「ふっはっはっ!たまにはこうして家族総出で外出と言うのもいいものだわい!」
「さようでございますな、お館様!」
「やーれやれっと。俺様団体行動って苦手なんだけどねぇ、ま、しゃーねぇか。」
右を見れば武田主従。
「おお!まつ、見ろ、凄いぞ、あの乗り物!某乗ってみたい!」
「まぁ、何と!素晴しゅうございます、まつめもご一緒します、犬千代様。」
左を見れば前田夫婦。
「ふん、ぞろぞろと連れだって出てきた場所がこんな所とはな。
わしはこんな子供だましには騙されんぞ!」
「そう言うんじゃなか、三河の。久し振りの一家団欒、よかことたい!」
「今すぐわしをうちに帰しとくれ!わしはご先祖様の墓参りに行く時間があるんぢゃ!」
前方には家康、島津の爺ちゃん、北条の爺ちゃん。
そして後方―――
「オオー!素晴シイ!この世界、愛に満ちてイマース!
でも私がモット愛を広めればモット素晴らしくなりますからのコトヨー!」
「気持ち悪いべ!そんな愛なんか誰も求めてないだ!」
いつきとザビー叔父さん。
今日もうちのBASARA一家は、恐ろしい位に存在感が有り、尚且つ騒がしい。
因みに私達は今、超人気テーマパーク・DD(ドラゴンドリーム)ランドに来ている。
このDDランドは乗り物の待ち時間を必ず10分以内に収めるために、
限定招待券を持った人間しか入れないことになっている。
平日であろうと常にチケットは完売状態。
それが祝祭日のものとなると、チケットを入手出来る確率は限りなく0に近いって話だ。
そんな物が何でうちに…とか、まともな思考を働かせるだけ無駄だと私は既に知ってる。
それよりもこの、『ドラゴンドリームランド』って名前、そこはかとなく怪しいんだけど。
私の居た現実世界にはこの辺にこんなドデカイテーマパークはなかった。
同じ場所にあったのはゴルフ場だ。
ドラゴン。
訳せばまんま、竜。
竜と言えば勿論――――
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
よし、考えなかったことにしよう!
そこで私は強制的に考えるのを止める。
深く考えてはいけない。
意味を見出そうとしてはいけない。
これがこのBASARA世界での鉄則。(あくまで私の中で)
とりあえずこんな所に来られただけでもラッキーとしよう。
私はキョロキョロと周囲を見渡した。
さすがに超のつく人気テーマパーク。
造りからして他のちゃちな遊園地とは格が違う。
例えば私達から数メートル先にあるあのメリーゴーランド。
お約束の白馬や馬車の物にも関わらず、眩しい位に豪華絢爛な上、白馬なんか本物そのものにしか見えない。
だからってまぁ、幾らなんでも乗りたいとは思わないけど、
ただ、ケータイカメラで写して友達に自慢するタネにはなりそうだ。
あれ?でも他のアトラクションと違ってお客さん少なくない?
今日は日曜だし、家族連れも多いから子供とか居そうなのに・・・?
なんて、思っていた、その時。
うふふ、謙信様、白馬がお似合いです…、ああ、眩しい・・・!
ふふ かすが、あなたも じゅうぶんにうつくしいですよ。
何か、聞こえた。
って言うか、今気づいたんだけど、メリーゴーランドの演出の一部だと思い込んでいた薔薇。
そう、あの真っ赤なすっごく綺麗な大量の薔薇。
もしかしてあれは、いや、もしかしなくても。
「ん?ってば何を一人で熱心に見てんの?」
「え?や、熱心って言うか・・・。」
茫然としつつメリーゴーランドを見つめて、冷汗なんてかいていたら、
後ろから佐助に声を掛けられた。
一瞬彼に視線を向けて、またメリーゴーランドに目を移す。
結構な大きさのメリーゴーランドはゆっくりと回転していて、薔薇も見えなくなっていた。
いやいやいや、もしかして気のせい?気のせいなの?
「メリーゴーランド?へぇ、でもあんな乙女チックな物に興味持ったのか。
何々?もしかして乗りたいとか思っちゃってんの?」
「ええ!?や、そうじゃなくて、今―――」
言いかけた所で、またしても衝撃的な物が私の目に飛び込んでくる。
メリーゴーランドの乗り場入口。
係員さんが、看板を引っ張り出してきていた。
『現在大変危険な状況の為、一般のお客様はご利用になれません。
恐れ入りますが、少々お待ち下さいませ。』
・・・・大変危険な状況!!???
10分以上は絶対に待たせない事が売りのDDランドのアトラクションが!?
「?」
「や、やっぱり、絶対そうだ・・・・。」
ぼそり。
思わず震える声で呟く私。
佐助が不思議そうな表情で私を覗きこんだ。
その時。
「ぬ?おお!宿敵ではないか!奇遇だな!」
「こんなところで あうとは。 やはりあなたとは ふかいえにしをかんじますね。」
白馬に乗った上杉謙信先生、登場。
勿論、メリーゴーランドに乗ったままで、だ。
一周して戻ってきたメリーゴーランドに乗っている謙信先生に気づいた信玄父さんが、
清々しい程普通に彼に話しかけたって訳。
因みに、咲き誇っていた筈の薔薇は消えていて、
謙信の後ろに乗ってるかすがが信玄父さんを睨みつけて居る感じ。
回りながら。
そう、回りながらね。
しかも。
信玄父さん、メリーゴーランドの速度に合わせて一緒に回らないで!!
超笑顔で友と語らうのはいいんだけど、メルヘンチックなその乗り物を追いかける信玄父さんの図。
ごめんなさい、その構図、凄く似合ってないから!!!!!!
「あー、はいはい、が何を見てたのか俺様よーく分ったぜ。」
私の側に居た佐助が苦笑と一緒に言った。
あの様子じゃ、二人は当分話し込みそうだ。
かすがの視線の険悪さが増してるみたいだけど、
取りあえずメリーゴーランドはまた一般客解放になったらしかった。
ただ、信玄父さんにビビって泣いてる子供も居る事は、この際見なかった事にしようと思う。
って言うか、うちの家族の存在自体がここのテーマパークのイベント並のスゴさを発揮してると思うんだけど。
まぁ、それはそれとしておく。
そうしておいた方がいい。
そうさせて下さい。
「このまま団体で居ても動けなさそうだし、2・3人に別れない?」
少しでもこの奇抜連中のオーラを分散させようと笑顔で提案する私。
言っておくけど、今でも勿論BASARAは好きで、『キャラ』である彼らなら大好きだ。
だけど、リアルとなると話は全く別。
私は平凡な一般市民であって、か弱い女子高生。
この数の彼らを制御するなんて無理があり過ぎる。
「そうだな、ならばまつ、某達は二人で行こう!」
「はい、犬千代様!」
まぁ妥当な感じだ。
この二人には某有名洗剤チャー○ーグリーンが良く似合う。
ホントに。
「おら島津の爺ちゃんと一緒がいいだ!」
「おお、よかぞ!行くとすっか!」
「わしは一人で行動しとるから時間になったら呼んどくれ。」
と、まぁそれぞれ妥当な感じに収まった訳だけど。
(ザビー叔父さんはいつの間にか布教活動しに消えていた)
私の側に残った面子。
佐助、幸村は、いつものこととして。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・家康、何よ、あんた、私と行動したいの?」
「っは!笑わせるな、わしはオメェが迷い子にならんように見て居てやるだけだ!」
「ほっほっほっほっほおおおおおおおおおおおおおおお!!
素直にそうだって言えば可愛いのにこのドぐされ弟くんはあああ!!!」
現実世界の弟によく似たクソ生意気な家康の頭を両手の拳で左右からグリッグリしてやる。
抉るように手首をきかせながら。
「いでぇっ!!!この暴力女っ!タダカーツ!!タダカーツ!!」
「はいはい、本多の旦那はお留守番しててここには居ないからね。」
「人前で抱擁など!!、姉弟と言えど、破廉恥でござるぞっ!」
「・・・旦那、違うから。」
テーマパーク・DDランド。
今から、私はこの不安すぎるメンバーと行動を共にすることになった。
「!!オメェ女のくせに馬鹿力過ぎだっ!!ぎゃあぁっ!!」
(GOGO!DDランド!)
----アトガキ-----
激久しぶりの更新!!前回はいつだったのか、記憶のかなたです(苦笑
長くなりそうだったので、切ったんですけど、家康と幸村との絡みは次回になります。
ここまでのお付き合い、誠にありがとうございました!失礼致します
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