占欲は嬉しくもある・・・が、私の話をちゃんと聞いてたか?」
「ああ。だが・・・そうだな、ご褒美は取り下げだ。今のお前に必要なのはお仕置きだ・・・。
こんな淫乱な恰好で校内の生徒に刺激を与えたんだからな。」
「なっ・・・!」

熱く湿り気を帯びた吐息と同時にの耳元で囁かれた中嶋の台詞。
彼女は目を見開いて中嶋の眼鏡の奥の青い炎を称えたその瞳と視線を合わせた。

「スーツならば別にスカートである必要もあるまい。丈の長さも一般的とは言い難いものだしな。」

つ、と、彼の指先がストッキングの上を爪で引っ掻く如くして動く。
そしてその刹那に、ストッキングは見る見る伝線していった。

「ヒデ・・・ァっ!」

抗議為にが口を開いたと同時に、彼女の耳朶を中嶋のぬらりとした熱い舌の感触が襲う。
それに反応し、彼女の体が一瞬大きくビクンと跳ねた。

「言っただろう、。これはお仕置きだ。お前の意見や希望を汲む必要はない。
ただし・・・声の大きさには注意した方がいいかもしれないな。」
「・・・っ!キミは・・・っとに、典型的なS気質だな・・・。」
「クックック・・・。」

彼はいかにも愉しげに喉の奥で笑い、
掌でその滑らかな肌の感触を味わうようにの内腿をゆっくりと撫でた。

、お前は俺の当初の想像以上にいい女だ・・・。
俺からの刺激に過剰な程淫らに乱れ、そしてまた外見とは裏腹に純粋で幼い・・・。」

言いながら、彼は片手で手早く自らの制服のネクタイを緩め、
それを首からシュルリと音をたてて抜き取った。


「ヒデ・・・!そのネクタイをどうするつもりだ!?まさか・・・キミ・・・私に・・・。」
「ほぉ・・・俺はただ自分の服を脱ぐのに邪魔だと言う理由でネクタイを取っただけだったんだが、
そうか、、お前はお仕置きの小道具が必要だと考えているようだな?」
「・・・あっ!!??」

自ら墓穴を掘ったことを悟り、瞬時にの顔色が変わる。
ニヤリ。
曲げて笑んだ中嶋の唇が、さも愉しげに彼女に告げる。


「ご褒美は取り下げたが、ここはお前の意見を取り入れてやるのも悪くない。
、お前はこのネクタイをどう使って欲しいんだ?」



(終わり)



後書き
中嶋ですから(取り合えずこれで全ての言い訳がつきそうだと思えるキャラ)
・・・・・・・・いや、でも、しかしそれにしても展開のいろはがなっていない(苦笑)
三人称でこのシリーズを書いてみたかっただけなのに、気がつけばこんな感じでした。
ここまでのお付き合い、誠に誠に有り難うございました。では失礼します!


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