私が元居た現実世界で今の状況だったらば、絶対こんな事思わない。
思わないけど、今ここに居る世界だからこそ思ってしまう。
こいつ等、気の毒に。
「おい、姉ちゃん!!さっきから人が声かけてやってんのにシカトぶっこいてんじゃねぇよ!!」
と、どう見ても悪役を絵に書いたみたいなイマドキ高校生、その1が私に怒鳴った。
説明すると状況はこう。
私は今帰宅途中で、ついでにまつ義姉さんに頼まれた夕飯の買い物を済ませた後。
いつもよりちょっと遅くなりそうだったんで、近道に選んだのがこのわき道。
そこにこのその1を筆頭にしたチンピラもどきのイマドキ男子高校生がナンパに現れたのだ。
よくもこんな明らかに買い物したての、
スーパーの袋を持った人間に声かける気になったもんだと思うけど。
「優しい俺たちが、その重そうな袋持ってやるって言ってるだろぉ?」
「すげぇ、お前、格好いい!!」
ギャハハハハ・・・
その2、その3が声を合わせてゲタゲタ笑った。
今の会話のどこに笑い所が含まれてたのかかなり謎だ。
思わずハァーっと深い溜息を吐くと、その4が太い手を伸ばして私から買い物袋を奪おうとしてきた。
さすがに、ムカつく。
「ちょっと、手、離しなさいよ。って言うか、私に構わない方がいいと思うけど。」
「何々!?もしかして怖がってる?大丈夫だって、そんなに怖がらなくても俺たち優しいからさ〜。」
私の手にある買い物袋をグイグイと引っ張りながら、図体のデカイその4が笑う。
周りの奴らもまたゲタゲタと嫌な笑いを辺りに響かせた。
更に声を上げようと私が口を開きかけたその時。
ドドドドドドドドド・・・・
地面はコンクリのはずなのに、その地響きと一緒に遥か向こうから土煙みたいなものが上がってるのが見えた。
爆走。
まさにそんな言葉が似合うその走り。
間違いない、幸村だ。
「貴様らぁぁぁぁっっ!!!!!!!!!!!!!!!」
「「「「「!!!???」」」」」
後ろに結んだ長髪と、紅いハチマキ、そして私服の真っ赤な姿。
一瞬、赤い竜巻が転がり込んだのかと思ってしまう位、凄い勢いで幸村は突撃して来た。
呆気に取られるチンピラ高校生。
幸村はそれに構わず私の買い物袋を掴むその4の太い手をバチコーンっと叩き落とした。
「いでぇぇっ!!!!」
「そなた達!!!薄汚い手でこの幸村が妹、に手を出す事、許さぬぞ!!!」
「ああ!?何だ!?コイツ!?」
ザッ
不良高校生が私と幸村を取り囲み、見事お約束な構図完成。
だけど、ええ、私は知ってる、これだけじゃ絶対終わらないって事を。
つまり、まだ役者は揃っちゃいないってことだ。
「バーカ、お前1人どうってことねーんだよ。頭の悪そうな格好しやがって。」
その1が言うと、またしても奴らが例の笑い方を始める。
私は幸村が戦国世界じゃなくても強いのはもうとっくに良く知っていた。
「そなた達程度の輩、この幸村1人でも充分でござる。」
「ケッ、格好つけやがって!!!!」
言った1人(その3)が拳を振り上げた。
その瞬間、
ガッコン。
バシャァァッ・・・
と言う妙な音がして、気付けば拳を振り上げてたその3は、
頭ッからポリバケツ、ゴミ入り、を引っかぶっていた。
呆然とするチンピラ高校生たち。
幸村は特に驚いた感じもなくて、勿論私もそれが誰の仕業なのかすぐに分かった。
シュッ
「兄弟のピンチには加勢しなくちゃねぇ、だろ?旦那。」
「おお、佐助、やはりそなたであったか。」
「てか佐助、あのバケツ・・・・・・・・・・・・・・。」
言いながら、私はポリバケツをプリン型みたいにかぶってるその3の方を指差す。
気の毒に、あんまりのもビビッたらしく生ゴミまみれになったまま固まっていた。
「ん?ああ、その辺にあったのをちと拝借。でもやっぱ、後でちゃんと掃除しなきゃ駄目かな。」
余裕で笑う佐助。
その様子にチンピラ高校生達の頭に益々血が昇ったようだった。
ま、それはある意味道理じゃあるだろう。
「舐めた真似しやがって!!」
確かに。
なんて納得していると、何故か小道の脇にある廃屋みたいな建物から、更に数人が出てきた。
揃いも揃って悪役面した感じの。
思うに、多分あの廃屋っぽいのってこいつ等の溜まり場なんじゃないだろうか。
幸村が片手で私を自分の背中よりもう少し奥に軽く押しやる。
「、そなたは某の後ろへさがっているでござる。」
「そうそう、可愛い妹に怪我なんてさせらんないよねぇ。」
キリリとした幸村の声に、緊張感の欠片もない佐助の声。
だけど、その目は2人とも同じ位真剣だ。
頼もしい、素直に、そう思う。
「お兄様方、夕飯の準備がかかってますワヨ。」
言った私に佐助が苦笑する。
幸村はしっかりと頷いた。
相手の数はもう二桁になっていた。
卑怯な奴らだけど、私には分かってる、こいつ等には150%勝率なしってこと。
気の毒っていうか、馬鹿って言うか。
「HA!喧嘩かぁ?いいね、いいねぇ。俺も加わらせてもらうとするか。」
「田舎もんどもが雁首揃えて人の庭荒らしてんじゃねぇぞ?アアン?!」
その声に、私は思わず笑ってしまった。
予想通り。
って言うか、予言通りと言っていいかもしれない。
絶対来るの分かってたし。
2人が現れて、チンピラどもがざわめき出す。
「たった4人で俺たちを相手にしようって言うのかぁ?
怪我したくなかったら、さっさと失せろ!!!」
後から来たリーダー格らしい背の高い香水プンプン男が吼えた。
佐助がハァーーとわざとらしく深い溜息を吐く。
「なーんて言っちゃってるけど?旦那方。怖いもの知らずだよねぇ。」
「Ah-ha・・・面白ぇちーとお仕置きをしてやんねぇとなぁ。俺のに手を出そうとした罪もあることだ。」
「おい、誰がおめぇの女だと!?・・・・ケッ・・・胸糞わりぃ、さっさとこの田舎もんども叩いちまうぞ!」
「伊達政宗、長曽我部殿、助太刀、感謝致す!!!!!!」
どこか噛み合ってない4人の会話。
けどそれが逆に仲良さそうに見えるんだから不思議だ。
それに、こんな大人数の悪役顔に囲まれてるのに、私はちっとも怖くなかった。
役者が揃っったよ、マジで。
「独眼竜政宗、推して参る!」
「うぉりゃぁぁぁ!!!!!撃破撃破ぁぁ!!!」
ゲームの台詞そのままに、突っ込んでいく4人。
もう誰にも、彼らを止められない。
夕飯に間に合うのかは君達にかかってるわよ、諸君!
だけど勝敗の行方なんか、とっくの昔に分かってんだけど。
(ヒーローは遅れてやって来る-喧嘩の花道へ続く-)
----アトガキ-----
タイトル長い・・・・・・・、でも今回の文章は短かった(笑)
ヒロインを取り合っている風な彼らですが、実はこういう時は仲良し(?)です。
次は喧嘩シーン・・・なはずですが、
行き当たりばったりなのでどうなるのか自分でも分かりません・・・。
えーーと、本当は濃姫出す話を書くはずだったような???
では、ここまでのお付き合い、誠に有り難うございます。失礼します。
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