佐助の奴から破廉恥極まりない痴漢行為的超セクシャルハラスメントを受けたのは、
ついこないだのことだ。
風邪引いてる人間に抱きつかれたんだから、もしかしてうつってしまうんじゃないかと思ったけど、
結局体はぴんぴんしてて特に何の異常もなく、私は今、学校の屋上に居る。
本日は晴天なり。
気持ちがいい位のぽかぽかとした陽気に、雲ひとつない青い空。
太陽の光はまだまだ優しくて、これはもう昼寝には絶好過ぎる。
いや、昼寝をしないなら一体この気候は何の為にあるんだと思える位。
いつもの私の特等席に向かうと、珍しく姫親の姿は無かった。
ごろり、と、私はその場に寝転がる。
目に飛び込んできた空は、まさにスカイブルー一色。
機嫌の良さはここ最近で一番!
・・・・だったはずなのに。

「・・・?何か、微妙に寒い・・・気がする・・・?」

私は思わず独り言を呟いた。
そう、何と言うか、不自然過ぎるくらい突然、体全体に寒気が来た。
それとは全く逆に、頭はボヤンと熱があるみたいな感じがし始める。
でもハッキリ体調悪くなったと思える程ひどいものでもない。

「おぅ、。お前が俺より早いとはな。しかも早速昼寝かよ!」
「あ、姫親。」

真っ青な空しか見えなかった私の視界に、ひょいっと姫親が顔を現す。
アイツの銀髪が太陽の光に照らされて、綺麗に輝いて見えた。
私を見下ろしたまま姫親が笑って続ける。

「はっはー!お前に先こされるたぁなぁ?」
「あんたこそ、いい加減にしないとまた留年じゃないの?」
「アアン?ばーか、計算の上でフケてりゃ、ダブったりなんざしねぇんだよ。」
「・・・・妙な頭の使い方・・・。」

呆れた声で言った私の隣に、姫親がドカリ、と、座り込んだ。
私は寝転がったまま、それを視線で追う。

「今日はゲームやんないの?」
「ちぃっ・・・それがよ、ケータイ家に忘れてきちまって、今日はお前と同じで昼寝コー・・・・・・」
「?姫親・・・・・?」

唐突に話を止めて、私の顔をジッと見つめてくる姫親。
何度も、何度も、なんっっっども言うようだけど、止めて欲しい、彼らの、こう言うの。
こっちが意味無く動揺しまくるから、マジで。
で、未だに無言で奴が私をジッと見てるお陰で、私の心臓暴走開始し始めそうな予感。
耐えられなくて口を開こうとしたその途端、姫親のデカイ手が、急に私の方にのびて来た。

「えっ!?ちょっと!?」
「騒ぐんじゃねぇ!おい、、いいからちょっと額触らせろ!」
「はい?突然何を・・・・・・!?」

ひんやり。
と、私の顔全体覆えるんじゃないかと思う位、デカイ姫親の掌が、私の額に触れた。
そして、奴は何故かまたもや不機嫌極まりない顔つきで舌打ちする。
って言うか、元から迫力ある顔つきに更に極道の息子と言う肩書きも加わって、
更に恐ろしさが倍増して見えた。

「姫親・・・?」
「・・・・ったく、馬鹿にしやがって・・・水臭ぇ・・・・。」
「・・・・・え????」

全くもって意味不明。
姫親がいきなり不機嫌モードに入った理由も、勿論今の奴の台詞の意味も。

「あのさ、何怒ってんのか説明して欲しいんだけど。」
「ああ!?まだシラ切るつもりか!?熱があるからここに寝転がってやがったんだろうが!!
俺が気付かねぇとでも思ったのか知らねぇが、水臭ぇ!!」
「・・・熱?え?私・・・・・・っっっ!!!??」

がっ!
ふわり。


またまたまたしても、突然、アイツが私のひざ裏と背中に手を入れてきた、かと思ってたら、
あっという間に私の体は抱き上げられて居た。

一瞬、心停止。
後、フル稼動+鼓動爆走・爆音機能装備。


「ちょっっ・・・!!まっ・・・なな何!?マジで何なの急に!?おろして!!」
「煩ぇ!!病人がぎゃあぎゃあ騒ぐんじゃねぇ!!」


何コレ!?何コレ!?何コレ何コレ何コレ!?何この状況!!!???
これって、これってまさか!!!


俗に言う、お姫様ダッコ。
今、まさに私は姫親にそれをされている状態だ。
何かもう、説明する事さえ恥ずかし過ぎるんだけど。
私は取り合えず必死に手足をバタバタさせつつ大声を上げた。

「おろせ!!おろしてよ!!熱なんか平気だし!てか普通に歩けるわよ!!!」

「ちぃっ・・・!!おい!!いい加減大人しくしやがれ!!
今すぐ動き止めねぇってんなら、犯っちまうぞ!!!!」

「!!!!!」

ピタリ!


凄みがある上に、真実味がありそうな奴の台詞に思わず動作即効停止の私。
何だってこう破廉恥台詞ばっかり吐きたがるんだろう、コイツら。
奴がフンと鼻を鳴らした。

「ったく、人の耳元でデカイ声張り上げやがってよぉ。病人なら病人らしく、大人しくしてろや。」
「・・・・・・・・って言うか、熱があるなんて思わなかったから・・・。
ちょっと寒気がするとか、何か頭がぼんやりしてるとは思ったけど。」
「アアン?そりゃ立派に風邪だろうが!、、 ・・・とにかくこのまま保健室まで直行するからな。」


「え!?ちょっと待っ・・・ギャァァァ・・・・!!!!!」


バァン!!
と、屋上の扉を勢いに任せて蹴破った姫親が、
私を腕に抱いて階段を恐ろしいスピードで駆け下り始める。
だから、何だってこう爆走シーン繰り広げたがるんだろう、コイツら。
更に言えば、何だってこうその爆走に私を組み込みたがるんだろう、コイツら。
マジで激しく迷惑。
だけど、今回はそうとも言い切れないかもしれない。
結局、姫親は私の体を心配してくれたってことだろう。
ちょっと、行動的には大きく問題あり感は否めないけど。



「おぅ!明智!!急患だぞ!!!」


ズパコーーーンッ


保健室前に到着した途端、片足で勢いよくドアを開いた姫親。
って言うか、勢い余り過ぎてドアが跳ね返ってまた閉まろうとしてるし。
奴はそれに気付いて片足でまたドアを固定するようにして開ける。
中をキョロキョロ見渡しながら、アイツは保健室の中へ入った。

「ちぃっ・・・明智の野郎、居やがらねぇ。職場放棄か?」

ぶつくさ文句を垂れながら、姫親は私をベッドのある場所まで連れて行き、
そこでやっと私を下ろしてくれた。

「あ・・・えーと、有難う・・・ここまで連れて来てくれて・・・。」
「何だぁ?えらくしおらしいじゃねぇか。あれだけ喚といてよぉ。」
「喚くって・・・あんたね!・・・でもまぁ、今回は、ね。」
「まぁいい、そこで大人しくしてろや。薬探して来てやっから。」

言いながら、姫親はガラス戸棚の前まで行って、足を止める。
それから一人であれでもないこれでもないと手に取ってみてはまた戻していた。

「ああ、これか。何だよ、もっと分かり易い所に置いときやがれよ。」

やっと風邪薬を見つけたらしく、今度は何処からかコップを探り当てて、
それに水を入れて持って来てくれた。

「おらよ。」
「あ、ゴメン・・・・・ってこれ粉末!?」

アイツから水と一緒に手渡された薬は胃腸薬系の粉末薬だった。
しかも、以前に飲まされたとてつもなく激マズい上に、
何度歯を磨いても1日中口に味が残っていた経験のある薬。

「ほ・・・他に無い訳?普通の錠剤のヤツ。」
「アアン?錠剤は今きれてるみてぇだぞ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」

私は無言で手にある薬とコップを見比べた。
考える事数十秒。

「元親、私、何か結構イケるっぽい。うん、もう大丈夫だから。元気ハツラツ!」

私は傍にある机に薬とコップを置いて、自分から遠い所まで押しやった。
実は結構イケるっぽいどころか、頭がさっきよりぼんやりしてるし、
おまけに寒気も今度はハッキリ感じてる。

「はっはー!下手な嘘つくんじゃねぇ!
、お前が何気に俺の名前まともに呼んでるとこからして怪しいんだよ!
いいから飲め!!熱だけでも下げろ!!」

突然、片手にコップを持った姫親が、空いている方の片手でベッドに居る私を押さえ込もうとする。

「ちょっ・・・何すんのよ・・!こんのドメスティックバイオレス男・・・!」

私は抵抗しようとしたんだけど、手にも足にも力が入らず、振り上げたはずの手は、
そのまま目の前の奴の方に力なくヘチャっと置かれたみたいになった。
視界までぼんやりしてきた様な気がする。
急に抵抗もせずに大人しくなった私に、姫親はいつもの舌打ちをしてから私の額に手をやった。

「さっきより熱くなってやがるじゃねぇか!・・・ああ・・・クソ!
・・・・・・・・どうしても飲めねぇってんなら俺が飲ませてやる!!」
「・・・・・・・・・え???」

奴の言っている意味が理解出来ず、思わず聞き返した私。
と、姫親は、思いもよらなさ過ぎる行動に出た。
わたしに押し付けようとしたしたコップの水を、自分が口に含んで、
その上あの激マズ粉末状の薬の封を開けて、それもまた自分の口に運んだ。
意味不明過ぎる行動。
だけど、そこまで来て私はようやくコイツがやろうとしてる事を理解した。

「姫親・・・!お、落ち着きなって!!!そんな薬何もくっ・・・口移しなんて・・・!!
ばかな!?あり得ねぇ!!!でしょうが!!・・・・・・・ちょ・・・・っ・・・」

有無を言わさぬ姫親の手の力。
それでなくともこっちは体が言う事を聞かない。
力もいつもの半分も出ない状態だ。
姫親が圧倒的有利な、と言うより、超絶的有利な状態。
ベッドの隅に追いやられて、背中を壁に思い切り押し付けて逃げてみたけど、
そんなの数秒の時間潰しにしかならなかった。

「姫・・・・・・・・・・・・っ・・・・・・!」

既に至近距離にある奴の顔。
絶・体・絶・命と言うヤツだ。
私の心臓はとっくに唇から飛び出して、その辺で転げ回っているに違いない。
後数ミリ、姫親が私に近付いたら、必然的に重なり合うだろう、唇。

瞬間。

「ザビザビザビザビザビザビザ〜♪」

「ブーーーーーッ!!!!」

突然聞こえたザビーソング(??)に、姫親が思い切りふき出す。
間一髪、私はそれを避ける事に成功した。
自分の反射神経のスゴさに深く感謝しながら、姫親の前からもぞもぞ抜け出す。
因みに噴き出した姫親は、むせて咳き込んで居た。

「ガハッ・・・ゲッボゲホッゲホッ・・・!!なんだぁ・・・!?」

「オオーー!!青少年イケマセンネー!不純異性交遊ハ、駄目ナノデース!!
愛トハ、欲情ヲ抑エテこそナノデース!!!それこそガ真実の愛ナノデース!!!
愛ヲしりナサーイ!!
ヨイデハナイカ、ヨイデハナイカは愛ではナイノデスネー!!!!!!!」

スパコーンっと、保健室のドアが開いたと思ったら、その途端にザビーが登場。
更にほぼマシンガン状態で何やら愛について語り始めた。
もう今更言うのもなんだけど、やっぱり手には怪しい布教パンフと桃尻天使人形がある。
姫親の奴は未だに苦しそうに咳き込んでいた。
何はともあれ、今回も、グッジョブ!ザビー!!!としか、私には言いようが無い。
彼には生徒会室で政宗の魔の手から救って貰ったと言う恩もある。
今度あの桃尻天使キーホルダーに家の鍵でもつけようかな、と、思ったけど、
ザビーの手にあるリアルな顔の天使を見て、やっぱり止めることにした。

この後すぐに保健医明智光秀が戻ってきて、姫親は教室に強制送還。
私は無事錠剤の薬を飲んで、アイツの噴き出した水で濡れていない他のベッドで眠る事になった。


ドSフェロモン大王政宗。
痴漢の代名詞、エロ忍者佐助。

それに加えて強引破廉恥風雲児姫親。


今更ながらこの世界、日常に危険人物が多すぎる。



(危険人物3人目-終わり-)



----アトガキ-----
佐助の風邪がうつったお陰で元親役得か?(笑)
しかしうつった原因と状況が知れ渡った時点で佐助は幸村だけでなく、
政宗や元親にも追い掛け回されるでしょう。
次回は拍手から頂いた『長曽我部組お宅訪問』をやってみようかと思っています。
考えてみたら設定極道の息子なのに、それらしいことしてませんもんね(苦笑)
ではでは、失礼致します。


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