佐助。佐助。
、あんたが俺の名を口にするたび、それだけで胸に広がった甘い痺れ。
あんたは俺の一番弱いところをよく知ってたね。
俺は忍びと言う職業柄、感情を表に出す事は極力ない。
それはもう俺の一部で、努力する必要なんか全くなくて。
なのにどうしたもんだか、あんたの前ではそれがあっさり崩れちまってた。
―佐助が傍に居てくれれば、私はそれで幸せよ。
ったく、参ったもんだよ、あんたには。
一瞬で俺の理性も常識も吹っ飛ばしてくれたんだから。
どんな状況でも忍びである筈のこの俺様が、
ただの猿飛佐助って男になっちまう瞬間。
それは間違いなく、、あんたの前でだけだったぜ。
なぁ、戦で血に濡れた俺の手を、今更嘆くつもりなんざさらさらないけど、
それでもこの手であんたに触れる時、
俺の心の何処かでもう一人の俺が悲鳴を上げることさえあった。
それ程に、あんたは綺麗で、純粋すぎたから。
―約束して、佐助、どこへ戦に行っても、生きて必ず私の所に帰ってくるって。
絡められた指は思った以上に細く頼りなくて、俺は力を入れるのを躊躇った。
あんたは何故かそれに腹を立てて、両手で無理やり俺の指をがっちり絡めさせたっけな。
、安心してくれていいぜ、今もあの約束は俺の胸の奥にある。
けど、あんたは純粋で綺麗で、そしてズルイ女だね。
「俺を残して逝っちまうなんて、それって約束反故にしちまったのと同じじゃね?
それでも俺様こうして毎年ここに来てるっての、健気な男だよな、実際。」
ああ、そうそうあんたの大好きだった「いしづ屋」の団子、
真田の旦那が自分の分まで差し出して来てくれたんだぜ。
あの甘味狂いの旦那がさ。
今年でもう4度目の秋になる。
あんたの大好きだった萩の花が今年もいい具合に咲いてるぜ。
なぁ、、見えてるか?
人は、死んじまったらそれで終わり。
んなこと、言われなくても分かってるっつの。この俺様が一番よく。
それでも秋が来ると、いつも以上に感傷で胸が潰れそうになっちまう。
「大将・・・真田の旦那・・・はやいとこ・・・戦なんざ終らせちまおうぜ。」
、あんたとの約束を胸に、俺はまたここに戻ってくる。
来年も、そして多分その次も。
猿飛佐助は、あんたとの約束だけは忘れたりはしねぇぜ、。
(終わり)
後書き
く、く、暗すぎる!これは本当は佐助救済部屋に置く予定だったのですが却下!!
久し振りに全部書き終えたのがこれって・・・。佐助、御免なさい。
次回でリベンジしたいです、本当に。よりによって悲恋死にネタ書いてしまうなんて。
ではでは、ここまでのお付き合い、誠に有難うございました。失礼致します。
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