Jesus! Jesus!「さすがクラスX・・・やることも非常識よねぇ。」 「ホント、ホント。」 ヒソヒソ。 「見た!?今朝のアレ〜。」 「見たわよ!!あれはあり得ない!」 ヒソヒソ。 「一見普通の子に見えるのにスゲェな・・・、あのコだろ?」 「ああ、・・・あんま見るな、それに近寄らない方がいいぜ・・・。」 ざわざわ。 ザワザワ。 そこかしこで囁かれる言葉。 正直、めっちゃ、丸聞こえ。 つか、痛い。 白い目で見られつつ、同時に視線がぐさぐさと刺さる。 特に女生徒からの視線。 ぐっさぐさ。 ぐっさぐさ。 肌を抉る勢いであたしに突き刺さってる。 オー!ジーザス! 葛城先生じゃないけどマジで叫びたい。 それもこれも、全部アイツのせいだ。 ああああああもおおおおおおおおおおおおおおおお!!! ああああああああああもおおおおおおおおおおおおおおおお!!!! マジで最悪だよあのどぐされ野郎!!!! 皆好き勝手ヒソヒソ言ってるけど、誰が一番の被害者ってあたし以外の何者でもないのだ。 毎度毎度あの悪魔の魔の手に引っかき回されては巻き込まれてるあたし。 そして、アイツは今回ばかりはその中でも超超ド級に最悪の事をやらかしてくれた。 「くっ、もおお、もおおお・・・・!!」 ダムダムと地団太を踏みたい衝動に駆られつつ、あたしは足早に廊下を歩く。 とにかくさっさと人目のつかない場所で精神の安息を測りたかった。 「オーウ!コブタ!まぁた仔ウシになっちゃってンのかァ?嬉しそうに一人で鳴いてンじゃねェぞー?」 「!!!!!!!」 あたしの正面。 角を曲がる寸前。 ひょっこり姿を現したのは、説明する必要もなくどぐされ小悪魔、仙道清春。 あたしは咄嗟に距離を取りつつ、何があっても反応できるようにさっと構えた。 「出たな!!この悪の総大将!!!」 「キシシシシッ、いいな、ソレ。オレ様のビッグな感じが出てるじゃねェか。」 言いながら、いつもと同じくあの独特の笑顔を浮かべるキヨ。 しまった!逆に喜ばせてしまったじゃないか! 「あんたねぇ!!よくもヌケヌケとっ―――」 言いかけて、あたしはそこで動きを停止した。 あたしとキヨ。 二人揃ったところで、またしても。 ヒソヒソヒソヒソ。 ざわざわざわざわ。 ぐっさぐさぐさぐっさぐさ。 さっきよりも更に酷い周囲の生徒の声と視線の嵐。 ヤバい。 まずい。 このままじゃ皆の注目の的過ぎる。 あたしは咄嗟にキヨの腕をガッと掴む。 「アア?ンだぁ?」 「いいから!!ちょっと来て!!」 「オレ様に命令する気かよ。仔ウシ。」 「うっさいわ!!!もとはと言えばあんたのせいでしょうが!!つか仔ウシって言うな! とにかくどこでもいいから人気のない場所でしっかりあたしの文句を聞いてもらうから!」 「人気のねぇところォー?おいおい、コブタもダイコンだなァ。 そんなにこのオレ様と二人っきりになりてぇのかァー?シシシシシッ」 神様あああああああああ!!この小悪魔を今すぐ消滅させたまええええ!! 「ダイコンの意味が分からん!大胆のつもり!?ああくそ!いいから来て!!」 「しゃーねぇなー、今回だけは特別にオマエの言うこと聞いてやンぜェー!感謝しろ!ケケッ」 あああもおおお。 あああああもおおおおおお。 もおおおおおお。 何でコイツってばいちいちいちいちこうムカつくことしか言わない訳!? 苛々と唇を噛みしめてキヨに思いきりガン垂れてやりながら、 あたしは奴の腕を掴んだ手に力を込めて足早にその場を後にした。 あたし達が居なくなった後はまた生徒たちのざわめきの嵐だろうけど、今はそんなこと気にしない。 「でぇ?はオレ様と二人っきりでナニをしてぇのかなー? このオレ様をこんな所まで連れて来やがったンだ、つまンねェことだったら許さねぇぞ。」 空き教室の片隅。 キヨは机の上に堂々と腰かけて、口の端をグイと引き上げて見せた。 「・・・・・・・・・・・・あんた、ほんっとに分かんないの?何であたしがあんたをここまで引っ張ってきたか。」 と言っても、後半はいつの間にかあたしがキヨに引っ張られる形になってた訳だけど。 それはそれとしても、とにかくコイツには言いたい事が山ほどある。 山ほど。 それこそエベレスト並にある。 「アアー?なァーんのことだァー?オレ様ぜんっぜん分かりまセーン!ギャハハハハ」 「〜〜〜っ!!!!!」 大げさな身振り手振りでキヨはそう言うと、ゲタゲタと一人で笑いだす。 完全、完璧、あたしをからかって遊んでる。 ここで切れたら負けだ。 それは分かってる。 分かってるんだけど、今回ばかりはキレないわけにはいかない。 何故なら。 「今朝!校門前で・・・・!あたしにキスなんかしたのはどこのどいつよ!!??」 バンっ! 言いざま、あたしは思わず奴の腰掛けている机を掌で叩いていた。 そう。 この超どぐされ小悪魔は、こともあろうに顔を合わせた朝いち、校門前。 あたしを強引に引き寄せ、あの公衆の面前でキスをしたのだ。 よりにもよって登校中の生徒が大勢いるあの時間に。 これはもう嫌がらせを超えている。 悪戯なんて可愛らしい表現は出来ない。 (尤も、コイツの場合どれも際どいものだけど) 「オーオ!それでンなにコーフンしちゃってんのかァ?子牛はよー?キシシシシッ!」 「当たり前だ!何考えてんのよ!?っていうか、どうしてくれんの!?」 「なぁーにがァー?つーか、あの程度キスの内に入るかよ。唇じゃねぇんだから問題ねェーだろ!」 「問題ありまくりよ!って、大体、あれは咄嗟にあたしがバランス崩したからズレたんであって、 そうじゃなきゃあんた思いっきり口を狙ってたでしょう!」 「アア?ったりめぇだ、ヴァーカ!唇以外なんてつまンねぇだろうが。」 「つっ・・・!!!」 つまんねぇ!?やっぱそう言う悪戯と言うか嫌がらせの為だった訳か!? こ、こ、こ、こいつ。 こいつ。 この野郎。 このどぐされ悪魔あああ! 「あんな皆の前でキスしといてそのいい分!?あり得ない!」 「全校生徒の奴らに はオレ様のモンだって教えといてやっただけだロ?」 「だっ・・・、誰が!誰があんたのもんになったっての!?誰がいつ!?」 「オマエは天候初日からオレ様のオモチャだゼ。」 「転校!・・・いやいやいや、違う、ツッコンでる場合じゃなくて、そうじゃなく・・・。」 会話が。 会話がまともに成り立たない。 と言うか、あたし、何か半分混乱してる。 それもこれも勿論、目の前の悪魔がおかしなことばかり口にするから。 「おい、。」 「なっ、何よ?」 「オマエ、つい最近クラスAのイケスカねぇ野郎に告られてただロ。」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」 ぽかん。 何で、コイツがそんなことを知って。 そう思ったその瞬間。 『君は本来クラスXに居るべき人間じゃないよ・・・、僕が先生に掛け合ってあげよう。 僕は、君があんな聖帝のゴミ箱に居るのが耐えられないんだ・・・!』 「ブッ!!ちょ、な、何で!?これ、あの時の!?」 「オレ様が録音したに決まってンだロ!このクソ野郎にはトーゼン、 オレ様からたっぷりジョウザイを加えておいてやったゼ!」 「制裁!!・・・・・って、え!?ええええええええ!!??」 驚くあたしを他所にキヨはさも面白くなさ気な表情で続けた。 「ホントならその場で即効ヤってやるつもりだったんだけどよ、 オバケの奴がオレ様の邪魔をしに現れやがったからな。」 ききき、衣笠先生に感謝!!! じゃなくて! 「な、何で急にその話が出てくる訳・・・?って言うか、それと校門のことが関係あるの?」 「ヴァーカ!!大有りだってェーの! 二度とあんなフザケた野郎がオマエに手出ししねェ様に、 オマエはオレ様のモンだって見せつけてやっといたンだろーが!」 「な、何言って・・・!」 「それをオマエは唇以外の場所になんかキスさせやがって! まぁ周りの奴らはギャアギャア騒いでたけどなァ。」 「あれが普通の反応だっての!・・・って、さっきからキヨ、 あたし・・・マジであんたの言ってる意味が分からないんですけど。」 本当に分からない。 つまり、アレは嫌がらせの一種だったと言う訳じゃないと、そう言う意味だろうか。 でも。 だけど。 「オマエまぁーだ分かンねェのかよ!?」 「だ、だって!・・・そんな説明・・・まるで・・・。」 「まるで、何だよ?」 「まるで・・・・・・・・・・・・・・・キヨが・・・・・・・・・・・・・・。」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」 続きを口にするより先に、あたしはキヨから視線を逸らした。 こんなこと。 こんなこと考えるなんて。 酷い自惚れだ。 だってコイツはあの仙道清春。 今までだってさんざ苛めたおされて来て。 面倒事に巻き込まされて来て。 だけどそれは、あたしをどんなに叩いて壊そうとしても立ち向かってくる、 新しいタイプの玩具程度にしか思ってないからで。 でも、ついさっきのキヨの話を聞くと、どうしても自惚れてしまう。 キヨの奴は数分前までと違ってやけに真剣な瞳であたしをジッと見てる。 あたしが先を続けのを待ってるらしい。 「・・・・・・・・・・・・まるでキヨが、あたしのこと・・・好き、みたいじゃない・・・・・・・・・・。」 ようやく続けた台詞。 唇が小刻みに震えて、心なしか喉がカラカラになっていくようだった。 正面。 机に腰掛けたままのキヨの顔。 ニヤリ。 口角が、上がる。 「バァーーカッ!!みたいじゃねぇだロ!そうなんだよ!!」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・へ!?」 間抜けな声を出したあたしの肩に素早く腕を伸ばし、キヨは強引にあたしの頭を自分の胸に押し付ける。 あたしはバランスを崩して咄嗟にキヨの体にしがみついた。 「わっ、ちょ、わわっ!」 「暴れンなー、コウシ!オレ様は闘牛士じゃねェーぞ。」 言いながら、キヨは益々強くあたしを抱きしめた。 苦しい。 苦しいのに、全然、嫌じゃない。 何で。 こんなに、こんなに、嫌な奴なのに。 嫌な奴の筈なのに。 「どーせ、全校生徒に知れ渡った仲だからなァ、オレ様達は。 このオレ様がオマエを・・・ を大好きだって言ってンだぜ? オマエは諦めてオレ様のモンになっちまえよ・・・。マジで嫌なら、オレの腕振りほどいて逃げてみろ。」 「・・・・・・・・・・き、キヨ・・・。」 そうだ。 キヨの言う通りだ。 嫌なら、振りほどけばいい。 いつもみたいに、怒鳴って、暴れて。 だけど。 でも。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・バカキヨ・・・・・・・・・・・・・。」 「アア?」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・あんたの方が、ずっと分かってるくせに・・・。」 「なぁーにをかなァー?」 ギュウ。 あたしは奴にしがみついたままの腕の掌で、キヨの服を握りしめた。 「あたしが逃げらんないってこと!あたしが・・・あたしが・・・・・。」 そこまで言って、あたしはキヨの肩口に顔を埋める。 「・・・・・・・・・・・キヨのこと、好きなんだって・・・・・・・・・・・・・・・・・。」 どうして。 何で。 つい数分前まで、あんなにムカついて。 あんなにイライラしてたのに。 それでも。 結局こうして悪魔の手の内で踊ってしまう自分が居る。 だけど実は気付いてたのだ。 校門前のあり得ない不意打ちキス。 当然恥ずかしさと怒りはMAX だけど、もしもあれがキヨでなかったら。 もし別の誰かだったら。 あたしはソイツを絶対に許さなかった。 それだけじゃなく、二度と相手の顔を見ようとも思わないし、怒る前に泣いているかも知れない。 もしあれがキヨでなかったら。 そんなこと、考えたくもないと思う自分が居て。 「・・・顔、上げろ。」 「・・・・キヨ・・・え?ちょ、ちょっと・・・?」 「今度は絶対ェ唇以外にはしてやらねェ・・・。」 「・・・っ!」 近づいたキヨの顔。 縮まる距離。 あたしとキヨの唇。 僅かな距離は。 あっという間に、0に、なった。 ―――――カシャッ。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。・・・・・・・・・・・・・・・。・・・・・・・・・ん?・・・・・・・・・・・・かしゃ?」 今、ものっそい、ものっそおおおおいいいい、不穏な音が。 まさか。 まさか。 まさか。 「ムービーメール送信♪、オマエに告りやがったクソッタレの携帯に送っといてやったゼ!」 「は?はああああああああああああああ!!!???」 「ついでにB6の奴らにも送っといてやンぜー! オレ様達が付き合い始めたってのを広告しといてやんねぇとなァ!」 「報告!!じゃなくてえ!ちょお!!??ぎゃあああ!止めて!!お願いだから止めて!」 心底動揺しまくって焦るあたしを他所に、キヨは上機嫌でメールを一斉送信する。 ああ。 あああああ。 あたしは、あたしって奴は! よりによってどうしてこんな悪魔を!! 「頼むから、マジ止めてええええ!!!」 悲痛なあたしの叫び声。 ガランとした空き教室の中。 それはそれは、とてもよく響いた。 (END) あとがき
キヨへの愛を叫んでいいですか(どんな挨拶)
・・・すみません、DS版発売後、初の夢はやはり最愛の清春でした!パウパウドンドンドン 今回はぎゃぐほの?な感じ・・・なんですかね。キヨと言えばカメラの類と水鉄砲と言ったアイテムは外せない。 と言うことで、思い浮かんだネタでした。 ではでは、ここまでお付き合い下さった姫様に深く深く感謝しつつ、失礼致します。 |