抗えない、抜け出せない、最低最高のPit trap

放課後。
補習終了後。
教室内。
私が告げた一言に、清春は怪訝な表情を浮かべた。

「はーアっ!?」
「聞こえなかったか?これから約一カ月の間は私の部屋に入室することを禁ずる、と言ったんだ。」
「ンだよソレ、意味分かンねェー。」
「意味なら分かるだろう!試験期間に入ると最初に言った筈だ。」

私は静かにそう告げると、更に続ける。

「こないだ、君が私の部屋にある授業の資料を全てメチャクチャにしてくれたのは覚えてるだろうな?」
「アー?なンだったかなァー?オレ様過去は振り返らねェ主義だから覚えてねェーゼ。」

わざとらしくすっとボケた表情でそう答え、清春は後頭部に両手を組んで明後日の方向を見た。
重々承知しては居たがやはり相当のクソガキだ。
学業面が成長してもここだけは変わらないらしい。

「それに、君にだって試験勉強があるだろう。」
「オマエの補習受けてやってンだロ。」
「自宅でも復習する時間が必要なはずだ。」
「復讐ねェ。キシシシシッ、そうだなァ、復讐なら悪かねェかもなァ。
特にあの胸クソ悪ィクラスAの奴らをターゲットにしてやりてェゼ!」
「復讐じゃない、復習だ!・・・君が言うと空恐ろしいから止めろ。
と言うか、それに近い悪戯を毎回仕掛けているだろう!」

ハァ。
深く溜息を吐いて私は額に掌を押し当てた。
絶対に素直に聞き入れてくれないだろうことは分かっていたが、
私が原因で他の連中にとばっちりが行くのだけは回避しなくてはならない。

「とにかくだ、清春。せめて試験期間が終了するまでは私の部屋に来るんじゃない!いいな?」
「きっこえませェーん。ケケッ」
「・・・・清春、君は・・・。」

さすがに合鍵を渡している訳ではないので出入り自由と言う訳ではないのだが、
それでも相手は聖帝の小悪魔と称される悪戯の天才、仙道清春だ。
何としてでも本人としっかりと約束をしておかなければいつ部屋に侵入してくるのか分かったものじゃない。
幾ら相手が年下の恋人とは言え、甘く見ていたら痛い目を見るのは間違いなく私だ。
現に数えきれない程悲惨な目に遭っても来ている訳だが。

「試験なんてカンケーねェ、面倒クセェ、ダリィ。」
「清春・・・!」
「あーあ、オレ様のダーイ好きな先生が構ってくれねェンだったらもうフケちまうかなァー。」
「・・・清春、何もずっとと言っている訳じゃないだろう。試験期間だけだ。
それに、別に私の部屋じゃなくても会えるだろう?学園の外でだって・・・・。」

明らかに心の底から言っている台詞ではないのは演技めいた口調で察しがついたが、
念のために私はそう付け加えた。

「それじゃオモシロくねェ、つーかオレ様はオマエの部屋が気に入ってンだヨ。」
「何度も言うが、試験期間だけなんだぞ?少しの間だ。」

私は子供に言い含める親のような声音で奴に言い聞かせる。
だが当然、そんなことで納得するような清春ではなかった。

「少しの間ダァー?おい、、一ケ月もオレ様を放置レイプしようってのにソノ言い方はなンだよ?」
「・・・・・・・清春、もしかして放置プレイと言う若者語を使いたかったのか?
いや、それはこの際置いておいて・・・、さっきも言ったが別に全く会わないと言っている訳じゃなく・・・。」

堂々巡り。
全く話が前に進まない。
同じ会話の繰り返し、まさしくループとはこのことか。

「いいかァ?、オレ様はダレが何と言おうとオマエの部屋に心中してやっからなァー?キシシシシッ」
「侵入だ!・・・君は過去何度か本当にやってのけているからな、だからこうして約束して貰おうとしているんだろう?」
「ケケッ、絶対ェ嫌だネ。オレ様はオレ様がヤりてェ時にヤりてェようにやんダよ!」

えらく誇らしげに胸を張ってそう語る清春。
確かに今までずっとそうして来たのは知っているが、だからと言って私から折れる訳にもいかない。
前回、そして前々回の試験期間、奴は私が苦労してかき集めた資料を全て塵にしてしまったのだから。
当然、その後必死に同様の資料を集め直し、どうにか試験に間に合わせることが出来た訳だが。
あの悪夢を三度繰り返すことは絶対に避けねばならない。
最悪、本当にこれはもう最終手段だが、最悪の場合は衣笠先生に助力を願うしかないとまで考えていた。
聖帝の試験問題を作成するのはそれ程に手間と神経が必要なのだ。

「何で私の部屋に拘る必要があるんだ・・・。いや、居心地がいいと思ってくれるのは有難いが・・・。」
「ンなの、気持ちイーイからに決まってンだロ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何?」

少々ズレのある清春の答えに、私は咄嗟に問い返していた。
気持ちいいというのは、つまり今私が言ったとおり、居心地がいいと言うことだろうか。
そんなことを考えていると、不意に奴が椅子から立ち上がり、私の耳元に唇を寄せてきた。

「!?清春?」
「オマエの部屋でヤる時がイッチャン気持ちイイーンだヨ。オレ様は。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

瞬間的に硬直したその時。
奴はベロリと赤い舌で私の耳を思いきり舐め上げた。

「清春、冗談は止め――――――」
「アソコだと普段涼しーい顔でスカした態度のオマエも一番可愛い姿見せるしなァ?」

抵抗しようと振り上げた私の手を素早く封じ、清春は私の首筋に顔を埋める。
強く押し当てられた唇。
同時に吸いつかれる感触とツキンとした痛みを覚えた。

「だから、オレ様はの部屋が一番気に入ってンだぜェ。
オマエだってあの部屋でヤった方が安心して感じられて、気持ちイイんだロ?」
「・・・こら、清春・・・!放せ、誰かに見られたら・・・!」
「オレ様はなァ、、ただの女教師チャンでカマオのオマエにだけ興味ある訳じゃねェーんだヨ・・・。」

囁きかけながら、奴は片手だけで私の両手首をまとめて抑えつけ、
首のラインをなぞる様に舌先を移動させる。


「ここでも素直に感じるンだったら考えてやってもいいゼ?オマエの部屋に一ケ月は立ち入らねェって話。」
「ば、馬鹿なことを・・・っ!こんな場所で、いつ誰が来るかも・・・・っ・・・。」

唇が震えるのと同時に私の抗議の声が掠れた。
常の平静さを保とうと必死で抗う。

「ヴァーカ、そのスルメがいいンじゃねェーか。キシシシシッ。」
「スルメじゃなくて・・・スリルだろう・・・!この際どっちでもいい・・・離れろっ・・・!」
「離れてやってもイイゼェー?
けどその場合はトーゼンいつも通りオマエの部屋に遊びに行ってやるけどなぁ?」
「・・・清春・・・!」

清春の手が私の鎖骨から胸元を滑り、更に下降していく。
そしてとうとう私のスーツパンツのボタンを外し、ファスナーを下ろしてしまった。

「清春・・・!!いい加減にしろ・・・!」
「オマエの部屋が駄目だってンなら、ここで試すしかねェーだロ。
オレ様の指で気持ちイーイとこまでイかせてやるゼ?」
「っっ・・・、あ、ま、待て清春っ・・・!落ち着け・・・!」
「今日は最初っから2本にしといてやンぜ?」

言いながら、奴は何の躊躇いもなく私の下着に指を侵入させようとした。

「分かった!!!もういい!!もういつでも私の部屋に来ればいいだろう!!」

堪らず叫んだその瞬間、ニヤリ、清春がさも楽しげに唇に笑みを貼り付かせた。
つまり、私は奴の罠にはまってしまった訳だ。


「・・・・・・・・キシシシシシシッ!ヴァーカ!やっと言いやがったゼ!
いつまでもスカしたカマオ面してっから、コーユーことになるンだってェーの!」


言いざま、清春がようやく私を解放する。
私は速やかに自身の服の乱れを整えた。

「こんのクソガキのどぐされ小悪魔が・・・・!」

思いきり毒づいて立ち上がると、私は側に置いていた荷物を手にドアに向かった。
すると、すぐに清春が回り込んで私の行く手を阻む。

「・・・・・・・・・今度は何だ?ああ、その前に、念のため言っておくが、
私の部屋に入っても絶対に資料に手を出さないで欲しい。これだけは守ってくれ。」
「あっという間に元のスカしたカマオに戻りやがったなァ。
ま、いいゼ、今回はアノ胸クソ悪ィ資料の束には手を出さないで置いてやンぜ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・今回、じゃなく、毎回そう願いたいものだな。」

私はうんざりとした口調で返した。

「キシシシシッ、ソレはオレ様の気分シダイってなァ?
それじゃあ早速オマエの部屋に招かれてやっか!有難く思いやがれェー!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。何?何だって?清春っ!君は!」
「さっきの続きもヤらねェと、俺の収まりもつかねェんだヨ。」

そう告げると、清春は素早く私の頬に唇を押し当てた。
そして気づけば奴はさっさと廊下を歩いて先に進んでいる。

「カマオー、早くしねェとオマエの大事な資料ってのがスッゲェことになっちまうかもしれねェぜー?」
「なっ・・・何!?こら、待て、清春・・・!」


奴の場合は冗談すら笑えない。
私は慌てて清春の後を追う。

この後、部屋に向って起きることの内容など、大抵の予測はついてたのだが、
私に清春を止める術など最初から用意されてはいない。

だが、見ていろ、小悪魔。

私も伊達に君より年上じゃないんだ。
近い内きっと、何らかの形で封じて見せるから。


(END)


あとがき

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。ハジメどころかキヨもか、これ。キヨも微エロ専門か!?
しかも今回中々際どいとこまで行ってたし・・・。
あの、なるべくアンケ反映させようと思ったんですけど、微エロばっかで申し訳ないです。
姫様のアンケコメで清春でヒロAとあったので思い浮かんだネタ即書いたのですけど。
うふふ、あはは(逃げてる)因みにヒロAやられっぱなしに見えますが、
その内やり込める系も書いてみたいなと思ってます。大人の余裕で。
ですがやっぱり願望と希望なので予定は未定ですが(苦笑)
ではでは、ここまでお付き合い下さって誠に有難うございます!感謝しつつ、失礼します。