「・・・・・・・・・・・で?何でまず最初にこれ選ぶの?」
「え?だってほら、ここってば広すぎて、歩いて進むの面倒くさくない?」

そんな理由か!!!

ついさっきBASARA一家で居た場所にあった豪華絢爛なメリーゴーランドから少し歩いた場所、
(少しって言ってもこれが何気に中々の距離だったんだけど)
そこにあったのがこの、俗に言う『お化け屋敷』的な建物。
これ以上先に進むとなると当然また歩かなくちゃいけない。
それは面倒くさいから手近にあるコイツの中に入っちまおう、つまりそう言うことだ。
本当にやる気のない奴。

「こらこら、あからさまに呆れた顔してんじゃないよ。
こういう建物って涼しいし、楽しめるし、一石二鳥じゃね?」
「楽しめる、・・・ねぇ。」

言って、そのドデカイ建物を見上げる。
そう、ドデカイのよ、これが。
普通の病院か学校以上のでかさ。
一見、看板を見なけりゃ黒一色のシックな建物なんだけど、
所々血みたいなものがべっとりついてたり、怪しい引っ掻きキズがついてたり、
微妙な演出が妙に生々しい感じ。
私は特にホラー映画とかに興味もないけど嫌いな訳でも好きな訳でもない。
普通の遊園地のまさにベタな『お化け屋敷』なら、友達と一緒に何度か行ったこともある。
でもここはそう言うのとはレベルが違いそうだった。
って言うか、確実に違うに違いない。

「へっ、何だ、、オメェもしかして怖ぇのか!?」
「・・・・・・・・・・・・‥‥‥。」

こいつわ!こいつわ!こいつわ!こいつだけはっ!!!!!


小馬鹿にしたような顔で私に話しかけてきた家康の頭に、
再度、片手拳でぐりぐりっと脳天を抉ってやる。

「いでぇ!オメェ、毎回毎回手ぇ出すんじゃねぇ!暴力女!!」
「ほっほっほ!スキンシップよ、喜べ、弟よ!」


その後結局、私達は建物の中に入ることになった。
因みに、私達は超人気DDランドの幻のフリーパスを家族それぞれが持っている。
マジでどこでどうやって手に入れたのか激しく謎だ。
でもまぁ、敢えてそこを追及する気もなけど。

「・・・え?」

入口を通って建物の中に入った途端、視界が一気に開けた場所に出た。
一瞬私は入口じゃなくて出口から外に出てしまったのかと思った。
荒野。
室内の筈なのに、荒野が広がってる。
辺りは薄暗くて、何所からか冷たい風まで吹いてくる。
それに、空。
どんよりと厚い雲で覆われた曇った空が、やけにリアルだ。
良く見ると、どうやら西洋系墓地と言う設定らしかった。
茫然と突っ立ったままの私を余所に、側に居た3人が感心したみたいに口を開く。

「さすが凝った造りしてるねぇ、どれだけ金かけてんだか。」
「おおおお!まるで魔法の様でござるな!」
「お化け屋敷と名付けんのは間違ってんじゃねぇのか。」

会話をしつつも、先へ進む私達。
と、不意に冷たかった風が生温いものに変わった。
そして――――。


ボコボコッ
  ボコッ・・・・

地面の数か所がいきなり盛り上がり始める。
150%、『何かが』って言うか、お約束な物が出てくるのは私にも分っていた。
だけど、そいつらが姿を見せた時、やっぱりお約束に私はビビって声を上げた。

「わっ!うげぇっ!!」

グロおっ!!!!

そう、グロい。
所謂ゾンビ的な生き物が地面から次々と姿を見せる。
もう説明なんかしなくても分るかもしれないけど、脳みそデロー、目玉ドローっ、
手足ずたずた、体ぼろぼろの、あれだ。
しかもこれが嫌になる位リアルで、臭いまでしそうな勢い。
そいつらがオオオオーとかウウウウウーとか言いながら、次々と地面から湧き出てくる。
マジで、最悪。怖いのは勿論だけど、とにかくキモい。
私はとにかく早く次の場所まで移動して、逃げてしまいたかった。
のに。

「おお!そなた達、土の中に身を潜ませるとは、侮れぬ者達だ!」
「いやいやいや、旦那、あれは造り物だからさ。」
「へっ、この程度の人形ごとき、恐れるに足りん!」

こいつらは!!!!!何でそんな余裕で呑気な訳!!??
マジで、マジで、マジでもう!!!!!

さっきも言った通り、私は別にホラーを特に好きでも、かと言って特に嫌いでもない。
だけど、だけど、これだけレベルの高い生々しいゾンビを目の前にして、
平気で居られるほど胆が座ってるわけでもなくて、
寧ろビビり過ぎて咄嗟に側に居る誰かの腕をガシッと掴んでしまった。

腕?
って言うか、これは腕の付け根??

「なっ、何だ、。おめぇ、やっぱ怖ぇんじゃねぇか。わしの肩なんぞ掴みおって!」

私が掴んだのは家康の肩だった。
この際このドぐされ弟でも構わない。
とにかく私はさっさとこの場から逃走してしまいたかった。

「うっさいわ!!私はあんたらと違ってか弱い女子高生なのよ、お姉さまを助けなさいよ。
・・・・・・・・・ぎゃあああああああ、ちょ、早く、早く先行くわよ!!家康!!!」
「いでぇっ!おい、引っ張るな、千切れるだろうが!馬鹿力でわしをひっぱるんじゃねぇっ!」

私は家康の抗議の声を全くもって完全にシカトし、
半分引きずるようにしてアイツを連れて先へ進んだ。

「あらま、家康に先越されちまったぜ。
怖がるを優しく包むのは俺様の役目だったんだけどなぁ。」
「ぬぅ、妹を恐怖にさらしてしまうなど、兄として不甲斐無き所業。
!!某、そなたを守ってみせるぞ!!!」


先へ進むと今度は公園があった。
これまた西洋風の大きな噴水やブランコのある公園。
でも、ぜんっぜん、綺麗じゃない。
てか、怖い。ホント、マジで怖い。
恐怖の原因は辺りの空気が荒んでるのもあるし、
誰も乗ってないブランコが揺れると言うベタベタな設定のせいもあるし、
噴水の中央の銅像がひび割れだらけで不気味すぎるせいもある。
それより何より。

「小さな子供が遊んでいるでござるな。」
「・・・旦那、何度も言うけどさ、ここ、お化け屋敷だから。」

私達の数メートル先。
数人の女の子達が歌いながら縄跳びをしてる。
その歌ってのがまた、何て言うんだろ、単語単語しか分からないんだけど、
首を切るだの、血まみれだの、狂っただの、明らかに恐ろしすぎる言葉ばっかり聞こえてくる。
女の子達の歌い方もふやふやーっと鼓膜の中を漂うみたいな、変に響く声で。
それがまたいやに私の恐怖心を誘った。

「誰よ、こんなとこ入ろうとか言った馬鹿は!!馬鹿は!!ドぐされ野郎め!」

家康をずるずる引きずりつつ、小走りでその女の子達の横にある道を通過する。
と。

―――ゴロリ。


私の、足元。
女の子の一人の、首が転がってきた。
ご丁寧に彼女は血の涙を流していて、しかも片目がくり抜かれて真っ黒な穴が開いている。
一瞬で、石化する私。
更に。

「キャーハハハハハハハハハ!!アーハハハハハハハ!!!」

首だけの女の子が、けたたましい笑い声をあげる。
そりゃもう狂ったみたいに。
甲高い声でこれでもかって位笑い続ける。

「っっっ○×☆●×□▲☆○▼!!!???」

声にならない悲鳴をあげて、私はもう無我夢中で家康の体をもみくちゃにしていた。
恥ずかしいことに半分泣きそうになりながら。

あり得ない!!
あり得ない!!!!!
何なのこのお化け屋敷!!!!!!!!!
こんなの計算にないぞっ!!!!!!
誰か!!タダカーツ!!タダカーッツ!!!


「ぐぇっ!!!!、オメェ、やめろ!!わしを殺す気かっ、落ち着け!!」
!!某の手を取るでござる!ここから離れるのだ!」
「って言うかさ、先に進んでも新しい仕組みがあるだけなんだけどねぇ。」

苦笑する佐助。
そんなことは分ってる。
分ってる。
分ってるけど、それでもあの足元で哂い続ける女の子の所に居るよりはマシだ。
マシに違いない。
って言うか、マシであって。

結局、私は右に家康、左に幸村、それぞれと手を繋いで先へと進むことになった。
佐助は少し不満げな顔をしてたけど、
鬼や竜じゃないだけいいか、と一人で何やら納得していた。

「何だ、オメェまだ震えてんのか?」

ビクビクしながらへっぴり腰で歩く私に、家康が言った。

「うううう、うるさいわね。」

私はどもりつつも言い返す。
まぁ何だかんだ言って、家康の奴も繋いだ手を振り払ったりしないから、そこは感謝だけど。

「狸の旦那は怖がってる暇がないだけだよねぇ、の勢いに押されてるってヤツ。」
「そうでござるな、普段なら家康殿も程ではないとしても怖がっている筈。」
「なっ!おい、オメェら、何の話をしてるんだ!わしはコイツと違って怖がってなんかねぇぞ!」

言った家康の顔は、薄暗くて分からないけど、少し赤い気がする。
私は思わず恐怖も忘れてニヤニヤして言った。

「怖かったら私に頼っていいわよ、弟よ。」
「オメェが言うんじゃねぇ!!!!」


その後、先を進むと建物らしき物の中に入り、(建物の中に建物ってのも変な感じだけど)
またしてもお約束の病院的なホラーアイテム&ホラーイベントの数々を体験し、
私は本当の意味でお化け屋敷から生還を果たしたのだった。

「ううう…マジで最悪、少し休みたい・・・。」
「何だ、オメェ、情けねぇな…。フン、まぁいい。
わしも喉が渇いているから何か飲み物を買ってきてやる。感謝しろよ。」

お化け屋敷の出口でへたり込んだ私に、家康は憎まれ口を叩きながらもそう言ってくれた。
ドぐされには違いないけど、少し見直してしまう。
私はグレープフルーツジュースを頼んだ。
と、そこで私の側に立っていた幸村が元気な声で言った。

「某はおしるこが飲みたいでござる!」
「・・・・・・・・・・・・‥・・・おいおい、旦那、それどう言う選択だよ。」

うげぇ。
と言う表情で佐助が答える。
確かに、この状況で『おしるこ』って。
どんなよ。

「なっ、誰がオメェらの分まで買ってきてやると言った!」
「まぁまぁ、そう言うなって。お兄ちゃんもついてってやるからさ。」
「いらんわ!それならわし一人で行った方がマシだ!」

言いざま、家康は背中を向けてずんずん歩いて行く。
佐助はその背中に、俺様冷たいお茶でお願い、と声を掛けていた。


、向こうにベンチがある、某が負ぶってそなたを連れて行こう。」
「ええ!?いや、大丈夫、自分で歩けるから!そこまで弱ってないから!」
「お!いいねぇ、を負ぶって行くんなら俺様が喜んでやるぜ。」
「佐助はもっといいから!!!!!!」

私はハッキリそう佐助に断ると、立ち上がってベンチに向かう。
幸村のは純粋な気遣いって感じだけど、佐助のは明らかに下心としか思えない。
痴漢エロ忍者には常に警戒が必要だ。


ま、この人数でこの面子なら兄弟連中ばっかだし(佐助は置いておいて。)
いつものメンバーより少しは気が楽・・・かな。うん。


少なくともバトってばっかで進まないってことはない。
何て安心していた私って、なんて幸せ者だったんだろう。
この数分後、私はやっぱりいつもの様に振り回されることになるのだった。

とあるドぐされ野郎の登場によって。


(恐怖!お化け屋敷パニック!)


----アトガキ-----
あれ?何やら家康と幸村との絡みと言うよりは。家康とばっかだったような(笑
でも書いていて凄く楽しかったです。おかげで無駄にだらだらと書いてしまった。
DDランド編は後2話くらい続きそうな予感・・・。
ではでは、ここまでのお付き合い、誠に有難うございます。失礼します


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