どんなに愛の言葉を吐かれてみても、殿方の心とは移ろい易いもの。
ましてや政宗様程のお方となれば、女子も放っては置かないでしょう。
ですが、政宗様、貴方様が選んだのはこの私。
お約束した以上、守って頂きます!!
【8.首へかみつく】
「Hey!どうした?。やけに機嫌が悪いじゃねぇか。」
「そんなことはありません、いつもと変わりませんから。」
にっこり、と笑みを浮かべて私は答えた。
政宗様はそんな私の顔を探るような瞳で見つめる。
「知ってたかい?、アンタ機嫌が悪い時には笑った時でも片眉が上がってんだぜ?」
「・・・・・・!!」
政宗様のその言葉に、私は咄嗟に両手で眉の辺りを押さえた。
それを見た彼がフッと吹き出して、更にククッと喉を鳴らし始める。
私は慌てて両手を下に下ろした。
「政宗様!!かまをかけましたね!?」
「HA!人聞きが悪いな。俺はただ本当の事を言っただけだぜ。
けど、やっぱりそうか。言ってみな、何をそんなに怒ってんだ?」
言いながら、何故か彼は必要以上に私の顔に自分の顔を接近させる。
私はそれをかわす形で少しだけ、後ろにさがる。
「政宗様、そんなに近付いたら話が出来ません・・・。」
「おっと、失礼。怒った顔もまたcuteだったから、つい、な。」
すぐ目の前にある政宗様の薄い唇が端を上げて笑う。
私は彼を睨みつけて、自分からまた少しだけ後退りした。
「で、どうした?」
政宗様はそう私に尋ねながらも、片手で私の髪に触れてそれを弄び始める。
私はあえてそれを気にしないようにして、口を開いた。
「政宗様はをいつか妻として迎えて下さると約束した事がございましたね?」
「YES.ちゃーんと覚えてるぜ。今も俺は約束どおり、アンタしか見えてねぇからな。」
政宗様はいつもと変わらぬ涼しげな顔で私を見つめると、髪に触れていない片手で私の腰を抱いた。
「どうした?何か不安なことでもあったってかい?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
暫くの間俯いて、私は決心を固めると顔を上げた。
そしてその言葉を政宗様にぶつけようとしたその瞬間。
「政宗様、御免!お清殿がいらっしゃいましたが、いかがなさいますか?」
「清が?OK!すぐ行くぜ、いつもの場所に通してくんな。」
「はっ!」
私は開きかけた口を閉じて彼を見つめる。
政宗様は私の身体から手を離し、同時に名残惜しそうな手つきで髪の毛をはらり指の先から離した。
「悪ぃな、。大事な客人だ。ちいと待ってな。」
「・・・・・・・・・。」
無言の私を残して彼はそのままその『客人』の待つ部屋へ向かった。
・・・『お清』さん・・・と言うの・・・あの綺麗な女人は・・・・・・・・・・・。
ここ最近、ずっと政宗様を訪ねて城にやってくるそれは綺麗な方。
直接会ったことはないけれど、とても親密そうに会話をしているのを何度か目にした。
小十郎様達にもそれとなく彼女について聞いてみた事もあるけれど、何だかんだとはぐらかされてしまった。
・・・さっきの政宗様の態度といい・・・、余程お清さんと会うのが楽しみだったんだわ・・・。
そんなことを考え出すと、見る間に心の中にどす黒い嫉妬の心が張り付いていく。
私はその場を後にして、広い中庭の石畳を中央の池まで1人で歩いていた。
その間も心の中を占めるのは政宗様と清と言う人のことばかり。
池の傍まで来ると、私は何気無くその水面に目を向けた。
驚くほど沈んだ瞳の自分が水面に映りこみ、どうしようもなく腹が立って石を投げ込む。
私らしくもない!ここはやはり政宗様にお伺いしなければ!!!
その後暫くしてから、私の居場所を誰かに尋ねたのか政宗様が姿を見せた。
「おいおい、急に居なくなっちまうから心配したぜ。ま、待たせて悪かったな。」
「・・・・・・・・政宗様!」
私は現れた政宗様に詰め寄るように、すぐさまズイと前に出た。
「おっと!どうした?さっきと違ってえらく積極的じゃねぇか?」
何を勘違いしたのか、彼はそう言ってまたしても私の腰に腕を絡ませる。
私は慌ててそれから離れようとした。
「っ!?」
身を離したその瞬間、私は政宗様の肩に真っ赤な紅が擦れるようについているのをしっかりと目にしてしまった。
直後に私は信じられない思いでそれを凝視し、それに気付かない政宗様が口を開いた。
「what?どうし・・・・・・!?」
言いかけた政宗様の首の後ろへ自ら腕を回し、そのまま力一杯引き寄せた。
不意を突かれた彼が私の方へ屈みこんできた所を狙い、その首元に噛み付く様に口付ける。
勿論、絶対に誰の目にも入る場所に。
政宗様の肩に付いた真っ赤な紅を目にした途端、私の中の何かが弾けてしまったのだった。
唇を付けたまま、軽く歯を立て吸い上げる。
「・・・うっ・・・、・・・?」
小さく声を上げ私の名を呼んだものの、それを受け入れる政宗様。
私は身体を離して睨みつけるように彼を見上げた。
「これで他の女人は近づけません!!!いい気味だわ!!!」
「!?おいおい、何の話だ?」
軽く痛みを感じるのか、政宗様は私が痕を付けた首元を片手で押さえて言った。
「分からないと仰いますか!?
先ほどまで・・・あの『お清』さんと言う方と、さぞや楽しいことをしていたんでしょうね!?」
「・・・・・・・清・・・?・・・・・・・・、アンタもしかして・・・・・・・・。」
そこで政宗様は突然吹き出し、堪えきれなくなった様にクククッと喉を鳴らして笑い出した。
「政宗様!!」
「Oh!Sorry・・・!ククッ・・・いや、アンタがあんまり嬉しい勘違いしてくれるんで、
ちいと我慢できなくなっちっまった・・・。」
「勘違い・・・・!?」
私は怪訝な表情のまま、彼の顔をじっと見つめた。
政宗様は唇に笑みを浮かべて私の視線を受け止め、口を開いた。
「清は確かにいい女だ、だけどアンタにゃ敵わねぇよ。
あいつがここ最近、城に出入りしてたのは俺が頼みごとをしてたからなんだが・・・。」
そこまで言って、政宗様は腰に付けていた袋から長方形の箱を取り出した。
「、後ろを向きな。」
「・・・・え?」
突然の事で戸惑っている私の両肩に手を掛け、彼は私に背中を向けさせる。
「政宗様?一体・・・」
「Don't move!危ねぇからじっとしてろ。」
後ろから私の頭の辺りで手を動かしている政宗様が言った。
私は言われた通り、素直にそれに従って動きを止める。
「OK.いいコだ。ほら、池ん中のアンタを見てみな。」
「・・・・・・??」
言われるまま、池に向かって屈みこみ、自分の姿を映す。
耳元で私の動きに合わせてシャラ・・・と音がした。
「・・・・政宗様・・・・、これは・・・・・・。」
「That's right!よく似合ってるぜ。」
水面に映る私の髪に挿されたそれは見事な装飾の簪。
洗練されたその形、そして色。
政宗様の趣味がそのまま反映されたような簪だった。
「随分前から目を付けてた簪職人がいてな、Designの指示を出してたんだが、
城をそう何度も空ける訳にはいかねぇし・・・、それでその簪職人と知り合いだった清に頼み込んでたって訳だ・・・。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・そう・・・・・だったんですか・・・・。」
私の背後に立っている水面に映る政宗様の唇の端が、再びニヤリと上がる。
そして、つい先ほど私が付けた首筋の痕を指先でトントンと叩いて見せた。
「熱烈にJealousy感じてくれたみてぇだな?嬉しかったぜ。」
「なっ・・・!!!」
瞬時にして私の顔が羞恥心で赤く染まる。
自分の勘違いで私は何てはしたないことをしたんだろうと、思い知らされた気分だった。
「それはっ・・・!政宗様がそのような所に紅など付けておいでだから・・・!」
「ん?ああ、これかい。これは清が足滑らせて倒れこんできた時についたもんだ。」
「・・・・・・・・・・・・・倒れこんだ・・・・。」
その様子を想像し、私は思わず口に出してしまった。
「HA!安心しな、清はあれでも旦那も子供も居るんだぜ。」
「ええ!?そうなんですか・・・・?」
私はますます恥ずかしさに顔を赤らめて答えた。
政宗様の腕が私の身体を捕らえ、再び彼と向かい合わせになる。
「・・・あの・・・申し訳ありませんでした・・・・・・。それから・・・有り難うございます・・・。」
「いや、礼を言うのは俺かもな。アンタにこんな熱烈なKissを貰っちまったんだから。」
「っ!!政宗様!!」
ハハハッと今度は声を上げて笑う彼。
私は自分でしたことが余りにも恥ずかしくて、政宗様から目を逸らす。
「、アンタの身体にも、俺の印を付けちゃくれねぇか?」
「・・・・え?印・・・って、・・・・もう!またからかってますね!?」
「No!俺は本気だぜ。」
そう言った彼が私の腕を引いて、私を池の傍にある木の下まで連れて来た。
私の背中を木に押し付けると、帯紐に手を触れる。
「!!!???待って下さい!!政宗様・・・っ!こっ・・・こんな場所で・・・!!」
「Oh!安心しな、最後まではいきやしねぇ。」
「そう言う問題では・・・ッ・・・・!!」
シュルル・・・
帯紐が腰から引き抜かれて、気付いた時には政宗様は私の胸元に屈みこんでいた。
柔らかな唇の感触が肌に伝わり、それと同時にツキンと吸い付く痛みを感じる。
「んっ・・・政・・・宗様・・・。」
「、相変わらず驚くほど白い肌してんじゃねぇか。俺の痕で埋め尽くしてやりたくなるぜ。」
肌に痛みを感じるたびに、点々と紅い痕が付いていく。
政宗様はその上をなぞるように舌を這わせ始めた。
私がビクリと身体を震わせると、彼は私の背中を更に強く木に押し付けた。
そして、掌をゆっくりと内腿へと移動させる。
「あっ・・・!」
「I'm verry sorry・・・悪いな、さっきの言葉は撤回だ。」
「・・・・・・・・・・え・・・?」
驚いて政宗様を見ると、彼は私の唇に深く口付けてから言った。
「我慢すんのは性に合わねぇ、悪いがここで頂くぜ?」
私の答えに関係なく、政宗様は再び私の唇を塞いだ。
(終わり)
後書き
・・・政宗の短編6回目にして気付きました。
私の書く政宗は・・・・クサイ台詞吐き出し過ぎです。
自分で読み直すと余りのくささに絶句。
でもこれしか書けないんです、すみません・・・。
佐助はどうだろう・・・まだ短編1回なんで分かりませんが。
クサクサ政宗(涙)みたいにならないようにしよう。
では、ここまで読んで下さった有り難いお客様、失礼致します。
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