「鬼の棲み家へようこそ、歓迎しよう。」
聞いたことがあり過ぎる台詞と一緒に、その一日は始まった。
名付けて、『極道屋敷訪問ツアー』
って、名付けてみると明らかにヤバそうな感じが否めない。
まぁ、そうは言っても姫親の家だから、大丈夫だとは思うけど。
しかもどうやらこっちの世界の私は昔は何度も遊びに来てたらしいし。
因みに、今私達は長曽我部組のお屋敷の門前。
これからその中に突入しようと言うところだ。
「・・・って言うか、門構えからして凄いよね・・・。」
妙に感心しながら見上げる門。
何の臆面もなく長曽我部組って、墨で太々と書いてあるし。
何か見たことあるなと、思ったら、時代劇で見る武家屋敷に造りが似てる。
とにかく、180℃純和風。
それはうちも言えた事じゃないけど。
「けどさ、ここって手入れとか入った事一回もないよねぇ。
さすがは姫親の旦那の親父さん、抜け目ないわ。」
「HA!HA!単に裏でpoliceと繋がってるだけだったりしてな?」
「ぬっ!?それは見逃せないでござるな。」
私のすぐ傍に居た3人は好き勝手に色々言っている。
って言うか、気付けばいつもコイツらと一緒に居る気がするんだけど。
「おい!オメェら!文句があるんだったらついて来なくていいんだぜ!?
元々俺はしか招いちゃいねぇんだからなぁ!」
ギラリ。
と言う形容詞がピッタリの睨み方をして、姫親が3人に目線を向ける。
背景に純和風の門に、組の看板入ってるからか、何故か妙にその姿がマッチしていた。
「あらら、あんな事言っちゃってるよ、旦那方。」
「Ah-ha・・・ちーとお仕置きが必要かもしれねぇな・・・。」
「いや、こんな所で揉め事を起こしては、某たちの方が怪しまれてしまうでござる。」
さっきから何が気に食わないのか、文句垂れ流しっぱなしの3人。
って言うか、その割にはノリノリで今回のツアー(?)に参加した気がする。
今更ながら、コイツらの心理は理解不能だ。
「ここで立ち話してても仕方ないし、そろそろ入りたいんだけど。」
「おう、、ついて来い。他の野郎共は勝手にやってろ。」
言いながら、姫親がグイと、軽く私の腕を掴んで引っ張った。
「HEY!気軽にに触んじゃねぇよ。I will end you.」(殺るぞ)
「はいはい、伊達の旦那、とか言ってどさくさに紛れてうちのの腰に腕回すなって。」
・・・・何、コイツら。
突然、ヤクザ屋さんの門前で、微妙に三すくみが繰広げられる。
右に姫親、左に政宗、正面に佐助。
話が進まないだけじゃなく、迷惑、非常に。
「幸村兄、私、あんたと行く。」
溜息を吐きつつ、視線を傍に居る幸村に向けて言った。
「おお!承知致した!この兄がそなたを魔の手から護る!」
力強く返事をした幸村が、3人を押しのけるようにしてズイっと前に出る。
政宗は一瞬眉間にしわを寄せたけど、珍しく一歩退いた。
「・・・魔の手ねぇ?・・・HA!ま、いいだろう、今回はあんたに譲ってやろうじゃねぇか。」
「そうだな、・・・俺も他の旦那方に比べれば十分信頼できるわ。」
「アアン?・・・・ちぃっ、無駄に時間使っちまったな、おい、行くぞ。」
佐助も姫親も、何だかんだ言いつつ納得したらしい。
やっと本当に門の中に入ることになった。
「「「「「「「「「「「お帰りなさいやせ!!!若!!!!」」」」」」」」」」」」
ズラリ。
門の内側に道を開けて立っているその筋の方々。
しかも結構な人数だ。
「おう!野郎共、ご苦労だな!今帰ったぞ。」
慣れた様子で返事をする姫親。
出迎えのその数とスゴさに、私は思わず小さく、ひぇー、と口に出した。
幸村の隣を歩いていた政宗が私に視線を向ける。
「What's ?」
「いや・・・、思った以上だな・・・と思って。」
「I think this is pretty normal.ま、うちの連中はここまで柄悪かねぇけどな。」
(この位普通だろ。)
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
こんなの絶対普通じゃないから!!!
全く驚いた様子のない政宗に、私は心の中で激しくツッコミをいれた。
「いや〜、さすがに庶民とは違うねぇ。
うちも家族は多いけど、さすがにこんな光景は見られねぇもんな。」
「お館様をお出迎えする時はこれ位せねばならぬのだろうか?」
「いやいや、旦那、それは無理でしょ。」
苦笑する佐助に、それでもまだ考え込んでいる幸村。
あのBASARAな家族がずらりと並んで出迎えなんて、
それはそれである意味面白いかもしれない。
「おお!さんじゃないですか、久し振りですねー。いやー綺麗になって。
さすがうちの若の見初めた女性。姐さんと呼ばれる日も遠くないかもしれませんなー。」
「・・・・・・・・え!?」
突然、出迎え組みの中の一人、横も縦もデカイ海坊主みたいな男の人が、私にそう声を掛けて来た。
小さい頃はよくここに出入りしてた(っていう設定)らしいから、
その時から知ってる人なんだろうけど、見るからに極道オーラを醸し出している。
いやいやいやいや、って言うか・・・それより・・・今何て・・・???
あ、姐さん!!!?????
「おい!おめぇ!に余計な事抜かしやがるんじゃねぇぞ!」
「おっと!若。へへへ、すいやせん。んじゃ、さん、皆さん、ごゆっくり。」
呆然としていた私の傍に、姫親が現れてそう言うと、海坊主なその人は、
慌てたようにして奥に入って行った。
「・・・・姫親・・・今のって?????」
「アアン?気にすんじゃねぇ、野郎の戯言だ。」
「??分かった。」
?マークを浮かべつつ、私は頷く。
ハッキリ言って、本当に意味が分からなかったんだけど。
「・・・・・・・・・あっさり返事しやがって・・・。少しは気にしろや・・・・。」
ボソリ。
独り言位の大きさで私の背中で聞こえた、姫親の声。
「え?」
振り返ろうとしたその瞬間、私の目の前が赤い物で覆われた。
幸村の、背中だ。
「長曽我部殿!!それ以上は我が妹に近付く事、ご遠慮下され!!!」
「Good!いいTimingだ。今のは褒めとくぜ、幸村。」
「ったく、姫親の旦那は油断も隙もねぇな。
自宅だからってうちの可愛い妹に手ぇださないでくんない?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
だから、何なの?コイツら・・・。
私を背にして護るような格好の幸村の赤い背中を見つめつつ、私は呆れた溜息を吐く。
因みに、矢面の姫親は、いつもの様に大きく舌打ちをしてから不機嫌そうに顔を顰めている。
「オメェら!招かれてもいねぇ癖に好き勝手抜かすんじゃねぇ!!
客人でもねぇのにデカイ面下げやがってよぉ!」
「俺のPrincessを勝手に連れ去ろうとしたお行儀の悪い坊ちゃまが居てなぁ?
そろそろケリつけてぇと思ってたとこだ。」
「やーれやれっと。はい、そこ、またどさくさに紛れてを自分の物みたいに言うの、止めろよな。」
「そうでござる!!はこの幸村の大事な妹!!貴様らなどにくれてはやらぬ!!」
またこのパターン。
いつでもどこでも、ホンット、見境ない奴らだ。
しかも幸村は、いつもよりヒートアップが激しい気がする。
・・・何でそんなに血気盛んなんだろ?すぐ喧嘩に走りたがるしね・・・。
この短時間で一体何度溜息吐いたか知れないけど、
また私は深い溜息を吐いた。
そして、迷惑極まりないコイツらを止めようと、口を開きかけた、その途端。
「若!!!!!屋敷内に他の組の奴が押し入ってきやした!!!!」
「!!??何だあ!?そりゃ確かか!?」
「へいっ!!!俺の部下が一人、撃たれちまって・・・!」
ちぃっ、と、姫親が眉を顰めて舌打ちをする。
そしてすぐに私達の方に視線を向けた。
「どうやら洒落にならねぇ事態が起こりやがったみてぇだな・・・!
おめぇらは巻き込まれる前にさっさとこっから出て行きやがれ!!いいな!?」
言い残してすぐ、姫親は凄い勢いで奥のほうに消えていった。
呆然とする、私達。
「HA!組同士の抗争か・・・。面白ぇ・・・。」
「伊達殿!今の長曽我部殿の言葉を聞いたでござろう!?
我らが勝手に動いては、逆に長曽我部殿に迷惑を掛ける可能性もある。」
珍しく真剣極まりない表情で幸村が言った。
佐助が軽く頷く。
「そーいうこと、それに、こっちにはが居るんだ。早いとこ出ちまおうぜ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
・・・・・・・・・状況が、飲み込めない。
・・・・・・・・・・・・・・って言うか、寧ろ飲み込みたくないし。
『抗争』って、言葉さえ、私らとは縁遠い過ぎる。
この世界の事は全く詳しくないけど、テレビや映画でよくやる、アレだろうか。
縄張り争いとか、そう言う感じの。
「OH!・・・残念だが・・・、どうやら俺達をそう簡単にhomeにゃ帰してくれそうにねぇぜ?」
「・・・・・え!?・・・・って、な・・・何、あの人達!!??」
ズラリ。
いつの間にか、出入り口の門を塞ぐみたいにして立っている悪人顔の男達。
さっき出迎えてくれた人たちとは違い、明らかに悪意オーラ全開。
佐助が小さく溜息を吐いた。
「冗談キツイねぇ・・・堅気の俺達巻き込もうって訳か・・・。」
「・・・・・、そなたは我々3人の背中に隠れているでござる・・・。」
「・・・・・・・・・うん・・・。」
今回ばかりは私も素直に頷いて、3人の背中に回る。
と、そこで数人が手に銃やナイフ、
とにかくどう見ても武器としか思えない物を持って私達の方に襲い掛かって来た。
ズ・・キュ・・・・・・ン・・・!!!
映画やテレビでしか、聞いたことのない銃声。
それがリアルに大きく鳴り響く。
「え!?ちょっと、嘘!?有り得ないってば!!!」
「HEY!!!!Come on!!」
恐怖で無茶苦茶に混乱する頭。
唐突に、政宗に腕を掴まれた。
「Go!!!ぼさっとすんじゃねぇ!とにかくこっから離れるぜ。」
「えっ・・・!?あっ、分かった!」
私と政宗が向かった先は屋敷内に続く道。
全速力。
今までの人生で1番のマッハを見せながら、私は必死で政宗と一緒に走った。
この世界に来て、大抵の事に驚かない肝っ玉を装備したつもりでいた。
だけど。
ふざけんじゃないわよ!!!この状況!!!
半分、涙目になりながら、私は心底そう叫んでいた。
(極道抗争勃発!!に続く)
----アトガキ-----
いやーかなりお久し振りに政宗を書きました・・・。
そして、話の流れで分かると思いますが、次、政宗メインです。
と言うか、拍手で「元親宅に皆で遊びに行く」と言うお話を頂いた時点では、
こんな話にするつもりは全くなかったんですけどね・・・・。あれ???(苦笑)
補足、幸村は他の3人からは恋愛ライバル対象外とされています。勿論いい意味で(笑)
『シスコン指数の激しいヤツ』位なので、今回微妙に彼に寛大だったのはその為ですね。
ではでは、今回はこれにて失礼させて頂きます。ここまでのお付き合い、有難うございました!
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