「どわあああああああああ!!??あ!?アアン!!?おめぇ、・・・か?」
「どわあああああああああ!!??・・・・・そうだけど、何驚いてんのかな?チカちゃんは。」
チカの船室の戸口前。
無言でノックすること約30秒後。
(この世界にノックは政宗しか使用してないだろうけど)
開いた戸と一緒にチカが間抜けな叫び声を上げた。
「って!真似してんじゃねぇっ!大体何してやがんだ!?そんな格好で!?」
「わお、わーお、この時間に女が男を訪れる・・・そんなの夜這いと相場が決まってるじゃないか。」
言いながら、私はにっこりと笑って見せた。
因みに、チカの言う『そんな格好』とは、布団を体中に巻きつけた今のさんの姿を指す。
子供の絵本でいうお化けめいていなくもない。
と、そこで私はチカの叫び声の意味を理解した。
「ほっほ!!チカ、もしかして幽霊かなんかと間違えたんじゃないの?」
「ばっ・・・!!!んな訳ねぇだろうが!!俺はっ・・・!」
明らかに動揺しまくっているチカ。
ははは、可愛い奴め。
「ね、チカ、とにかく中に入れてよ。」
「ちぃっ、しゃーねぇな・・・。ったく、結局何の用なんだよ?おめぇは。」
私が室内に入ると、チカは戸を片手で閉めてため息をついた。
「わお、女の口から2度も言わせる気?夜這いよ、夜這い。」
「何の恥じらいも無く口にしてんじゃねぇか!!
・・・・・・・って、ああん?、おめぇその手の冗談この時間じゃ笑えねぇ。」
言って、チカは布団の傍にドカっと腰を下ろした。
私はそのチカの隣に座って、彼の顔を下から覗き込んだ。
「冗談で女の口からこんなこと、言えない。」
「・・・おめぇな、あんまりふざけてっと本気でヤっちまうぞ!」
―がたんっ。
言いざま、チカが私の両肩を掴んで布団に押し倒す。
私は抵抗することなく布団にぼすりと背中を沈めた。
目を上げれば至近距離にチカの顔がある。
「さんいつでも準備万端よ、チカ。」
にっこり。
笑顔で答える私。
チカは一瞬目を見開いて、大きなため息を吐いた。
「おめぇにこの手の冗談が通じりゃ俺も今まで苦労せずに済んだって話だぜ・・・ったく。」
「ほっほ!」
「・・・・・・・で?他に何か理由があんじゃねぇのか?聞いてやっからさっさと言え。」
「本気の本気、本気と書いてマジと読む。夜這いよ、チカ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
絶句。
と言った表情で、チカがガクリ、と頭を垂れた。
その拍子に、彼の綺麗な銀髪が私の顔を掠める。
「おめぇいつにも増しておかしいぞ。理由を言え、理由を。」
「理由言ったらヤってくれるの?チカちゃん」
「・・・!!おめぇな!!・・・だああああ!
分かった、何でもしてやっからさっさと吐きやがれ!」
言って、チカは体を起こして自分の頭をぐしゃぐしゃとかき回した。
寝る寸前だったのか、チカは上半身に何も羽織ることさえしてない。
そのせいで今回の私の夜這い大作戦の『理由』になるものが、
私の位置からは良く見えた。
私はチカに続いて体を起こすと、彼の背中に回った。
チカが私の方に振り向いて、怪訝そうな顔をする。
「ああん?おい、?」
「チカ、こないだ久々に港行った後、さんなんかよりずっとすっきりサッパリつやつやお肌だったね。」
「???何の話だぁ?」
全く意味が分かっていないチカ。
私が先を続けようと口を開いた瞬間に、
部屋の隅のとまり木に珍しく大人しくしていたオウムのぴ−ちゃんが、
ばさばさと私とチカの頭の上を旋回し始める。
そして、グッドタイミングなお言葉を放ってくれた。
「モトチカ、ケダモノ!モトチカ、ケダモノ!」
「うんうん、お利口さんだね。」
「って、おめぇら!!意味が分からねぇ!!説明しろ!説明!」
「ほっほ!出るとこ出てるお姉さんとの逢瀬はさぞかし楽しかったんだとお察ししたわ、チカちゃん?」
言いながら、私は数日経った未だにクッキリと残っているチカの背中の爪あとに指先を押し付けた。
チカがその瞬間に分かり易い位の動揺っぷりで固まる。
はっは!このさんを舐めてもらっちゃ困るのよ。
私は爪あとの筋をなぞりながら、チカの耳元に口元を寄せた。
「長い航海でたまってたから、きっと楽しかったに違いないわよね?
うんうん、まだまだ20代前半、そりゃ仕方ないわ。」
「・・・・・・・、あれだ、待て、俺は別におめぇを・・・いや・・・!」
動揺し過ぎて言葉が支離滅裂なチカ。
私はだんだん(多分チカ的に)嫌な汗をかき始めているチカの背中に、
布団が撒きついたままの自分の身体を寄せた。
「私のねぇ胸はチカがデカくしてくれるのよね?でもチカの溜まった欲の発散は、
ねぇ胸じゃ無理ってことかな?」
「モトチカ、ケダモノ!モトチカ、ケダモノ!」
いい具合に合いの手を入れてくれるピーちゃん。
薄暗い中でも鮮やかな羽の色が輝いて見える。
私はうんうんと再び頷いた。
「んなこた言ってねぇだろうが!!大体あれは・・・最後だったんだよ!!
もう他の女抱くようなこた金輪際ねぇ!」
「だったら今すぐ私を抱いてよ。」
自分でも驚く程キッパリとした声で私は言った。
チカが驚いた様に身体ごと私を振り返る。
敷いてある布団をいつの間にか握り締めていた私の拳が、小刻みに震えているのが分かった。
さんとしたことが、立派に取り乱してるじゃないか。
「・・・おめぇ・・・もしかして妬いてんのか?」
チカの台詞に、私は一瞬目を逸らす。
それからふっ、と、心の中で苦笑した。
なぁんだ、私もやっぱり女の一種だ。
「嫉妬してます。」
素直に言葉にしてみて、そしてやっと納得する。
港を出てからこの数日、ずっと苛々していた私自身の理由に。
チカの背中。
いつもは羽織った紫の上着で隠れてよく見えないけど、
突風と私の立ち位置で見えてしまった爪あと。
私以外の、しかも出るとこ出たモデル体系のお姉さん方。
好きだと伝えても居ないくせに、独占欲染みた嫉妬が芽生えてる。
ゲーム。
ここはゲームの世界。
そんな風に割り切っていた私は、一体どこに行ったんだろう。
もう、自分でも制御できない程、私はチカが好きになってしまっていた。
「・・・、おめぇ・・・。」
「元親。」
初めて彼の名前をまともに口にして、私は両腕を伸ばして彼の首に絡めた。
その瞬間に、巻きつけていた布団がバサっと落ちる。
薄い着物一枚羽織っただけになった私の腰に、チカの筋肉質な腕が伸ばされた。
「・・・鬼を本気にさせちまったんだ・・・、今回は前回みてぇに野郎共はこの室まで来るこたねぇ・・・。
待ったは聞かねぇが・・・・それでもいいんだな?」
「だったら最初から夜這いになんて来てない。」
「はっはー!いい度胸だ。・・・おぅ、悪ぃがおめぇはちっと席を外してくんな。」
「モトチカ!モトチカ!ケダモノ!!」
チカに声を掛けられたオウムのピーちゃんは、そう言いながらも素直に室から出て行った。
やっぱりお利巧さんだ。
「・・・・捨て台詞かってんだよ・・・。」
複雑そうな顔でオウムを見送って、チカがまた私に視線を移す。
薄暗い部屋の中に差し込んでくる月の光が、チカの銀髪をキラキラと煌かせていて、
私は無言でそれをじっと見つめた。
チカの大きな掌が、私の頬に触れ合わせられる。
空いている彼の片手が、私の羽織っただけの形の着物をゆっくりと脱がせた。
「チカ・・・屋外羞恥プレイ以来だね?」
「・・・おめぇのその減らず口には恐れいるぜ。」
苦笑染みた笑いと一緒に、チカが脱がせた着物を布団の上に落とす。
そして、私の身体の線をなぞる様にして掌を滑らせた。
「今だけでもいいから、元親って呼べよ。」
「・・・名前だけで反応しちゃうんじゃないかな?」
「その方が興奮しちまうだろ?お互いにな。」
言いざま、チカの掌が私の胸の形が変わる程強く揉み始めた。
「・・・ァ・・・んっ・・・・・・・・・!!」
「俺の下半身がここまでさっさと反応しちまう女も、俺の心を飲み込んじまった女も、
おめぇが初めてだぜ・・・・、。」
「・・・ッ・・・それは光栄・・・・・・・・・・」
私の言葉尻を吸い取るように彼が私の唇に噛みつく。
私は躊躇うことなくチカの舌を受け入れた。
そしてねっとりと隅々までチカの舌が私の口内を動き回る。
とろりとした生温かいお互いの唾液が、少しずつ、量を増やして溢れて始めた。
それさえ貪るみたいに、チカは何度も何度も私にキスをする。
その間もチカは私の胸を激しく弄(まさぐ)ったり、突起を指先でこねたりと、全く容赦なく私を攻め立てた。
「・・・・元・・親・・・」
ふっ、と、少しだけお互いの唇を離した瞬間に、私はそう呟く。
さんとしたことが、もう自分でも自分が抑えられない所までいきついてしまったか。
思った以上に甘さを含んだ自分の声に、私は眩暈のしそうな感覚の中、そんなことを考えていた。
「・・・もっとおめぇの声で俺を呼べ。この鬼をもっと狂わせてみろ・・・。」
私の唇を舌でなぞる様に舐めて、彼は私の首筋に喰らい付いた。
内腿に当たる感触で、チカの性欲が私と比例して膨らみあがっているのが分かる。
室内の月明りに照らされた銀髪の鬼は、今まで見たどの彼よりも綺麗で、
いつもの軽口が今度ばかりは引っ込んでしまった。
私は自分から彼の体に自分の身体を密着させる。
体温が沸点に達するんじゃないかと思うくらい、私もチカも身体が熱を持っていた。
元親。
私の熱と君の熱。
ひとつになって、どろどろに溶けて、そしてお互いの身体の一部になればいい。
恋だと語り合うことを怖がって、それでもお互い求め合う。
私たちの恋愛は、いびつで、矛盾だらけで。
それでも、我慢することさえ出来ない。
元親、私は君が欲しくてたまらなかった。
どうかもう、私以外に触れないで。
(終わり)
後書き
とか言いつつ・・・続きで裏を書こうか激烈に迷った代物。微エロに無理やり収めたと言う感じです。
そしてとうとう行き着く所まで行ってしまった・・・。このヒロイン、書き易いんだけど、
いまひとつ甘さに欠ける(笑)仕方ないか・・・・・・・・。
おおっと!重要な追記をこれは絵チャで得たネタです!ふへへ有難うございました。
ではでは今回はこれにて失礼致します。お付き合い誠に有難うございました。
*追記*結局この後の展開の裏夢を隠しで更新してしまいました。
場所はこの連載ページの何処かです。分からない場合はメルフォにて。
用件は手短で結構ですが、マナーだけは守って頂きます様お願いいたします
ブラウザバック推奨