日常においての最重要課題「ちゃーーーん!ラビュラビュゥー!今日こそこの俺の愛を、 ん、んー受け取ってくれ!!」 「私を見るな、話すな、近寄るな。」 スタスタスタ。 「そんな事言って照れるなよ?分かってるぜ、SHY VIRGIN!」 「今すぐ去れ、直ちに去れ、速やかに去れ。」 スタスタスタスタスタ。 「そんなつれないこと言わないでくれよ、チャン。 ああ!でもそんなチャンもやっぱりイイ!うーん・・・クールビューティ!!」 「消えろ、滅びろ、消滅しろ。」 スタスタスタスタスタスタ。 聖帝校内、廊下。 今日も今日とて私の背後。 手マイクでエコーを響かせ意味不明な台詞を連発する似非ホスト・葛城銀児。 これでもこの男は聖帝学園の国語を担当している教師なのだ。 未だに信じられないがそれは事実。 そしてこの男、どんなに私が歩く速度を上げようとも、距離が全く縮まらない。 ピタリとつけて、ついてくる。 毎度のこととはいえ、頭痛がしそうだ。 悠里先生が居れば奴の注意も分散するのだが、生憎彼女は既に清春の補習に向かってしまった。 翼の奴ではないから幾ら何でも人柱にするなどと言う事はしないが、 二人一緒の方がこの男はまきやすい。 実際彼女とは毎回協力してこの男から逃走を図っている。 「いい加減にしないか、葛城先生。」 ――ガツッ 「っだああああっ!!!」 「鳳先生。」 これも毎度のことなのだが、今回も私に救いの手を差し伸べてくれたのは鳳先生だった。 分厚い出席簿の角を葛城の後頭部にぶちかましてくれたようだ。 葛城は頭の後ろを手で覆って殆ど涙目になって悶えている。 さすがにほんの少しだけ同情を覚えたが、まぁ、この男の場合は自業自得だろう。 「すまなかったね、先生。 君に憑いている悪霊はすぐに祓ってあげるから、少しだけ我慢して貰えるかな?」 「いつも有難うございます、鳳先生。」 「いや、コレは相当に性質の悪い粘着質な悪霊だからね。」 「ひっ、酷いっ!酷過ぎるぅう!俺はただチャンへのピュアラブを叫んでいただけなのにー!」 言いながら、葛城は大げさによよと泣き崩れた。 どこまでも騒がしい男だ。 「チュアーン!分かってくれよ、マイスイート!この俺の愛!愛をさぁ!」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。悪霊退散、さっさと黄泉路に戻れ。」 「はははは、先生もよく分かっているようだね。それじゃあ、コレは引き取ろうかな。 さぁ、葛城先生、九影先生がお待ちだよ。」 「ぎゃああ!鳳先生っ、いやいや、鳳様!ゆ、許して下さいぃぃ!」 微笑みの貴公子は私に穏やかな微笑を向けると、悪霊と共にその場を去る。 彼らの姿が消えた後にすら廊下の隅々にまで響き渡る葛城の悲痛な叫び。 それでも通り過ぎる生徒たちは特に気にした様子もない。 そう、これは既に習慣化しているのだ。 ハァ。 私は一人、廊下の片隅で深いため息を吐いた。 幾らなんでもあの男の口説き文句(?と言っていいのかすら甚だ疑問だ)を本気で取っている訳じゃない。 悠里先生にも毎度同じ事をやっている男だ。 あのテンションとバイタリティーはある種尊敬に値する。 だが、私はあの男が苦手だ。 初対面の時ほど悪い印象を持っている訳ではないが、 それでも長時間相手をするのは辛いものがあった。 あのおかしげな英語と笑えるほどクサイ口説き文句と、謎のエコーを聞いていると頭痛がする。 明日はどうやってあの男から逃れるか。 生徒の補習内容と同じほど、私にとって葛城のアレは日々の大きな課題となっている。 ハァ。 私は再び、ひとつ、溜息を洩らした。 教師と言うのは、生徒の事で頭を悩ませるものだと思っていたのに、 どうやら、それは間違いだったようだ。 [END] あとがき
ビタ夢第2弾!・・・・夢?(・・・)と、取りあえず何が書きたかったかと言うと、
葛城先生が書きたかっただけですね(笑) っていうか、甘い夢が書きたかったんですけど、どうにも思考が微糖感覚みたいだな。 ムムム・・・精進、精進。 ではでは、ここまでお付き合い下さった貴重な姫様に深く感謝しつつ、失礼致します。 |