「HA!吼えた割りにゃ、弱過ぎるんじゃねぇか?もろいものよ、この程度のやつ等。」

ゲシっと片足でチンピラ2人に蹴りをお見舞いしてやりながら、
さもつまらなさそうに政宗が溜息を吐いた。

「ちぃっ・・・口先だけでこの俺に向かって来やがんじゃねぇっ!」

姫親の拳が海坊主な他校生の顔にめり込む。
その隣で佐助が相手が振り回す拳を余裕でヒョイヒョイ避けていた。

「ったく、数だけは多いんだから、参るよねぇ。もうここはさ、あんたら尻尾巻いて逃げた方がよくない?」
「うぉりゃぁぁ!!!退け退けぇぇ!!!」

私のすぐ側ではとにかく奴らを張り倒している幸村。
まさに大乱闘なシーンが繰り広げられてる訳だけど、一体コイツら何処から湧いてくるんだか、
さっきから一向に数が減ってない気がする。
ゲームで拠点から湧き出てくる雑兵みたいに。

「くそ!化け物か!?こいつらは!?」

相手側の香水プンプンリーダーがさすがにうろたえ始める。
その側に居たひょろっと背の高いキツネ目が姫親を指差して言った。

「なぁ、あいつ、あの銀髪、長曽我部組の組長の息子じゃねぇか!?鬼とか言われてる!」
「何だと!?

一気に顔色が変わる香水男。
会話を耳にしてた私が、これでコイツ等引き上げるな、と思ったその時、
ソイツが大声で叫んだ。

「鬼が何だ!?おい!!もっと仲間連れて来い!!こいつらぶっ潰せ!!!!」

それを聞いた途端、私はこのチンピラ達を救いようのない大馬鹿だと思った。
大体、今でさえ凄い人数なのに、それでも4人は余裕綽々状態だし、
例えこれ以上人数が増えたとしても意味があるとは思えない。
って言うか、寧ろ他校生側の被害が増えるだけだ。

「どんだけでも呼べよ、相手になってやるぜ?」

クック、と、喉を鳴らして笑う政宗。
そうしながらも、後ろから殴りかかって来たチンピラに回し蹴りを炸裂させている。

「伊達の旦那、遊ばないでよ。うちの飯がかかってんだぜ、これ以上増えたら面倒くさいでしょうが。」
「佐助の言う通りでござる!!ここは早々にケリをつけるが賢明!!」

4人まとめてブロック塀の方へぶっ飛ばしながら、幸村が頷いた。

「おい、生徒会長よぉ、が居んのを忘れるんじゃねぇぞ!!
こんなとこに長時間こいつを置いとく気か!?あ"!?」
「おっと、そりゃいけねぇな。雑魚共が増える前に、そろそろFinaleと行くか!?」

その会話が終わるとすぐ、4人はさっきより更に凄い勢いで他校生たちを片付け始めた。
私の周りでうげっ、とか、ぐはっ、とか、やつ等の叫び声が聞こえる。
鮮やか過ぎるBASARAキャラの手並みに感心していると、突然、グイと誰かに腕を掴れた。

「なっ!?」
「テメェ、こっちに来い!!」

振り向くより先に、強烈な香水の匂いが鼻をつく。
アイツだ、リーダー格の香水男。

「放してよ!!」

私の叫ぶ声で、他のやつ等を相手にしていた4人がハッとしてこっちを見た。

「「「「!!!」」」」
「へへへっ、形勢逆転だな。」



--パリーンッ・・・


「!?」

香水男は私を掴んでいるのとは反対の手に持っていたらしいビール瓶を、ブロック塀に叩きつけて割った。
そして、割れてギザギザと鋭くなった瓶の部分を私の喉元まで近づける。

「HEY!何する気だ!?」
「黙れ!!大人しくしろ!!でなきゃコイツの可愛い顔に傷がつくぞ!!」

お決まり、お約束、低レベルな台詞を怒鳴る香水チンピラ男。
だけど、さすがに、私も怖くなってきた。
喉元スレスレの瓶。
知らず知らずに手が震えて、買い物袋が下に落ちた。

「卑劣な!!を放して堂々と勝負するでござる!!!!」

言った幸村が、私の側に駆け寄ろうと1歩踏み出した、その時。

「動くなと言ってるだろ!!」
「・・・!?っつぅ・・・!!」

私の喉元に、ピリリと痺れる痛みが走る。
佐助がシュッと幸村の前に出て彼の体を軽く手で押さえた。

「旦那、今は動かない方がいい。」
「クッ・・・!!」
「Shit!あの下衆野郎・・・お仕置き所じゃ済まさねぇ。」
「・・・田舎もんが・・・ざけんじゃねぇぞ。」

私の腕を掴んだまま、香水男が動きが止まった4人を満足そうに眺める。

「よし、よし。へへへ、おい、コイツら4人まとめて袋にしてやれ!!」

奴が大声で言った。
周りに居る数十人のチンピラ他校生はニヤニヤしながら4人を取り囲む。
万事休す、ってやつだ。
しかも、やっぱりお決まり過ぎる状況で。

「やっちまえ!!!!!」

リーダーの一声で、やつ等が一斉に4人に襲いかかろうとした、その瞬間。


シュコォォ・・・・・ウィーーン・・・・


と、言う、ある意味、聞きなれた機会音が、した。
私は急いで目を音のした方へ向ける。
凄い速さで、でも絶対『走ってる』訳じゃない、大きな大きな影。

「忠勝!!!」

そう、それはBASARA最強キャラ本田忠勝だった。
この世界では我が家のボディガードの。

「何だ!?アイツは!!??」
「ギャアーー!!ばっ・・・化け物だぁぁ!!」
「馬鹿!!逃げるな!!おい!!」

凄い威力。
と言うか、忠勝自身はまだ何もしちゃいないんだけど。
彼が現れた時点でそこいらにいたチンピラたちはビビりまくって、そのまま散り散りに逃げて行った。
で、結果的に私の腕を掴んでいた香水男、コイツも慌てて瓶をコンクリに落として、駆け出そうとした。
んだけど、それを佐助が先回りして阻止した。

「はいはい、あんたはこのまま逃がさないぜ。恨むなら、自分自身の軽率さを恨むんだな。」
「That’s right!この野郎だけはただじゃ済ませねぇぜ。覚悟しな。」
「我が妹に手出ししたこと、その身で後悔するでござる!!!」
「粋がって俺を馬鹿にしやがって、挙句に手ェ出すなんざ有りえねぇ!」

結局奴は呆気なく捕まり、4人がどこかへ連行していく。
その後はまぁ想像はつくけど、自業自得とゆうことだし、私は構わず忠勝の側まで行った。

「あの、忠勝!」
「・・・!!」
「有り難う、通りすがりでも凄く助かった。もしかして家康に何か用事頼まれた帰りとか?」
「!!!!」
「・・・・・・・・・・・えーーっと、うん、とにかく有り難うゴザイマシタ。」


駄目だ、解読不可能だわ、忠勝語。
とにかくお礼言えただけでもいいかな・・・。


家康か、後は島津の爺ちゃんでなきゃ忠勝の言葉は分からない。
最初はただただ彼にビビッていた私だけど、
最近とりあえず「いい人」(??)である事だけは確認出来た。
忠勝は、またシュコォォと、人類にあるまじき音を残してそのままそこから移動を開始(歩いてないし。)した。
で、私は4人が戻ってくるまで待ってたんだけど、そこでさっき落とした買い物袋に気付く。

「げ、卵割れてるし・・・。どうしよう、早く帰らないとまつ義姉に悪いしな・・・。」

独り言をぶつくさ言っていると、後ろからポンと肩を叩かれた。
振り向いてみると、佐助と他の3人が立っている。
どうやら今の短時間で『こと』を済ませたらしかった。
香水男、安らかに眠れ。

、大丈夫だった?怖い思いさせちまって悪かったね。」
、この幸村がついていながらそなたを危険な目に!!すまぬ!!!」
「ううん、元はといえば私がこの道選んだせいだしね。皆こそ、迷惑かけてごめん。」
「おめぇが気にすることじゃねぇ、それより早く帰るぞ、ここは胸糞わりぃ。」
「YES.今の騒ぎでまた何かあったら面倒だからな。・・・。」

そう言って、不意に政宗が私の所に近付いてきた。
そして、正面からジッと私の首筋付近を見つめる。

「な・・・何よ?」

毎回毎回、その端整すぎる顔でジロジロ見るの、止めて欲しいんだけど。
妙に意識するから。
それにフェロモンに中てられそうになる。

「これ、あの野郎にやられた傷じゃねぇのか?血が出てるぜ。」
「え?ああ、あのビール瓶で・・・。けど大したことないし、舐めとけば治るわよ。」
「HA!そんな場所を?どうやって?」
「・・・・・・・物の例えでしょ、ものの。それ位どうってことないっていう。」
「OK.honey.いいこと思いついたぜ、ちぃとこっちに来いや。」

こっちに来い、とか言いつつ、既に政宗は私の腕を掴んでいた。
BASARAキャラ達っていつもこうだ。
なんて、ことを考えていると、不意に政宗の奴が私の方に屈みこんできた。
そして。


ベロリ。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」


一瞬、何をされたのか分からなかった。
喉元を、政宗の舌が通過した、なんて。
って言うか、舐めた、なんて、そんなこと。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・★○×△◆☆●〜!!!!???」

奴の側から飛びのいて、喉を押さえて声にならない声を上げる私。
多分、顔は恐ろしい勢いで真っ赤だ。
政宗は満足そうにそんな私の顔を眺めてやがるし。


意味分からないから!!何コイツ何コイツ何コイツ!!??


恥ずかしさと怒りで顔を真っ赤にして怒鳴ってやろうと私が口を開きかけた、その時。


--ピシッ。


突然、空気が割れる音がした。
そのすぐ後に、緑やら赤やら黒やらの入り混じった妙なオーラが周りを包んだ。
更に、ズゴゴゴゴと言う重低な効果音まで出てくる始末。
政宗の奴の行動よりも、そっちが気になって振り向くと、そのオーラの根源は側に居た3人だった。

「独眼竜・・・いい度胸じゃねぇか?あ"!?この俺を前にしてにふざけた真似しやがって!!」
「伊達の旦那、さすがにそれは見逃せないねぇ。悪いけど、相手になってもらうわ。」
「伊達政宗えぇっ!!!!!!我が妹に対する破廉恥なその行為!!許さぬ!!許さぬでござるぅぅ!!!!!」


案の定、鬼気迫る表情の3人が口々に叫んだ。
因みに、当の政宗本人の反応は。

「上等、3人まとめてかかってきな!」


カーン!


と言う、戦いのゴングがどこかで鳴った気がする。


何なんだろう、この4人。
ホント、仲いいんだか、悪いんだか・・・。


なんて考えつつ、私は深くて大きな溜息を吐く。


まつ義姉には、絶対コイツらのせいだったって説明してやる、そうしてやる。


4人の喧嘩は、これから益々ヒートアップする模様。


(喧嘩の花道-終わり-)



----アトガキ-----
思った以上に長くなりました。しかも政宗美味しいとこどり!?(苦笑)
忠勝は登場させてもまともに台詞なしだった・・・。でも書いていて楽しかった。
ではでは、今回もここまでのお付き合い、誠に有り難うございました。失礼します。


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