港。
約1ヶ月ぶりの陸。
長い時はもっと海に居る場合も少なくないんだけど、
今回はどうやらチカが何か用事があるとか。
それが綺麗なお姉さん方でないことを切に願うぞ、さんは。
なんて思って、思わず釘を刺してしまったんだけど、
チカはその考えを豪快に笑い笑い飛ばしてくれた。

「はっはー!馬鹿かオメェは!余計な心配してんじゃねぇ。
それに言っただろうが、俺はもうオメェ以外の女に勃つ自信がねぇってよ。」
「ほっほ、だといいんですけどねぇ。」

言いながら、私は段々と近づいてくる陸に目を向けた。
前回ナイスバディな綺麗どころが出迎えに来た、あの港町。
でも、そこで私は軽く首を傾げた。
この間と停泊場所が違うみたいだ。
だって、船が前回来た時と逆の方向に向かってる。

「ねぇチカ、港、こっちじゃないの。」
「ああん?ああ、そっちは正面だからな、俺達の船だと目立ってしょうがねぇ。
今回は別の場所に泊めるってのは連絡済みだ。」
「わお、お忍びですか。」

私がそう言うと、チカはニヤリと笑って私の頭をくしゃりと撫でた。
ま、そうゆうこった。
と、付け加えて。




港町は予想以上の活気だった。
何というか、BASARA世界特有のハイテンションさがよく分かる感じで現れてる。
それにお店で売られてる商品、チラっと見えたアレ。
熱唱琵琶だった、間違いなく。
何気に欲しいと思ってしまったじゃないか。
ゴマすり棒らしい物も見えたし。
それだけじゃなくて、普通の戦国時代には有り得ない物も他にチラホラ。

「何か面白そうなもんばっかね。」
「おぅ、、きょろきょろしてっとはぐれるぜ。俺の腕でも掴んでな。」

グイ。
チカが私の手を引き寄せて、自分の腕に巻きつけさせる。
私は素直にそれに従った。
確かに、凄い人ごみだわ、これは。

「ねぇチカ、それで君、用事って?」
「ああ、もうちょい行きゃあ・・・・・・・。」

言いかけたチカが、そこで言葉を切る。
正面、見覚えのあるお姉さん方が数人。
ああ、あれはチカ愛人連合軍(さん命名)じゃないか。
なんて思っていると、彼女達は目ざとくこっちに気づいて、凄い形相で近づいてくる。
周りの人が皆彼女らに道を空けてるから驚きだ。

「やべぇ・・・アイツらの使わねぇ道を選んだつもりだったんだけどな・・・。」

ぼそり。
私にと言うよりも、独り言みたいにチカが言った。

「ちょっと!元親!!アンタ、どう言うつもり?」
「そうよぉ、来てるんなら一言声くらいかけなさいよ〜!」
「わたくしたちがどれだけ貴方の帰りを待っていたか知っているでしょう?」

彼女達はチカのすぐ前まで来た途端、口々に言った。
かなり鬼気迫る感じで。
美人揃いだけなだけにマジで怖いぞ、これは。
チラリ。
チカを見ると、彼は小さく溜息を吐いた。
それでも彼はすぐにいつもとは違う、真剣な表情を彼女達に向けた。


「すまねぇ・・・だが、オメェらには最後の夜に言った筈だぜ、
大事な女が出来た・・・ってなぁ。」


―ドクン

瞬間、大きく跳ね上がる、私の心臓。


大事な女。

待て、待て、待て、待て。
それはまさか、もしかして、もしかしなくても。
チカ、君は。


「大事な女?・・・・・・・・・・・・・もしかして、そのコ?」

言って、最初に声を掛けてきた金髪のバービー人形みたいなド迫力美人が私に視線を移す。
それと同時に他の二人も私に瞳を向けた。

「ども。」

一応挨拶しつつ、私はビシバシ、感じてた。
女同士だからこそ分かる、値踏みされてるみたいな視線。


「元親、本気なの?」
「ああ、今の俺にはコイツ以外の女は必要ねぇ。」


言いざま、チカが私を自分の腕の中へ引き寄せる。
私は敢て抵抗せずに素直に彼の胸へ体を寄せた。
その姿を凝視に近い形で見つめていた彼女達が、また、口を開く。

「・・・ふーん、アンタが選んだ女にしては貧弱な胸してるわね。」
「ホント、ホント〜、それにーどっちかっていうとー少年体系っていうかー。」
「変わったご趣味ですね、元親様も。」


ほっほ。
言ってくれるじゃないか、美人愛人連合め。
ムカつきつつ、それでもこの超美人勢の言うこともある意味的を射ていて、
反論できないで居る私。

「・・・・・・・うるせぇ・・・。」
「・・・チカ?」

ぼそり。
呟いたチカが、いきなり私を庇うように背中に押しのけた。

「確かにこいつぁ胸もねぇし、細っこくて出るとこ全く出ちゃいねぇ!!
性格だってどう考えても変わってるしな!!」

こらこら、そんなに褒めるな。
素敵なフォローを有り難う、チカ。

なんて思いつつ、顔を引きつらせる私。
その間も、彼は更に先を続ける。


「だがなぁ!!コイツは、は俺にとって最高の女だ!!コイツ以上の女は俺にとって存在しねぇ!
幾らオメェらでも、を馬鹿にして見やがれ、容赦しねぇぞ!!!!」

「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」」」


「・・・・チカ・・・・。」

や、ヤバイ。
ヤバイゾ。
さんうっかり感動してしまったじゃないか。
どうして、どうしてそんなに不意打ちなんだ、君は。

愛人連合の3人は、暫くの間呆然とチカを見つめていた。
最初に口を開いたのは、やっぱりあの金髪美人。
どうやら愛人連合のリーダー格(多分チカの一番お気に入りだったに違いない)らしい。

「・・・・・・・・・・悔しいけど・・・、あたしたち相手じゃあ・・・アンタはそんな顔もそんな言葉も、
してくれなかっただろうね・・・・・・・・・・・・・・。」

何処か寂しさを込めた口調で、彼女は言った。
その右隣。
赤毛で碧色の目が印象的な美人が深くて大きな溜息を吐いた。

「ムカつくけどぉ・・・元親のそんな姿・・・初めて見るしね〜。」
「そうですね、こればかりは・・・仕方ありませんね。」

リーダー格の愛人さんの左隣のお姫様カットな純和風美人も溜息混じりに言った。
そして3人は同時にチカに視線を向ける。

「いいわ、元親。アンタがそのコに本気なのはよく分かった。だから―――」

そこまで言って、例の金髪美人は言葉を切った。
そして。


ズゴオオォォ

「!!???」

瞬間的に、かなりの距離までぶっ飛ばされたチカ。
一瞬、私には何が起きたのか分からなかった。
反射的に愛人連合を見る私。
それで彼女の達の体勢から思うに、右ストレートを3人同時に繰り出した模様。

「これで勘弁してあげる。あたし達みたいなイイ女3人一気に振ったんだ、
それ位で済んで良かったと思いなよ。」
「そう、そう。ワタシたちってやっさし〜♪」
「わたくしたちの拳の重み、キチンと感じてくださいね。」

「・・・おめぇら・・・。」

どうにか立ち上がったらしいチカが、半分呻き声に近い感じで言った。
私は未だに、彼女達から目が離せないでいる。

クルリ。
3人が私達に背中を向けた。

「そうそう、体の関係はこれで切れたけど、縁まで切れた訳じゃないんだから、
港に来た時は声くらいかけなさいよね。その大事な彼女とやらも一緒に歓迎してあげるからさ。」
「こーんないい女振ってまでくっつくんなら、ちゃんと仲良くやってね〜!」
「別れた時にわたくし達に泣きついても絶対に許しませんから。」

口々に言いながら、彼女達はそのまま人ごみの中に紛れて消えて行った。

「チカ、大丈夫?・・・・・君、わざと避けなかったでしょ。偉い、偉い。さん見直したぞ!」
「へっ・・・あそこで避けちまったら、それこそ意味がねぇからな・・・。」

私の側まで戻ったチカが、少し苦笑交じりに言う。
私は彼の唇の端に少量付いている血に、親指で軽く触れた。

「・・・何だかんだで、美人なお姉さん方だったわね。・・・見た目だけでなく。」
「おぅ・・・イイ女揃いだっただろ?俺が目ぇつけた女だから当りめぇだがよ。」
「わおわお、未練あったりして。」

なんてことを口にしつつも、私はやっぱり嬉しかった。


ねぇチカ、私たちの関係は、今でも何処か曖昧で不安定。
絆が強く、愛情が深くなるにつれて、不安は大きくなる一方。
だけど君は、そんな中でも私を、たった一人を選んでくれた。

言葉だけじゃなく、態度で示してくれた。

だからきっと、この先不安の原因をお互い口にしなければいけなくなったとしても、
私と君、一緒に正面から向き合う事が出来る筈。

そう思わずには居られない。
そう、願わずには居られない。



(終わり)


後書き
思いっきし、オリキャラの愛人3人衆が出張りまくってしまった(笑)
しかもスランプ中につきいつもと何かが違う気がしてならないのですが・・・。
ではでは、ここまでのお付き合い、誠に有り難うございました、失礼します


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