元々私は女だとか男だとか関係なく、暴力が好きではない。
それは確かだ。
どクソ野郎共に対し、何度もそれぞれの面をぶちのめしたい気分になったことはあっても、
それを実行に移したことはこれまで一度も無い。
ただ臆したのだと言われればそれまでだが。
だが、今回ばかりは本気で私は拳を振り上げる寸前にまでなりそうだった。
「そろそろここに来て1週間近く経つ。アンタもこの邸での暮らしにも慣れた筈だ。
つーことで・・・アンタには小十郎と同じく俺の世話役に回ってもらう。」
一瞬、何を下らぬ冗談を言っているのかと本気で私は思った。
今までの経緯からして異常だが、昼間に学校で起きた出来事に続き、この発言だ、
冗談としか思えなくても当然だろう。
だが、伊達政宗は至極当たり前の様な顔をして先を続けた。
「なぁ、、俺とアンタの部屋が何であんなに近くにあるのか分かってたか?
いつでもアンタを俺の部屋に呼び出せるようになんだぜ?
アンタは今日から俺専属のMaidだ。You see?」
「な、何を・・・貴様・・・昼間は私を勝手に生徒会役員へ強制的にぶち込んで、
その上今度はメイドだと?貴様の使用人になれと?
・・・・・・・・・・・伊達政宗、ふざけるのも大概にしてもらおうか。」
奴に向ける視線にありったけの敵意を込めて、私はそう言い放った。
あの男の右隣。
いつもの如くガタイのいい片倉小十郎の姿がある。
そしてまたこれもいつものことだが片倉は威圧する様な視線を私に向けていた。
だが、そんなことは知ったことじゃない。
「クックック・・・悪ぃな、。これはJokeじゃ終らせないぜ?
アンタは今日から俺の専属のMaidとして働くことになる。
ま、とは言っても邸内の掃除をしろってんじゃねぇんだぜ?
そんなこた他の連中がやってくれるからな。」
「誰もそんな事は聞いていないだろう。
学校では生徒会役員に、邸内では貴様の使用人に・・・冗談じゃない。
この邸に閉じ込められた上に貴様の使用人になどなる謂れは全くない。」
ハッキリとそう口にする私に、またしても伊達政宗が愉しげな笑みを口元に貼り付ける。
更に、ヤツはゆっくりと私のすぐ目の前まで近付いて来た。
瞬時、私は奴から距離を取ろうとするが、伊達政宗はその私の肩を片手で掴んだ。
「・・・っ離せ!」
咄嗟に振り払おうとした私の腕を、奴が空いていた片方の手で封じる。
そして、私の耳元に唇を寄せるこう呟いた。
「この邸で、アンタに選択権があったことが一度でもあったか?
決定権は俺にある。Give it up. You got nowhere to go.」
(諦めな、アンタは何処にも逃げられねぇんだぜ。)
酷く低く、脳内を刺激される様な声音。
言葉と同時に伊達政宗の湿った吐息が私の耳を掠める。
ゾクリ。
何かが私の背中を駆け上がり、私は渾身の力で男を振り払った。
奴はくくっと喉で笑うと、動じた様子も見せずに私から離れる。
「俺は言った筈だぜ、、アンタの親父さんから全てを任されてるってことを。」
「あのクソ親父が何と言ったかなんて今更関係ないね。
貴様らのやっていることは異常だ。私は近い内に必ずこの邸から出て行く!」
「HAHAHA!そりゃ楽しみだぜ!だが、それが出来るんだったらアンタはとっくにそうしてる筈だ。
うちのSecurityにまで手を出そうとしたんだからな?」
「・・・っ!」
カッ。
と、顔が赤くなるのが私自身にも分かった。
この男は知っていたのだ、私がこの邸を脱出する為に思いつく限りの全てことをやって失敗したことを。
私が必死であがき、それに失敗する度落胆していたことを。
「、やっぱりアンタは俺が気に入った女だ・・・、
それでも抵抗する姿勢を全く崩しやがらねぇってとこがそそるぜ。」
「ふざけるな・・・!」
「〜♪その真っ赤な顔は俺を誘ってるとしか思えないねぇ。」
私をからかう様に口笛を吹くと、奴は益々愉しげにそう言った。
私の怒りが沸々と沸点に達して行こうとしているのが分かる。
怒鳴り声を上げたくなった相手は、クソ親父を除いては初めてだった。
両手に握る拳が、我慢の限界を告げるようにブルブルと震えている。
「伊達政宗・・・、貴様・・・!!」
一歩、前に踏み出して私は口を開く。
体全体で奴に敵意をぶつける。
今まで、ここまでクソ忌々しい人間に出会ったことなどあっただろうか?
「おめぇがどうあがこうと、ここは政宗様の邸だ。
おめぇの道は唯一つ、政宗様の言いつけに従うしかねぇのさ。」
ニヤリ。
主と同じく憎々しい笑みを浮かべた片倉が私にそう言い放つ。
どクソ野郎共!!!
既に沸点など超え、私の中に生産されているのは溶岩の様に熱くなった怒り。
ここまで異常なことを強いられ続け、それでもやはりこの男共の言う通り、
今の私には逃げ道などないのだ。
自宅に戻る戻らない以前に、この邸から自由に出る事すらままならない。
だがそれでも、奴にこのまま屈する気など更々ない。
今すぐに、と言う道が絶たれたのなら、別の道を探すまでだ。
と、不意にまた、伊達政宗が私をジッと見つめた後、あの不愉快な笑みを浮かべた。
「まだまだ逃げる気は満々みてぇだな?。」
「・・・・・っ!!??」
私の考えを読み取った様にそう告げ、奴は私に鋭い視線を突き立てる。
更にそのまま続けた。
「だが・・・抵抗し続ける相手を屈服させる瞬間ってのは、想像以上に楽しいもんだぜ?
なぁ、アンタ、覚悟はいいか?」
ぞく。
と、再び私の背中を何かが駆け上がる。
私は伊達政宗の視線を正面から受け止め、両手を再度、力を込めて握りこんだ。
「安心しな、屈服する瞬間なんて来やしない。」
言い放ち、私は即座に奴らに背を向ける。
恐らく私が奴の使用人めいたことをしなければならないことを覆すのは不可能だろう。
そうだ、ドクソ野郎共の言う通り、今の私に逃げ道などない。
だが、完全に奴らに屈するなど考えたくもなかった。
とにかく、少しでも早くここを出る方法を見つけ出す。
この邸から出られないのならば、ここで生活をしつつそれを見つけるしかない。
どんなに不本意だろうが、今の私にはそれしかないのだ。
クソ親父、今度お前が私の前に姿を見せたら、お前だけは本気でぶちのめす!
(前途多難な日々-お邸にて-)
後書き
学園編に比べて短すぎた(笑)後はチラホラ共通部分を交えつつ各キャラ夢書いて行こうかと。
慶次も幸村も元親もまだ出してないですからね。あははは・・・・。
とと、ではではここまでのお付き合い、誠に有難うございました。失礼致します。
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