「ハァ、ハァ、ハァ・・・何なの・・・これ・・・。何でこんな事になってんのよ・・・。」

マッハ、とにかくマッハの全力疾走後。
政宗と一緒に向かった長曽我部組屋敷内。
だけど、ここ、門から屋敷に入るまでの道のりが並みじゃなかった。
軽く校庭3周分位はあったんじゃないかと思う。
金持ちの家と言うのは無駄に広い。
特に、今みたいな状況にあるとマジでそう思ってしまうってもんだ。

「HA!どうやらここのお行儀の悪いお客さんにゃ、見付からずに済んだみてぇだな。」

ゼーハーゼーハー息切れ切れで肩を上下させている私とは対照的の政宗が、
ニヤリといかにも楽しそうに笑って言った。
訂正。
愉しそうに、だ。

「あんた・・・さ、今の状況・・・分かって・・・んの?」
「I see.どうやら退屈せずに済みそうだぜ。」
「・・・・・・・・・・あんたね・・・・!・・・もう・・いい。」

言うだけ無駄だ。
こんな超ド級のS野郎にはマジで言うだけ無駄。

「OH!HA!いいもんがあるじゃねぇか、さすが元親の親父だぜ。」
「・・・え?いいもん・・・って・・・?」

私達が今居るのは広い、広すぎる屋敷内の中の和室。
何かを見つけたらしい政宗は片目を細めて、
またしても口元に薄い笑みを浮かべながら、ツカツカとその和室の奥に進んだ。

「政宗先輩・・・?」
「Get back! 危ねぇからこっちに来んな。」
「え・・・?」

私が聞き返したその瞬間。
唐突に、政宗が長い脚を思いきり上へ振り上げた。


ヒュッ。
―カ・・・シャーン


「・・・っ何!?」


ムカつく程絵になる踵落しを披露した政宗。
彼の足元には粉々の、多分、さっきまでガラスケースだったらしきもの。
それから。

「クック・・・いいねぇ、こりゃ稀に見る上物だぜ。」

ガラスの破片の中に埋まるみたいにしてあった、日本刀、らしきもの。
それを彼は片足でヒョイッと自分の手元まで蹴り上げる。

「・・・・・・・・・・・・・って、それ・・・ほ、本物・・・!?」

聞きたかない、聞きたかないけど。
でも、思わず聞かずにいられなかった私。
政宗が嬉々とした表情で答える。

「当然だろ?極道の家に玩具の刀なんざ置いてある訳がねぇ。正真正銘、本物の日本刀だ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

いや、いやいやいや!!!!!
待て、待て、ホンット、待ってよ!!!!
そんな事、心から嬉しそうに口にすんじゃないわよ!!!


動揺しまくる私をよそに、政宗は手馴れた様子で刀を鞘から引き抜いた。

「!!!!!」
「いいね、いいねぇ・・・・。ククッ・・・手入れまで行き届いてやがるぜ。」

言いながら、彼は日本刀の刃の部分を自分の顔を映すみたいにして眺めた。
勿論、終止ご満悦顔で。

「ちょ・・・っ!ちょっと待って!!あんたまさか、それ、持ってくつもりじゃないでしょうね!?」
「ああ?持って行くに決まってんだろ?じゃなきゃわざわざガラスケースなんか割るかよ。
それに俺たちゃ極道の抗争に巻き込まれたか弱い一般庶民だぜ?しかも10代の高校生だ。
護身用位持って歩いても、罰は当たらねぇってな?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どこ!!!??
どこよ!!??か弱い一般庶民!!??どこに居るのその人!!!???
私だけならまだしも、
今コイツ、思いっきり複数形使ったし!!!!!間違ってる!!それ凄くMistake!!!!


「ま、ちぃとぐれぇ相手傷つけたとしても、正当防衛だぜ。どうにかなるだろ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」


過剰防衛だから!!!!!!


戦国BASARAの独眼竜から飛び出す言葉は恐ろしくて私には理解できない。
って言うか、寧ろしたくないのかもしれない。
なんて考えている間に、政宗は日本刀を鞘に戻した。
やっと戻してくれた、といった方がいいかもしれない。
でも勿論、手放す気は全くないみたいだけど。

。」
「何よ・・・?」

次は何を言い出す気だ、コイツ。
と、身構えてたら、不意に手を掴まれてグイとアイツの傍に引き寄せられた。

「え!?ちょっと・・・!?」
「安心しな、honey.アンタは何があってもこの俺が護ってやる。俺から離れんじゃねぇぞ。」
「・・・・・・・・・・・あ・・・・、う、うん・・・・・・・。」


何、コイツ。
止めて欲しい、いきなり、こう言うまともに格好イイコトすんの。


不覚にも、どきどきしてしまいながら、私は小さく頷いた。
政宗が満足そうに瞳を細める。
それはいつものドSフェロモン大王の顔じゃなくて、
もっと穏やかで、優しい感じの表情だった。

「おっと、この部屋出る前にもうひとつ頂いて行くか。」
「・・・・・・・・・・・・・・・え?頂くって何を?」

聞き返す私に答えずに、手を繋いだままズンズン歩く政宗。
そして奴は壁にある掛け軸を片手でベラリと捲る。

「・・・何か仕掛けでもあんの?」
「NO!護身用が日本刀だけってのは心許ねぇからな。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

その政宗の台詞を聞いた途端、そこはかとなく、嫌な予感が胸を過ぎった。

「この辺かぁ?OK!これだな・・・。」

言って、奴が掛け軸の下で何やらゴソゴソと手を動かす。
私の位置からは良く見えないけど、ハッキリ言って、見たくもなかった。

「クックック・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・政宗先輩、もう、何を見つけたか、
教えてくれなくていいから。うん、マジで。」

不吉な予感は的中だと、彼の嬉々とした隻眼と笑みが語っている。
因みに、私がそう言ったにも関わらず、奴は『それ』を見せてくれた。
そりゃもう、嬉しそうに。

「さすがに極道は違うぜ、なぁ?。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

拳銃。
彼の手に握られてるそれは、どっからどう見ても、拳銃だった。
これが本物かどうかなんか、聞くまでもない。
モデルガンであってくれれば、どんなに良かったか。

「んじゃ、そろそろ出るか。」
「・・・そうね、武装も済ませたもんね。」
「武装ねぇ・・・?この位大した事ねぇだろ。」


もう、何も言うまい!!!!!!!!!!


アイツは拳銃をポケットにしまい込んで、片手に日本刀、
空いた片手を私と繋いだままでその和室を後にした。

「・・・どうやらこの辺は手薄みてぇだな。・・・早いとこ他の奴らと連絡取るか。
、アンタ、ケータイ持ってきてんだろ?」
「ああ、うん。だよね、佐助達とも逸れちゃったしね。」
「すんならまず元親にメールしろ。他の野郎二人はどうにかやってんだろうぜ。」
「・・・・・・・・・・分かった。」

私は大人しく頷いて、ケータイを取り出した。
確かに、佐助と幸村ならこんな状況でもきっと大丈夫だろう。
って言うか、寧ろこんな状況でこそヤツらのスゴさが発揮されるってもんかもしれない。
隣に居る独眼竜も含めて、だけど。


カコカコと、ボタンを押す小さな音が手元で鳴る。
メールで姫親に事情と居場所を送信した。

「・・・よし、と。・・・政宗先輩?」
「・・・数人こっちに来てやがるな。わざと見付かって遊んでやるってのもいいが・・・・。」
「!?私はイヤよ・・・!?」
「I see.安心しな。不本意だが、ここは隠れるぜ。This way!」(こっちだ)

言って、政宗が繋いだ手をグイと引っ張る。
私は慌ててそれについて行った。
そしてまた、さっきとは別の和室に入り込む。

「・・・ねぇ、政宗先輩・・・。」
「what's?」
「何か、ここの事にやけに詳しくない・・・?」


さっきの日本刀は明らかに見える場所にあったにしても、
拳銃はどう考えても普通は見つける事なんか出来ない筈だ。
じゃなきゃ隠してる意味がない。

。」
「何?」
「知らない方がいい事もあるってもんだぜ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

なっ・・・・何それ!!!???
怖いから!!!怖すぎだから!!!その含みある言い方!!
もしかしてこの世界でも政宗の奴、
長曽我部組に忍びでも送り込んでんじゃないの!!!???
あり得る!!コイツなら十分あり得る!!!!


なんて、青ざめていたら、ククッ、と、政宗が喉の奥で笑った。

「Just kidding. 前に元親の野郎に聞いててな。」(ただの冗談だ。)
「・・・・・・・・・・・・・・・あんたねぇ『おっと、ちぃと静かにしてな。』

奴はヒソヒソ声でそう言って、唐突に私を腕の中へ引き寄せた。
ビックリして、抵抗する間もなく、政宗の胸に顔を押し付けられる私。
だけど、声を上げるのだけは必死で堪えた。
障子1枚向こうで、数人の人の動く気配と、声が聞こえたからだ。

「長曽我部組の馬鹿息子を探せ!!!奴を殺っちまえばこっちのもんだ!!!」
「おお!!探せ!!探せぇぇ!!」

ドタドタと、その会話の後に足音が遠ざかっていく。
その間も私はアイツの腕の中で息を殺していた。
だけど心臓は爆発寸前。
今の会話内容も勿論十分心臓に悪かった、だけど。

『HA!HA!馬鹿だねぇ、アイツらじゃ束になっても野郎は殺れねぇだろうよ。』
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・政宗先輩、そろそろ離してよ・・・!』

ヤクザな人々が走り去って、私はジタバタと奴の腕の中でもがいた。
ムカつくけど、これが全く効果なし。

「クックック・・・そう言うな、。俺はずっとこのままでも構わねぇぜ?」
「私は大いに構う!離せ・・・!離し・・・・・・・あ!」

ブブブブブ。

メール着信の合図で、ケータイのバイブ機能が働く。
政宗もそれに気付いたらしくて、やっと体を私から離した。

「姫親からの返信だわ。」


―今からそっちにパシリ寄こしてやっから待ってろ。
独眼竜、おめぇにちょっかい出しやがったらただじゃおかねぇからな!!!!


「・・・・だって。気をつけましょうね、マサムネクン」
「HA!俺はちょっかいなんざ出してねぇぜ?」
「!!??」

私のケータイを覗き込んだ政宗が、唇をわざと私の耳元に寄せて言った。
咄嗟に、ビクリ、と体を震わせていると、私たちのすぐ後ろから聞き覚えのある声がしてくる。

「やーれやれっと、現在進行形で出してるでしょうが、伊達の旦那。」
「・・・・佐助!姫親と合流してたの?」
「フン、邪魔してくれたな、このパシリ野郎。」

いつの間にか姿を見せた佐助に、政宗が不機嫌に言った。
すかさず、佐助が私と政宗を引き剥がす。

「伊達の旦那、あんただけ置いてけぼりってのもありだけど、どうよ?」
「Ah-ha.やってみやが「はい!!そこまで!!!」

パンッ。

と、私は勢い良く両手を叩いて二人に言った。
バトる時と場合ってのを考えて欲しい、コイツらは。

「それより今は姫親のとこに行くのが優先でしょう。お願いだから止めて。」
「はいはい、にそう言われちゃねぇ。んじゃ、とりあえず今は休戦ってことで。」
「仕方ねぇ、・・・行くか。」


こうして、私たちは佐助と一緒に姫親達の居る場所まで移動する事になった。

んだけど。

姫親宅に乗り込んできたヤクザ屋さん達から逃げ出す事は、まだ、無理みたいだった。

それでも、何処かで『大丈夫』なんて思えてしまうのは、
コイツらBASARAキャラのお陰かもしれない。

一刻も早く、抜け出したいのは言うまでもないけど。


(極道抗争勃発2に続く)



----アトガキ-----
続いてしまいました。政宗メインって本当に久々でしたが、
楽しく書けて良かった(笑)多分、次か、もしかしたらその次位で終わりです。
ではでは、ここまでのお付き合い、誠に有難うございました!失礼します。


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