「心臓すごいコトになってんぜ?」


何で。
どうして。
なにゆえ。
あたしは今、こんな状況に陥っているのだろうか。


「き、キヨ・・・これ、何かおかしくない?っていうか、絶対おかしいから、ねぇ、何であんたはいきなりあたしの上に・・・。」
「なァーに焦っちゃってるンですかァ?コブタちゃんはよォー。」
「普通に焦るわ!!・・・だ、だってあんた・・・。」

あたしの現在の視界。
最近何度かお邪魔してそろそろ慣れてきたオモチャ箱的なキヨの部屋、の天井。
そしてキヨ自身。
以上。
つまり、あたしは今、キヨの奴に押し倒されていたりする。
ベッドの上に。

「ケケッ・・・今更ビビってんじゃねェーっての。
オマエはオレ様のもんなんだからこのッ位当然だろうが。」
「この位!?え、や、あの、待って、待って、キヨ!
今日はあんたがあたしに貸してくれるCDが部屋のどっかに埋没してるっていうから、
それを探しに来ただけで・・・・・・・・・ってちょっと、人の話を聞け!」

動揺しまくり、あせりまくりのあたしを他所に、キヨは着々とことを進めて行こうとしている。
あたしの脇腹辺りからシャツを捲り上げてキヨの手が滑りこんできた。
あたしは慌ててそれを阻止すべく両手で力いっぱい奴の胸を押し返す。
だけどそれはすんなり受け流されて、キヨはあたしの首筋に顔を埋めた。

「キヨ!!話が違うっ!」
「なァーんのこと言ってンだァ?コブタ。」
「コブタって呼ぶな!」
「ああー、もう、ウルせぇな、オマエは。」

言いざま、奴があたしの唇を自分の唇で塞ぐ。

「・・・ン・・・っ・・・!」

ちゅ。
チュ。

それから何度かわざと大きく音をたててキスをすると、
同時に脇腹から服の中に侵入させた手をあたしの背中に回した。

「ちょっ・・・ちょっと、キヨ・・・!ま、待って・・・!」
「待たねェ、つか待てねェ・・・。オマエだってそうなンじゃねェの?」
「・・・・・・え?な、何、言って・・・。」
、オレ様に触れられて、ホントは嬉しいンだろ?」

プツ。
あたしの背中でブラのホックが外される小さな音がした。

「あ、あた、し、は・・・・っ・・・。」

無意識に反論しようとする声が震える。
その先が続かない。
あたしを至近距離で見つめるキヨの瞳。
いつもただふざけまくっている時とは違う。


ドクドク。
ドクドク。


あたしの心臓が、爆音を上げる。
ホンキでこのままあたしの胸を突き破ってでてきてしまうんじゃないだろうか。
そんな馬鹿ことまで考えてしまうくらい、あり得ないほどの心音。

「オレはさ・・・、オマエのこと、マジでメチャメチャ愛しちゃってるンだぜ?」
「き、キヨ・・・ず、ズル・・・こんな、の・・・。」

唇、スレスレ。
触れ合うか触れあわないかの、距離。
囁くようにキヨが言う。
いつもの意地の悪い声じゃない。
熱がこもった、低い、声。

「・・・安心しろって、オレ様が、ちゃァーんと気持ちヨくさせてやっからさ。」
「・・・・・・・・・っ・・・・」

唇が重なる。
さっきよりずっと深いキスだ。
あたしの全部、呼吸も、思考も、持って行かれそうなキス。
触れ合せた唇が信じられないくらい熱くて、そこから蕩けそうな錯覚を起こした。

「甘ェ・・・。」

キスの合間にキヨが低く呟いた。
あたしはぼんやりと奴の顔を見上げる。
きっと今のあたしは馬鹿みたいにトロンとした目でキヨを見ているに違いない。
だけどそんなことさえ気にする余裕もなくなってしまっていた。
奴の掌がゆっくりあたしの胸元に移動し、直に肌を滑るその手の感触に背筋がゾクリとした。
心臓は未だに全力疾走直後気味な爆音を上げ続けている。
あたしの胸を下から上へと捏ねるように揉みしだき始めたキヨが、不意にクッと喉を鳴らした。

「・・・、オマエ・・・心臓すごいコトになってンぜ?
オレ様の掌に心臓があたっちまってンじゃねェーの?」
「っ・・・!!だ、誰のせいだと思って・・・!!」
「キシシシシシッ、そりゃあこのオレ様しか居ねェよなァ?
オマエってばやっぱマジ可愛い・・・。」

チュ。


啄ばむみたいにキスをして、あたしの脚にキヨの脚が絡められる。
もう、あたしに抵抗の意思はなかった。


「もォっとどきどきさせてやンぜ、
何も考えらンねェ位、オレ様だけにしてやる・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・バァカ・・・。」


最後の一言。
それが、あたしに出来る、精一杯の強がりだった。
だけど本当は、結局、コイツの言う通りで。



あたしはこのとんでもない小悪魔、仙道清春が、大好きだったりするのだった。



(END)


あとがき

清春を脳内に住まわせて下さい(意味不明)
いや、あの、そうすればですね、もう少し彼らしいキヨが書けるんだと思うので(笑)
清春はあの不意に出す低い掠れ声が大好きです(・・・)一応それをイメージした部分がちらほら。
どこまでもオレ様な清春も好きですが、全く余裕のなくなった彼も書いてみたいな。
あ、言い忘れましたが、今回のお話は恋人設定な二人でした。
ではでは、ここまでお付き合い下さった姫様に深く感謝しつつ、失礼致します。