「佐助、そなたは何故私と契らぬのだ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁっーーー!!??」
の余りに唐突な質問に、佐助は思わず目を見開いて彼女を凝視した。
つい先ごろまで茶と共に菓子を振舞われ、のんびりと、
そしてほのぼのとした空気が漂っていた筈の二人。
茶を飲んでいた最中にこの質問を受けて居たならば、間違いなく彼は吹き出していたことだろう。
だが、はそんな彼の動揺を知ってか知らずか、至極真面目な表情で続ける。
「侍女たちが話していた。想いを通わせた男女は必ず接吻を、そして契りを交わすのだと。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・いやいやいや、姫さん、それ確かに間違っちゃいねぇけどさ、
幾らなんでもちょっとばかし極論じゃね?」
「何故だ?そなたは既に私と接吻をし、言わば相思相愛と言うものなのだろう?
ならば契りを交わして何が悪いのだ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
あーあ、俺様頭痛くなってきた・・・誰よ、この箱入りにそんな話し聞かせたの・・・。
って、ああ、侍女連中の話聞いちまったんだっけ・・・。
それにしたって姫さん・・・契る契るって連呼し過ぎでしょーが・・・!
の言葉に返事も出来ず、頭を抱える佐助。
それに追い討ちをかける如くしてが言った。
「佐助・・・?そなたもしや私とは契れぬのか!?」
「だぁーーー!!違うっつの。いや、あの、それ以前に姫さん、意味分かって言ってる?」
「何の意味だ?」
「『契る』の意味に決まってんでしょ。」
から返って来る言葉を予想しつつ、彼はそう返事をした。
案の定、彼女は不意に瞳を上に向け、何事か思案している様子を見せる。
そして少々間を置いた後、再び彼と視線を合わせた。
「侍女たちが申して居た内容によれば・・・男女の繋がりだと言っていた。
もっと詳しく聞きたかったのだが、私の気配に気付いてそれ以上は聞く事が出来なかった。
どうだ、間違ってはおらぬだろう?」
「ハァーーーーーーーーー。」
佐助は深い溜息とともに、額に手を当てる。
彼の予想通り、結局のところ彼女は『契る』ことの意味を全く理解していないのだ。
佐助とて彼女に触れたいと言う気持ちがない訳ではない。
否。
と想いを通じ合わせた瞬間から、
理性と本能の間でどれだけ激しい葛藤を繰広げてきたかその苦労は計り知れない程だ。
愛しいと、大切にしたいと思っているからこそ、
今の今まで口付けのみでどうにか自制心を利かせて我慢してきた。
ぎりぎりの線で何度踏みとどまったかなど数知れない。
それを・・・契る契るってこの姫さんは・・・。
頭を抱えたまま、佐助はチラリとに視線を向ける。
彼女は未だに眉間にしわを寄せ、不満げな表情を浮かべていた。
「佐助、私と契らぬのか?契れぬ理由でもあるのか?」
「・・・・・・・・・・・・いや、あのねぇ、姫さん・・・お願いだからそう何度も・・・。」
「私は佐助との繋がりが欲しいと思っている、そなたと契りを交わしたい。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
ふつり。
と、彼の頭の隅で何かが切れる音がした。
彼は改めて彼女の正面に座りなおすと、その純粋な眼差しを持つ姫君をジッと見つめる。
「姫さん、それじゃあ、ほんっとに俺と契りたい?」
「だから先程からそう言っている。」
佐助の質問に、は堂々とそう言ってのけ、小さく頷いた。
彼はそれを確認すると、彼女の華奢な両肩に手を伸ばす。
その所作で長く艶やかなの黒髪が、さら、と心地よい音をたてた。
「佐助・・・?」
「言っとくけどね、姫さん、俺様かなり、いやムチャクチャ頑張ったからね?
だから・・・こっから先は何と言おうと容赦しないぜ。」
「・・・?よく分からぬが・・・契りを交わすと言うことか?」
「そういうこと。」
「そうか。」
は返事と共に嬉しげにふわりと笑みを浮かべ、自ら彼の体に両腕を回す。
その瞬間に佐助の鼻腔に甘くやわらかな芳香が広がった。
ほんの僅か彼の中に残っていた理性との葛藤も、その一瞬で消滅を果たす。
佐助はゆっくりとの唇に己が唇を重ね合わせた。
彼女は微かに驚いた様子を見せたが、すぐにそれを受け入れる。
彼がの唇を割ってさし入れた舌にも、恥じらいを見せながらも素直に応じた。
やがて佐助は唇を合わせたままの状態で、彼女の帯紐に手を掛けた。
そして片手で器用にそれを解いていく。
「さ・・・佐助・・・?」
さすがに戸惑いを覚えたらしきが、慌てた様に彼に声を掛けた。
「何?」
「こ、これは・・・その、着物を脱がねばらぬのか?」
「じゃないと契れないでしょうが。」
「そ、そ、そうなのか。」
「どうする?姫さん、止めてもいいんだぜ?」
問い返しながらも彼の手は動く事を止めては居なかった。
最初の警告通り、止める気などは毛頭ないのだ。
だが、にそれを読み取ることなど出来る筈もない。
彼女は再度焦った如く首を左右に振った。
「・・・大丈夫だって、最初は痛いけど・・・俺様絶対にあんたを乱暴に扱ったりしねぇからさ。」
「・・・・・・!?痛い!!??契りとは痛いものなのか!?」
幾枚もの着物を畳みに落としながら、佐助は彼女の耳朶に唇を寄せる。
彼の言葉にはビクリと身を硬くした。
「んー・・・ま、ね。」
「そうか・・・だ、だが、佐助と契る為ならば私はそれを受け入れる・・・ァっ・・・!」
ちゅ。
佐助の唇が音をたてての耳元に口付けを始める。
は頬を染め、僅かに身体を震わせた。
「あんた俺の本能のツボ押し過ぎだぜ、姫さん。・・・・可愛くて気が狂っちまうっつの・・・。」
「な・・・何を・・・・。」
更に頬を朱に染めて恥らう。
佐助はその彼女の様子全てが愛しく感じていた。
お願いだから姫さん、これ以上俺の余裕を剥ぎ取んないでくれって。
するり。
が身につけていた最後の着物が彼女の肩から滑り落ちる。
だが、彼女は慌ててそれを両手で掻き合わた。
「ま、ま、待て佐助・・・、そ、その、私だけが着物を脱がねばならぬのか?契りと言うのは・・・!」
は焦った様子で声を震わせる。
佐助は既にうす布1枚の彼女の姿に魅入られらた表情を見せていた。
「あらら、姫さん大胆だねぇ。勿論俺様も脱ぐけど。」
「そ、そうか・・・。何!?そなたも脱ぐのか・・・!?」
「いや、ま、男は脱がなくても出来る事もあるけどさ。」
そう口にしながら、佐助は手早く自らの衣服を脱ぎ捨てる。
は半ば呆然とした様にそれを見つめていた。
そして彼の上半身が完全に露になった頃、再び動揺と羞恥の表情を見せる。
「佐助・・・・!」
「俺様もうとっくに我慢の限界なんだって姫さん。お預けってのはなし。」
言いざま、彼はの羽織っている最後の着物を畳みに落とし、
磁器の如き滑らかな肌に唇を押し当てる。
はビクリと大きく震えると、咄嗟に彼から身を離そうと後退りしようした。
が、それは彼の片腕に意図も容易く阻まれる。
舌を使ってゆっくりとその甘やかな香りをもつ肌の柔らかさを味わい始めながら、
佐助は彼女を宥めるように言った。
「男女の契りってやつをあんたに教えるなら、俺しかいないでしょ、。」
「あ・・・ァっ・・・ま・・・佐助・・・っ・・・!ふ・・・ァ・・・っ・・・」
の身体は佐助の舌の動きに反応し、びくびくと震えている。
それと共に彼を呼ぶその声は掠れ、何とも言えぬ甘さを帯びていた。
そしてその彼女の声音は佐助の鼓膜を十分なほどに刺激する。
今すぐにでも繋がってしまいたい衝動をどうにか抑えつつ、佐助はの唇を再び自らの唇で塞いだ。
数時間後。
そこには当初茶菓子を前に談笑していた恋人達ののんびりとした雰囲気は影も形もない。
しっとりと湿り気と艶を含んだ閨。
行為の熱も覚めやらぬ空気の中、は佐助に背を向けて座っていた。
白い肌に転々と残された鮮やかな花弁を思わせる鬱血。
乱れた黒髪は幼さを残して尚且つ妖艶とも言える。
「姫さーん、機嫌直せって、な?」
「知らぬ!だ、大体・・・そ、そなた、何だ!あれは・・・!私を殺すつもりだったのか!?」
「うほっ!何、死ぬほど良かった?」
「ばっ・・・・!!」
は振り返り、手元の着物をばさりと佐助に投げつけた。
佐助は片手でそれを受け止めると、ニヤリと笑みを浮かべる。
「俺と契りたいって言ったの姫さんでしょうが。」
「それは・・・!!」
「俺様ちゃんと確認は取ったぜ?でも自信満々姫さんが答えるからさ、
ちょっとこう勢いに乗っちまったっつーか。」
「そなたなど、もう知らぬ!!」
そう口にし、は顔を真っ赤に染めたまま再び佐助に背を向けた。
先程まで彼の下で息を荒くして乱れていた『女』であったとは別人の様で、
その全てが佐助には愛しくて仕方がないのだった。
「姫さん、そう怒るなよ。俺はあんたが好きだから、
あんただから今まで我慢できてたんだぜ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「こう言うのもなんだけど、俺姫さんが好きすぎて発狂しちまうかもしれねぇと思ってたから。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・本当か?」
「うん?」
「私を・・・そこまで好いてくれているのか?」
チラリ。
問いと共にが僅かに佐助を振り返る。
佐助は苦笑し、ゆっくりと彼女を背後からき寄せた。
再び重なる肌と肌が、密着し、じんわりと温かさを伝える。
「本当だぜ、姫さんのこと、好きで好きで、
お陰でこんな恥ずかしい台詞口にしちゃってる位だぜ。」
「・・・・・・・・・佐助。」
首を傾ける様にして振り向いた彼女の唇に、佐助は幾度目かの口付けを落とす。
は黙ってそれを受け入れていた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・さ、佐助。」
「ん?」
「そなた・・・手、手を・・・・。」
先を続ける事を躊躇いながら、の視線が困惑気味に下へと移る。
背後から伸ばされた彼の両手は、いつの間にかのなだらかな双丘を弄んでいた。
が思わず声を漏らすと、更にその片手は何の躊躇も見せず、
滑る様に彼女の下腹部へと移動していく。
「佐助・・・!!!」
「・・・。」
「!?」
耳朶を甘噛みする如く柔らかく歯を立てて、佐助は彼女の名を呼んだ。
ビクリ。
再び彼女の体が跳ねる。
「この程度じゃ俺様まだまだ満足出来なくてさ、
俺にあんたと契る悦び、もっと教えて欲しいんだけど。」
「ま、ま、待て、佐助・・・私は・・・もう十分だ・・・。そなたの気持ちはよく分かった・・・!」
「いやいや、共に深く満たされてこそでしょ。これで放す気はないぜ。」
軽い口調とは裏腹に、の瞳を捕らえた佐助の瞳は妖しい輝きを宿している。
「佐助・・・!放せ・・・!わ、私は・・・!もう、お前など知らぬ・・・!!知らぬ!!」
「またまた姫さん、そう拗ねるなって、大丈夫、今度は絶対最初から気持ちいいから。」
その後双方の合意と共に契りを交わしたのかどうか、それはこの二人のみぞ知る話である。
「!!!!!!!!!!!!!放せ!!この!!放せぇええええええ!!!」
(終わり)
後書き
あれ?????佐助救済部屋???あれ???
これ佐助救済出来るのだろうか(笑)最初と最後のテンポが微妙過ぎる
最近文章書くの疎かにしてた罰だろうか。
とにもかくにも、ここまでのお付き合い、誠に有難うございました、失礼致します。
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