「佐助・・・・・・・・。」
「お、時間ピッタリおいでなすったね、。」
「・・・・・・先に・・・そなたに・・・言っておかなければならない事がある・・・。」
「あらら・・なーんか嫌な予感がするね・・・・。で、何だい?」
「・・・私は明朝・・・家を出る・・・。もう2度とこの地へ戻る気はない。」
【2.その熱に焼かれるとしても、その腕に触れられたくて】
夜の冷たい風がびゅうと音をたてて吹き、
佐助の目の前に立っているの長い黒髪を空へと舞上がらせた。
彼は一瞬の間を置いた後、口元を僅かに曲げて言った。
「・・・実行に移しちまうんだな、とうとう・・・さ・・・。」
静かな、どこか諦めているような口調でそう口にする。
はそんな彼をじっと見つめて頷いた。
「ああ・・・・もうその手筈は充分出来ている・・・・。」
2人の視線が重なる。
佐助の片手が上がり、彼女の黒髪に触れた。
「あんたはいつも突然過ぎて、ホント・・・参るね・・・。」
「・・・・・・・私はそなたがいなければ、とっくの昔にここを出ていた・・・。
やっと決心がついた・・・。あの家に居ては私は駄目になる・・・、佐助・・・・これが・・・。」
「言うなよ・・・・・・・・・!」
が言葉を続けてしまう前に、彼はそれを遮った。
彼女は開きかけの唇を止め、そのまま閉じる。
視線を地面に向けると、は哀しげに唇の端を上げた。
そして再び、その続きの言葉を紡ぐ。
「これが・・・そなたとの最後の逢瀬だ・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
無言で彼女を見つめる佐助に、は瞳を上げてそれを受け止めた。
その口元は未だ哀しげに笑んだままだ。
「佐助・・・そなたと出会えたことだけが・・・この地での私の光だった・・・。」
「・・・・・・ヘッ・・・あんたらしくもないぜ、・・・。そんな台詞言っちまうなんてさ・・・。」
そう口にした彼の声は僅か震えていた。
感情を表に出さぬ彼にはあるまじき事だ。
抑えろ!佐助の心の奥がそう言っている。
それでも、彼は胸の芯から込み上げてくる何かを感じずにはいられなかった。
「佐助・・・。」
「らしくないのは・・・俺の方だね・・・。」
不意に視線をから逸らし、彼は空を見上げた。
三日月にかかる雲が月の光を遮って、森を照らす明かりは少ない。
「佐助・・・。」
再び彼女が彼の名を呼び、彼に触れようと片手を伸ばす。
「・・・今俺に近付いちまったら・・・あんたに優しくしてやれる自信がねぇよ・・・。」
「・・・・・・・それならば・・・それでいい・・・。佐助・・・・・・・・・・。」
「へっ・・・困った姫さんだな、あんたも・・・。」
そう言った佐助の手が、の片手を捕らえてグイと力強く腕の中へ引き入れた。
そして彼はそのまま彼女を抱きしめる。
「佐・・・助っ・・・!」
「・・・・」
互いの名を呼び合うと、彼はその唇で彼女の唇を塞いだ。
の紅い唇が彼の唇を求めるように吸い付いてくる。
佐助は貪り喰らうようにその唇に何度も何度も口付けた。
彼女の背中を木に押し付け、その帯びを片手で手馴れた様子で緩める。
緩められた帯から彼女の衣服が肌蹴、闇夜にもはっきりと分かる白い陶磁の肌が現れた。
その襟元から手を滑らせ、の胸を掌で包みこむ。
そして片脚で着物の乱れを促すと、そのまま太腿を割るようにして自分の脚を割り込ませた。
「やっぱ・・・いつ見ても綺麗だな・・・あんたの肌は・・・。」
佐助が彼女の首筋に唇を寄せ、舌をゆっくりと這わせる。
「・・・っ・・・・あっ・・・」
の胸元の膨らみを揉みしだく彼の指先が突起を摘み、弄び始めた。
その瞬間にの身体に軽く甘い痺れが走る。
僅かに身を逸らせ、彼女が声を漏らした。
「ふぁっ・・・んっ・・・・・」
「・・・。」
漏らされた甘い声に、佐助が熱を含んだ声で彼女を呼んだ。
衣服の中で動かされる彼の手に、緩められた帯が彼女の腰と木の間に挟まったまま解ける。
佐助はそれを見計らって居たかのように、掌を彼女の肌にゆっくりと滑らせて下降させていく。
そうしながらも、再びと唇を合わせて熱い吐息を送り込んだ。
下腹部へ到達した佐助の指が、何の躊躇いもなく彼女の中へ入れられる。
既にそこは潤いに満ちており、彼女自身も痛みは感じなかった。
「あぁっ・・・!」
先程よりも強い刺激を中から感じ、がまた声を上げる。
入れられた指が蠢き初め、更に奥へと進んだ。
彼女の内股をぬらりと生暖かい液体が濡らしていた。
佐助の指が巧みに動き、彼女の思考をかき乱す。
「あっあぁぁっ・・・んぁっ・・・っはぁっ・・・ああっ・・・!!」
嬌声を上げ、は佐助にしがみ付いた。
「・・・いいね、今日は声・・・抑えないんだな・・・・。」
それは何処か寂しげな佐助の呟きだった。
此処は彼女の邸からは少々離れた場所にある森の中だ。
しかし彼女は今までの逢瀬の間、どんな事があっても決して声を上げようとはしなかった。
声を押し殺し、その上で彼を受け入れていたのだ。
だが今のは声を抑えている様子はない。
それが刻一刻と迫る別れの時を想っての事だと佐助は気付いていた。
「佐・・・助・・・っ・・・・!」
掠れた声で佐助の名を呼んだの潤んだ瞳が彼を捕らえた。
「もう欲しい・・・?おねだりは大歓迎・・・。」
クスと小さく笑んだ佐助がの裸の腰を直に抱き、
既に立ち上がっている硬く熱いそれを彼女の中へ押し入れた。
ジュブと言う泡だった音と共に、彼は更に彼女の腰を引き寄せる。
「ああぁぁっ・・・んっぁっ・・・佐助っ!!ああぁっ!!」
「っ・・・あんたの声・・っ・・・・滅茶苦茶俺の腰にくるわ・・・。」
息を荒げ始めながら、彼は途切れ途切れに言った。
淫靡な音が静かな森の中を響き渡る。
月明かりに照らされた二つの影は、妖しく揺らめいて互いを貪りあっていた。
今この時だけは、彼らの頭から「別れ」の文字は消えていた。
ジュプッ・・・ズポッ・・・
佐助がに腰を打ちつける度に、粘膜せいの高い水音が辺りの空気を震わせる。
彼女の衣服は乱れ、半裸に近い状態ではあったが、
火照る身体が熱を発散し寒さを感じずに済んでいた。
「佐助っ・・・・もっと・・・そなたの声で・・・っ・・・私を・・・っ!
あっ・・・うッ・・・あぁぁぁ!!!!」
「っ・・・・・・・・・・・・・ッ・・・くっぁ・・・っ・・・!!」
彼の口から彼女の名が何度も零れ出る。
それに反応する如く、の膣内は熱を増して彼を呑み込んだ。
ジュボッ・・・
「佐助っぁあぁぁ!!佐助っ・・・!!」
「うっ・・・っ・・・!」
悦びとは違う何かが駆け抜け、どこか切なげな表情で彼女は佐助を呼んだ。
そして彼女の身体が大きく波打ち、2人は同時に絶頂を向かえた。
ゴポッ・・・・・・・・・・・・・
佐助の白濁した熱い精液がの膣内を侵す。
受け止めきれなかったそれは、その温かさを残したまま彼女の太腿を伝って地面へ滴り落ち、
土の中へ染み込んだ。
脚ががくがくと震えて立つ事もままならないを、佐助は身体を繋げたまま支えた。
は佐助に腕を回して寄りかかり、彼の肩に頭を乗せて荒い息をしている。
膣内は今も彼を求めてひくついていた。
「まだ足らねぇか?・・・って俺もだけどさ・・・・・・・・・。」
苦笑するように佐助が呟いた。
「足らない・・・佐助・・・そなたと・・・ひとつになって・・・・そうすれば私は・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いい・・・その先は・・・今は言ってくれんなよな・・・。」
「・・・・・・・・・佐助・・・・・っ・・・あぁっ・・・ふっ・・・」
佐助が再びゆらりゆらりと腰を動かし始めた。
の美しい肢体が弓なりに反り、佐助はその腰を抱く。
艶のある黒髪が汗で彼女の紅い唇に纏わりついている。
彼はそれを舌で舐め上げて、そしてその紅い唇に唇を重ねた。
やがて空が白み始めた頃、は佐助の腕に抱かれたまま口を開いた。
「佐助・・・・・・・・夜が・・・・・・明ける・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「佐助・・・・・・・・?」
彼は不意にを抱く腕に力を込め、軽く瞳を閉じた。
この言葉を口にしたとしても、彼女の答えは分かっている。
それでも彼はそれを口にせずにはいられなかった。
やり場のないこの想いを、どうしても伝えずにはいられなかった。
「行くなよ・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・佐助・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
彼の腕の中のが息を飲んだのが分かる。
その身体が小刻みに震えていた。
だが、暫くの間を空けて、彼女が首を左右に振って言った。
「すまない・・・・・・佐助・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
それは決定的な別れの言葉。
恐らくがこの地を離れたならば、彼らはもう一生会う事はないだろう。
彼女の瞳からは、止め処なく涙が溢れていた。
「行け・・・・・・・・・・・・・・、もうすぐ此処に迎えが来る・・・・・・・・・・・・・。私は1度屋敷に戻らなければ・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
佐助は彼女の名を呼び、また腕に力を込める。
そしてスッとその身を離した。
「・・・・・・佐助・・・・・・・私はそなたを・・・心から慕っていた・・・・。
それだけは・・・・・・・忘れずにおいて欲しい・・・・・・・。」
涙を溜めた瞳で彼を見上げたが言った。
佐助は唇を不自然に曲げて笑んで見せた。
酷く哀しい笑顔だった。
「色恋なんて熱病と一緒・・・・・・・・、一時の戯れ・・・・・そんなこと・・・本気で思ってたんだけどね・・・俺は・・・。」
彼女に背中を向け、佐助がゆっくりとその場から離れて行きながら口を開いた。
「・・・・あんたと出会って・・・・・・・それが間違いだって気付いちまった・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・自分でも驚く位あんたに溺れてた・・・・・・・。」
「佐助・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「やーれやれ・・・前よりもっと・・・・・愛ってヤツが嫌いになっちまったね・・・・・・・・・・・・。」
シュッ・・・・・・・
小さくなった佐助の背中が、瞬時にして消えた。
白み始めていた空が、ゆっくりと確実に朝を運んで来ていた。
2人の逢瀬に永遠の終わりを告げるが如く。
(終わり)
後書き
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ちょっとこれ・・・・・・・政宗の微裏より酷い!?
元々佐助夢の悲恋と微裏を合体させた事自体間違いなのか!?
しかも無駄に長いし(涙)最後収拾つかなくなってました。
私の書く佐助は裏向きではないって事かな・・・・・・・・・・・・・。
では、こんな作品を読んで下さったお客様、本当に有り難うございました!
失礼致します。
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