「はいはいっと、を救出して来たぜ。伊達の旦那の魔の手からね。」
極道一家。
長曽我部組。
大豪邸のとある一室。
開口一番、佐助はそう言ってその部屋の中に私と政宗を連れてった。
「何ぃ!?独眼竜!!!オメェ俺がメールで釘刺した瞬間からそれか!?」
「Ah-ha?何のことだか分からねぇなぁ。パシリ野郎の戯言なんざ、信用するんじゃねぇよ。」
「・・・・うわっ、マジで性格悪いわ、この旦那。」
で、またしても始まるド迷惑なバトル。
って言うか何度も言うけど、コイツ等今の状況が分かってるんだろうか?
極道同士の抗争なんぞと言う、一般善良市民(この場合私だけだが)
の日常とは程遠すぎる状況に巻き込まれてしまっているこの状況を。
「・・・ん?あれ・・・?ねぇ、幸村は?」
「ああ、あいつなら厠だ。ったく、どいつもこいつも神経図太ぇなぁ。」
あんたもな!!!
しかも厠って言うな!厠って!!
平然と答えた姫親に私はいつもの様にお約束で激しいツッコミをしたかったけど、
どうにかそれを堪える事に成功した。
ツッコミを入れた時点で私もバトる奴等と変わらない事になってしまうと思ったから。
「・・・What?・・・おい、何か聞こえねぇか?」
不意に、政宗が怪訝そうに眉間にしわを寄せて言った。
佐助は政宗より先にそれに気付いてたらしく、何も言わずにただ苦笑してる。
私はさっぱり意味が分からなくて、耳を澄ませてみた。
―ダダダダダダ・・・・『撃破!撃破ぁぁ!!!』
「アァン?んだぁ?つーか、この声は・・・「幸村だ・・・!!」
姫親が先を続けるより前に、私は思わず声を上げた。
私たちの居る部屋から少し離れた場所で聞こえる、何やら聞き慣れた爆走音。
それから。
「・・・ねぇ、佐助・・・あれって幸村の声・・・よね?」
「そうみたいだねぇ・・・。」
「・・・私の聞き違いじゃなければ、『撃破』って聞こえるんだけど・・・。」
「ん?それ間違いないわ。やーれやれっと、大声で張り切っちゃってるねぇ。」
「いやいやいやいや!!って言うか、大声で『何』を『撃破』してるのよ!!??」
今度はもう我慢が出来ずに私は思いっきりツッコミを入れてしまった。
と、私の隣に立っていた政宗が、急にクックック、と喉を鳴らして笑い出す。
「なっ何!?政宗先輩?」
「上等だ、上等だぜ!あの野郎。俺を差し置いてPartyを始めちまったって訳か。」
「・・・・・・・・・はい!?パーティ!!??」
「ったく、しゃーねぇ、旦那のお手伝いに参上しますか。」
「はっはー!野郎ども集めて掃除するつもりだったんだがな。
ま、いい機会だ。この俺直々に鬼の棲家を荒らした恐ろしさ、味合わせてやろうじゃねぇか!」
意味が分からずあわあわとしている私。
他の3人はさっさと話を進めて部屋から出て行こうとしている。
「おっと、、アンタはここに居ろ。この先は危ねぇぜ。」
「え・・・?って、まさか本気で本物のヤクザとやり合うつもり!?」
「うちの旦那が先走っちゃったからねぇ。
ま、すぐ片付けてくるから、はここに隠れててよ。」
政宗と佐助はそれだけ言って、私を残して幸村の所に行ってしまった。
姫親はと言えば、数人の部下(??)を呼び出して、何やら指示を出している。
それから私の方に振り向くと、突然私に向かって何かを投げて寄越した。
私は咄嗟にそれを受け取る。
―バサッ
「!?」
「おぅ、、念のためにそれ着とけ。」
「え???」
意味が分からないまま、渡された『それ』を目の前まで持ち上げてみる私。
黒くて少し重い、古臭いベストみたいな服に見える。
「ねぇ、これって・・・?」
「アン?防弾チョッキってやつだ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・防弾・・・・、ぼうだ・・・って、あの拳銃の弾を防ぐ!!!??」
「はっはー!それ以外に何があるってんだよ?」
笑えないし!!!!!冗談じゃないし!!!!!!!!!!!
一瞬にして凍りつく私の表情。
姫親は私の傍まで近寄ってくると、
私の手にある防弾チョッキをひょいっと取り上げた。
「安心しろ、流れ弾がここまで飛んでくることなんざまずねぇ。念の為に渡しただけだ。
おら、さっさと着ろや。早くしねぇと独眼竜の奴ら好き勝手に暴れてやがるだろうからな。」
言いながら、姫親が私に防弾チョッキを着せる。
着方の分からない私は大人しくされるがままになりつつ、口を開いた。
「アイツら3人で暴れてるんだったら、姫親が行った時はもう終わってたりしてね。」
「・・・・おぅよ、下手な極道より性質の悪ぃ奴らだからな。
ま、どっちにしろ潜り込んできやがった連中の目当ては俺だ。
顔を出してやるぐれぇは礼儀ってヤツだぜ。
鬼の棲家を荒らした落とし前は、きっちり償ってもらわねぇとな。」
と、どこか楽しげに話す姫親。
『喧嘩上等』って表現、今のコイツにピッタリかもしれない。
いや、と言うより、奴ら3人も含めた4人にピッタリなんだ。
「じゃ、俺は行くぜ。ま、安心しろ。念の為にここの見張りに野郎共2,3人つけといてやっから。」
「ん、分かった。・・・程ほどにね。」
「おぅよ、じゃ、またな。」
言って、姫親はひらひらと手を振りながら部屋を出て行った。
結局、部屋にポツンと置き去り状態な私。
4人を待っている間少し離れた所から、時々「Let's party!」とか、
「ほらよっと!」とか、「推せ推せぇぇ!!!」とか、聞き慣れた台詞が聞こえてきた。
正直、一人で笑ってしまった。
こんな洒落にならない状況でもこのハチャメチャな世界では、
彼ら4人と一緒だと言うだけで凄く心強く思える。
それから数十分後、やけに清々しい顔をした4人が、また私の居る部屋に戻ってきた。
どうやら思う存分暴れまくった上、
乗り込んで来たヤクザ屋さんのリーダー格らしい男をひっとらえる事に成功したらしい。
「あれしきで臆するとは、極道とは思っていたものよりも情けない連中でござるな。」
「・・・・あれしき・・・って、何したの?」
幸村の言葉に、私は思わず恐る恐る聞き返す。
だって、始めに特攻状態で突っ込んでいった幸村の勢いから言って、
『あれしき』で収まる内容にはどうしても思えなかったから。
「旦那に向かって拳銃向けた奴が居てさ、何発か打って来たんだけど、
見事に全部避けてくれちゃった訳だ、これが。」
「豆鉄砲などこの幸村には当たらぬわ!」
何処があれしきよ!!!!????
本日何度目かのツッコミを心の中で幸村にして、
私は今度は姫親と政宗に目を向けた。
「おい、独眼竜、オメェいつの間にうちの日本刀持ち出してやがんだ?」
「oh!コイツぁ悪かったな。
丸腰でか弱い高校生が本物のヤクザ相手に渡り合っていけるとは思えなくて、つい、な?Sorry」
だから何処よ!?か弱い高校生!!!!
すっかりツッコミ癖の定着してしまった私。
更に、姫親が驚いた様に声を上げる。
「しかもそっちは親父の拳銃じゃねぇか!
・・・待て、その日本刀もガラスケースに入ってたヤツだろうが!!ざけんな!!」
「AH-HA?そうだったか?Sorry.特に考えもなしに借りちまったもんだからな。」
「いやいやいや、政宗先輩、スゴク普通にそれの有りかとか詳しく知ってたわよね?」
私はとうとう我慢できずに思わず声に出してツッコンでしまった。
しかも記憶違いでなければ、いや、絶対に、あの時政宗は『前に姫親に聞いてた』みたいな返事をした。
だけど、やっぱり、あれは大嘘だったんだ。
もう今更、そんなことには驚いてやらないけど。
「おぅ!独眼竜!おめぇ思いっきり計算ずくじゃねぇか!」
「OK.OK.ま、どうせもうコイツの出番は終ったんだ、返してやるよ。」
「ちぃっ、油断も隙もねぇぜ・・・ったく。」
「ホントにね。」
ハァーーーーー。
と、脱力と一緒に私は深い溜息を吐いた。
なにはともあれ、極道の抗争に巻き込まれたと分かったときはパニくりまくったけど、
どうにか無事に乗り切ることが出来た。
どうにか、と言うか、コイツらが居れば当然と言えば当然かもしれない。
「今日は悪かったな、。とんでもねぇ事に巻き込んじまってよ。
ま、また日ぃ改めてゆっくり遊びに来い。歓迎してやるぜ。」
「うん、有難う姫親。後も色々大変だろうけど、頑張ってね。」
「おぅよ。」
長曽我部組、門前。
私の怒涛の一日は幕を閉じようとしていた。
いや、毎日何かしらあるから、そろそろ感覚が麻痺してきてたりするけど。
「んじゃ、鬼の旦那、また学校でな。」
「長曽我部殿、後日はこの幸村、甘味を用意していて下さると有り難い!」
「って、幸村!俺はおめぇらまで呼んだ覚えはねぇぞ!」
何やら次回訪問時のお菓子の用意までねだる幸村。
これがさっきまで彼曰く『豆鉄砲』を避けて、
極道連中をビビらせたのと同一人物とは思えない。
「HEY!。」
「ん?何よ、政宗先輩。」
不意に、私の隣に立っていた政宗が声を掛けてくる。
彼は周囲に聞こえない様に少しだけいつもより声を落としているみたいな感じだった。
「今度は時間があったら俺の家に来な。You are always welcomed.honey」
(アンタならいつでも歓迎するぜ。)
ニヤリ。
言葉と一緒に口角を上げる政宗。
瞬間、体を駆け抜ける、悪寒。
「・・・皆と一緒ならね。」
「OH!野暮なこと言うんじゃねぇよ、どう言うつもりで誘ってるか位、分かってんだろ?」
「分かりません!って、こら、か、顔を近づけるな!」
私の方に屈みこんできて、不自然に至近距離まで近付いてくる政宗に、
私は焦って声を上げた。
「はい!伊達の旦那、そこまでっと!」
言った佐助が、私と政宗の間に割って入る様にして現れる。
これも最近じゃ、ある意味パターン化。
「伊達殿!!そなた、また我が妹に破廉恥な行為を迫ろうとしていたのか!?」
「独眼竜!おめぇ、誰の門前でを口説いてやがる!?」
「今回伊達の旦那は抜け駆け多すぎだよねぇ、温厚な俺様もちょっと許せないぜ。」
―カーン。
どこかで鳴った、ゴングの音。
はいはいはいはいはい!!!あんた達は結局そうなのね。
半分以上諦めモードな私は、日常茶飯事のバトルを目にしつつ、
ガックリと一人、肩を落とした。
(終わり)
----アトガキ-----
終りました、お宅訪問(笑)えーと、次回は多分、以前拍手で頂いた兄弟との絡み、
幸村、家康等を中心に話を進めてみようと思います。近々慶次も出したいんですけどね。
家族中心に出したい感じです。w祖父ちゃん(笑)も出せたら出したい。
もしも何かご要望がございましたら、日常ネタ、まだまだ募集しておりますので!
ではではここまでのお付き合い、誠に有難うございました、失礼致します。
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