佐助と向かい合ってファミレスで朝ごはん。
何だか、スゴク不思議な感じだ。
変な感じ。
むず痒いって言うか、照れくさいって言うか。
二人っきりでこんなこと、ホント、初めてで。
「、どうした?ぼんやりしちまって。」
「え?あ、ううん、別に。」
答えて私は慌ててお箸を進める。
前の現実世界じゃ友達と外食ってのは珍しくなかったし、
今だってたまにいつものメンバーで甘い物(特に私と幸村)食べに行ったりしてるけど、
佐助と二人っきりなんてマジで信じられない。
まぁ、その為の『デート』で、
そういう時間を取ることすら出来ない状況だったから、
こんな朝っぱらからファミレスに居る訳だけど。
デート。
私とは無縁の響きだったと思ってたのに。
しかも相手はあの猿飛佐助。
やっぱ未だに信じられない。
彼氏彼女的なことを滅多にしてないせいかもしれないけど。
ん?んんんん!?
いやいやいや、それじゃあ何か期待してるみたいじゃない!?
いや、期待してない訳でもないけどさっ!
ヤバイ、このままだと一人頭の中で自分で自分に言い訳染みた事を考えてしまう。
「ここってファミレスの割には美味しいよね、色々気を遣ってる味がする。」
話題がないのも気まずいので、取りあえず会話を始める私。
いや、気まずいってのとは違う。
つまり、変に意識過ぎるのが嫌だった。
「んー、そう?俺はの味付けのが好きだけどね。
アンタの味に慣れてるってのもあるけど、作ってる人間に惚れこんじまってるからさ。
なーんてな、あれ、今の俺様ちょっと格好よくなーい?」
「ッブハッー!!!」
佐助の台詞に即効今飲んだばかりの水を吹きだす私。
ゲボゴボと咽る。
何てこと言うんだコイツは!!!
コイツは!!!!
コイツは!!!!コイツはぁっ!!!
『なーんてね』じゃないわよ!!!!!!
誤魔化せてないから!!しっかり驚いてるから!!!
「あらら、大丈夫か?」
「エッホッ!!ゲッホ!・・・だ、っ…ぶじゃ・・・ない!」
言いながら、私は片手で口元を覆って激しく咽まくる。
佐助が苦笑しながら立ち上がって、私の席の隣に移動してくると、
軽く屈んで背中を優しい手つきで撫で始めた。
「ゴッホ、ッッホ・・・うう、や、そこまでし・・・ッゲッホなくてもっ」
まるで小さな子供が母親に宥められてるみたいだ。
そう言えば、佐助には『おかん』と言う称号が与えられてる事もあったな、
なんて思いだした。
「まぁまぁ、元々は俺の台詞のせいで噴いちゃったみたいだし、この位させてくれよ。」
それから少しの間咽続けた後、ようやく落ち着いた私は、
再度、佐助と向かい合って食事に戻っていた。
(私が噴き出した水は佐助がおしぼりを使って綺麗にふき取った。)
「しっかしあの程度の台詞で動揺しちまうとはねぇ。」
「あの程度!・・・・・あんな恥ずかしい台詞よく口に出来るわよね!」
ホント、尊敬イタスワヨ。
と、嫌味を込めて言った私に、佐助は、いやーそんな褒めてくれなくてもいいんだぜ、
なんぞと言って一人で照れている。
いや、まぁ・・・嬉しくなかった訳じゃ決してなくて…。
ほっぺのひとつでも赤くして俯いたりとかベタな乙女モードに入った方が、
やっぱある意味男としても嬉しいのかもしれない。
とことん可愛くない女だ、私ってやつは。
ま、んなこと知ってるけど。
でも佐助の口からあんな台詞を公の場所で聞くなんて・・・・。
軽いノリで言ってたけど、ああ言う台詞は大抵・・・。
「政宗先輩は日常会話で人のこと口説きまくってたから慣れてるんだけど、
あんたからだと普通にビビ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
言いかけて、私の口が止まる。
視線の先、佐助の表情。
明らかに、不機嫌モードへ移行されたっぽい。
何だ、私ってば、知らない間に地雷踏んだってこと?
佐助が眉間にしわに寄せる顔なんて滅多に見ないのに。
私ならとうの昔にブッチギレてるような時でも笑顔か超余裕顔かどっちかだし。
なのに、目の前の佐助の顔。
すっごい、分りやすい程不機嫌になってる。
「・・・佐助?」
「ん?」
「何かムカついてる?」
「えー?俺様が?」
へらっ。
笑って、返す佐助。
だけど、その後更に、付け足される。
「いやぁー、うん、ムカついてるわ。」
いやー、うん。
って、どっちだよ!!!
いやいやいや、そうじゃなくて。
やっぱムカついてるんだ、コイツ。
どう見てもそう言う顔だから驚かない。
驚かないけど。
佐助の不機嫌顔って滅多にないから想像以上に迫力あるんだけど。
ッて言うか、何で不機嫌な訳・・・?
何か、一瞬で不機嫌にならなかった?
えーっと、えーっと・・・。
私は少し前の会話を思い出して、あれか、これかと考える。
でも私が咽まくった後も前も普通だったし、寧ろ機嫌は良かった。
だったら。
そこでまた考えて、ふっ、とひとつ、頭に浮かぶこと。
ええええええ!?いやいやいやいや、それはないわよね?
そんな、少女マンガの王道的な理由!?
まさか、そんな、いや、でも。
こんなこっぱずかしい事が理由だったら私はどう反応していいか分からない。
自分で思いついた『佐助不機嫌の原因』に、私は一人で動揺しまくった。
だけど、自分だけで考えても仕方ない。
違った場合はいっちょ笑い飛ばしてやれば済むこと。
そうだ、そうだと納得して、私はチラリと佐助に視線を向けた。
「・・・私が、政宗先輩の名前を出したから、ムカついた・・・?」
「お、冴えてるねぇ。いつも鈍いが上出来上出来。」
「あはははは!だよね、んな少女マンガのヒーローじゃあるまいし、
そんなことで怒らな――――。」
ん?あれ?え?
チョットマテ、今、佐助、ええええええええええ!!?
「マジで言ってんの!?」
「マジマジ。、考えてもみろよ、俺様達よーやく、こうして二人きりになれたんだぜ?
しかも早朝6時代に家から出てまでさ。家庭の事情ってのも勿論大きく影響はしてるけど、
毎回伊達の旦那達が邪魔してる方が俺としてはムカついてる。
しかもアンタを未だに口説きまくってる伊達の旦那の話題なんか、
二人っきりのこの状況での口から聞きたくねぇって訳。
つか、もっと分り易く言うとさ、俺以外の男の話題、止めて欲しいってことだわ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「お分かり?」
にっこり。
頬杖をついてこっちを見つめながら、佐助が笑顔で言った。
硬直する、私。
マジでそんなド恥ずかしい理由だったなんて。
そんなこと、素でさらさら口にしないでほしい。
やだな、自分の思考もヤバい・・・。
カァッ。
顔に血が昇る。
乙女モードがONになってしまう。
やばい、やばい、やばい。
こんなド恥ずかしい台詞が、死ぬほど嬉しいなんて。
やっぱり私も17歳の青い春な乙女なんだわ。
それから私達はファミレスを出て、朝の街を二人でぼんやり歩きながら、次の行き先を考えた。
だけどさすがにこんな朝っぱらから行ける場所なんか限られてる。
私と佐助は、ヤツの提案で海に行くことにした。
と言っても勿論、泳ぐ訳じゃないけど。
普通に水着なんか持ってきてないし、それ以前にまだ泳ぐには少し早すぎる。
そして今、私達は砂浜を歩いていた。
白い砂浜。
青い海。
こんなに奇麗な海は、私の知る限りじゃこの辺に無かったはずだけど。
でも、それをこの世界で言ってたらキリがない。
無さすぎる。
「、手、繋がせてくんない。駄目?
つーか寧ろ、ここはやっぱ手を繋いで歩いとくべきだと思うんだけどね。」
言いざま、隣を歩いていた佐助が片手を差し出してきた。
私は素直にその手を取る。
何だかんだ言っても、私だって佐助とこうしてゆっくり二人きりになる時間が欲しくて仕方なかったし。
私が普通に繋ごうとした手を、アイツは指を絡めて所謂『恋人繋ぎ』と言う物にした。
またしても襲い来る気恥ずかしさに顔を硬直させた私を見て、佐助が笑う。
「ってばホント、こう言う事に極端に照れるよねぇ。」
「うううう、うるさいわね。慣れてないんだから仕方ないでしょ!」
ああ、また可愛くない事口走りやがったよ、私。
やっとこう、少しは素直に、彼カノらしく、とか思ってたのに。
なんて考えていると、佐助は笑ったままで私の手を握る力を少し強くした。
「アンタの反応いちいち可愛過ぎだわ。」
「・・・・・・・・・・・・はい!!??」
今のどこが!?
寧ろ何かツンケンしてて嫌な女っぽい感じで。
もしや、佐助、あの、俗に言うツンデレ好き!!??
「これでもアンタとは子供のころから一緒だからさ、
素気ねぇ態度でもどんな事考えてるか大体分かっちまう訳だ。」
「え?」
「アンタの家族・・・兄貴ってポジション、複雑な部分も多いけど、
こういうとこは、ま、感謝すべきなんだろうねぇ。」
ゆっくりゆっくり歩きつつ、佐助が言った。
そんなにしみじみ言われると、私はどんな顔をしていいのか分らない。
赤くなった顔を見られたくなくて、わざと視線をアイツから逸らして、
握られた手に私からも力を込めてみる。
「。」
「・・・・え?」
ピタリ。
唐突に佐助が歩くのを止める。
名前を呼ばれて顔を上げると、ヤツが何かを言いかけた、その時。
「あ。」
ぽつり。
ぽつり。
ザアアーーーー。
「雨だ!」
「げげっ、マジかよ!?、確かこっちに雨宿り出来る場所がある、行こうぜ。」
「了解!」
突然に降り出した雨。
私と佐助は慌てて走り出す。
こんなこと考えるのも恥ずかしいんだけど。
何だろ、こんなのも、有りかな、何て、正直思いつつ、
私は佐助が言う雨宿り出来る場所まで走った。
手を繋いだままで。
(続く)
--------アトガキ---------
続くのかああああ!と、恒例の一人ツッコミ。
えー、お気づきの方もいらっしゃるでしょうか、私、ここ数日、
殆ど佐助しか書いてません(笑)
しかもパラトリに続きメチャクチャ久々の謳歌部屋更新。
ここまでのお付き合い、誠に有難うございました。ではでは、失礼致します。
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