久々の陸。
近付くにつれて、嫌でも盛り上がる『野郎共』の興奮。
とは言え、すぐに海が恋しくなるから不思議だよな、
なんて事を言っているところは、やっぱり海の男なんだと思った。
どうやらこれから行く港は、チカ達の間では馴染みも馴染みらしく、
疲れを癒すには絶好の場所だと言うことだった。
「アニキはあそこじゃ特に女達にモテモテっすからねぇ、
さんもきっと驚くぜ。ま、アニキがモテんのは女だけじゃねぇけどな!」
チカの部下の一人がやけに楽しそうな笑顔で私に言った。
チカが人気があること自体には驚かない。
素直に格好いいと思ってるし、正直、頼り甲斐もあるから。
思っていたより可愛い面も見られて満足、と言うのはまた別の見解。
「ヨーホー!!!アニキ!!港に着きますぜ!!!」
「おうよ!」
見張り台に居た一人がそう叫ぶと、チカがニヤリと口元に笑みを浮かべて答える。
そのチカの肩に、緑色や黄色が織り交ぜられた鮮やかな羽を持つ大きなオウムがふわりととまった。
「モトチカ!」
「おう、ちょいとばかり陸の連中に挨拶してくらぁ。
おめぇもゆっくり羽休めてな。」
彼の言葉に反応するように、オウムは真っ黒い大きな瞳をクルリと一回転させる。
そしてそのまままた、真っ青に晴れ渡った大空に飛び込んで行った。
「港だぁぁ!!!アニキ!!着きやした!!!!」
「はっはー!そうか。野郎共!!久し振りの陸だ、思う存分楽しんできやがれ!!
但し、港町の連中に迷惑だけは掛けんじゃねぇぞ!」
「おおお!!!」
船が港に着いた途端、待ってましたとばかりに飛び出す『野郎共』
私はチカの傍まで行って、彼と一緒に港へ降りることにした。
「この世界で海以外見るのって初めて、凄く興味あるわ。」
「ああ、おめぇとは初めて会ったのも海の上だったからな。
ま、安心しろ、俺はここいらには詳しいからな。後でゆっくり案内してやるぜ。」
「・・・・ゆっくり、出来るなら、ね。」
「アアン?どー言う意味だ?」
「・・・前方、10メートル先。」
言って、私は人差し指で正面を指した。
明らかに、チカ目掛けて走ってくる綺麗どころが数人。
それからムサイ男達も数人。
BASARAの世界は分かり易くて助かる。
「元親!!もう、酷いじゃないの、アンタがこの港を発ってからずっと待ってたのよ!」
「アニキ!!!俺をアニキの船に乗せて下さい!!おふくろの許可がやっと降りたんだ!」
「元親〜!久し振り!」
「アニキーー!!」
あっという間に取り囲まれるチカ。
「おう!悪かったな、おめぇら。はっはー!元気にやってたか?ん?」
美女とムサイ男に周りを固められながら、チカが如何にも嬉しそうに笑う。
彼の体に慣れた感じで腕を巻きつけている美人が二人。
悔しいけど、出るとこ出てるモデル並みの体系。
しかもその構図が面白い程絵になってる。
「チカ、私ちょっと向こうで待ってるから。」
「ああ、悪ぃな。すぐ行くぜ。」
すぐは無理でしょ、チカ君。
なんて思いながらも、私は苦笑しつつ頷いた。
チカをからかって遊ぶチャンスはこの港じゃあまり巡って来ない気がする。
私の楽しみだけに、手痛い事実。
―ドンッ
下を向いたまま歩いて居ると、向かい側から来た人とぶつかってしまった。
軽く私の体に走る衝撃。
「すみません、前見てな・・・・」
咄嗟に謝ろうと上げた顔。
でも、私の視線の先にあるのはその人物の腰辺りだった。
縦も横も半端じゃなく大きい。
黒の修道服。
不自然に両肩からぶらさがる金色のバズーカ用弾丸。
それから私は更に視線を上げる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・ザ、ザビー・・・・!?」
このさんとしたことが、声が上ずってしまった。
それにしてもチカ以外の初BASARA遭遇キャラがザビーと言うのは、複雑極まりない。
半分呆然と彼を見上げていると、
ザビーはゲームと全く同じ調子の胡散臭さで口を開いた。
「オー!貴方、私の名前知っているのデスカ?分かりマシタ!!入信希望者デスネ!?」
「・・・・・・ほほほほ、御免なさい、間に合ってます。」
答えてすぐ、私は逃げ出す為に素早くザビーに背中を向ける。
脚には自信があるから、ザビーの追撃があっても逃げられる筈だ。
―ガッ
「なっ!?」
「待ってクサーイ!!遠慮は要らないネ。貴方とてもキュート!
ザビー教は今、マスコットガール、募集していマース!」
力強く掴まれた肩をどうにか振り払おうともがきながら、
私はチカに向かって助けを呼ぼうと口を開きかけた。
瞬間。
「っ!!」
突然、口元を妙な布で強引に覆われて、声を出せない私。
咄嗟に息を軽く吸い込むと、クラリ、と、眩暈を覚えた。
「貴方はザビー様に選ばれたのです、さぁ!共に愛を知りましょう!」
私が気を失う一瞬前、聞こえた台詞はそれだった。
(続く)
後書き
元親のストーリーモード、3回もやってしまいました。
そしてザビー達とのいざこざ(?)ネタを思いつきました。
しかしアニキ、ザビーに何をされたんでしょうか?気になります。
では、今回はここまでのお付き合い、誠に有難うございました、失礼居たします。
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