目を覚ますと、見覚えのあり過ぎる天井が目に入った。
暫くの間ボケッとそれを眺めた後、キョロキョロ周りに目を向ける。
どこをどう見ても私の部屋。
私はそこでプッと1人で吹き出した。


いやーははは!何よ、マジで夢オチだったんだ!!
夢でも痛みってのは感じるもんなのね!
あんま生々しいからてっきり・・・


爽やかな気持ちで起き上がってみると、私は制服姿だった、
もっと言えば左手の人差し指に絆創膏が貼ってある。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

私はあえてそれを無視することにして、布団から出ようとした、
んだけど・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

ガチャ


姉ちゃん、いつきだべ!具合はどうだ?」
「・・・っっ!!!!!!!!!」

部屋に入ってきたのはもう何と言うか、説明なんぞしたくもないけど、
戦国BASARAキャラ『いつき』だった。
つまり、目覚め数十秒にして私の『夢オチラッキー気分』は泡となって消えた訳。

「今日は悪かったべ、家庭菜園の世話してたから朝食も一緒に食べられなかったし・・・。
それに兄貴達がまた下らない事で姉ちゃんさ巻き込んだって聞いただ。
毎朝ホントに男って馬鹿だべ!」


ああそっか・・・姫親(元親)出てきたとこでぶっ倒れたんだっけ・・・。


ここまで来るとそろそろ開き直りが必要ってもんかもしれない。
きっとそれが繊細な私の精神を痛めつけないこのおかしげな世界の極意だ。
って言っても、すぐに割り切れる訳じゃ勿論ないんだけど。

「そんじゃ、おらはもう学校さ行くべ!姉ちゃんはゆっくり休むといいだ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・そうする・・・・・・・。」

幸いここは私の部屋、学校に行って更にBASARAキャラの存在にあたふたしまくるより、
ここで色々と頭を落ち着けた方がいい、絶対その方がいい。

「それからこれ、まつ義姉ちゃんがお粥作ってくれただ、姉ちゃん朝あんまり食べてねぇからって。」
「あ、・・・・・・・・有り難う・・・・・・・・・。」
「んじゃ、おら行ってくるだ。姉ちゃんはあんまり無理すんじゃねぇべ?」
「分かった・・・・・・・・・・・・行ってらっしゃい。」

私が頷くと、いつきは太陽並みの明るい笑顔で嬉しそうに、「行って来るだ!」と部屋を出た。
その姿が何か凄く可愛くて、私は本当の妹のことを思い出した。
つまり、この世界じゃあのコが私の妹ってことだろう。
やっぱ文句なしに可愛い。
私は片手でいつきが持ってきてくれたまつのお粥を引き寄せて、
茶碗を膝に置いてれんげで一口すくって食べてみた。

「・・・・・・・・・・ん・・・凄い・・・。」

朝はそれどころじゃなくて分からなかったけど、まつの飯は恐ろしく美味い。
ゲームの利家が戦場で何度も何度も『まつの飯を食うぞー!』と騒いでいたのも頷ける。


普通のお粥をここまでの味に仕立てるなんて・・・、
さすがまつ、恐るべし・・・・・。


私もそれなりに料理に自信はあったけど、これとは比べ物にならない。


ゲームのキャラに負けるなんて、どうなの、私・・・・・・。


そんな事を考えつつも、結局全部平らげてしまった。
それでもまだ食べれそうな気がするんだから、私の胃が凄いのか、
まつの料理の威力なのか謎だ。
多分後者だと思うけど。
私は空になった器をお盆の上にのせると、布団から抜け出した。
そして自分の机に向かう。
お腹と頭が落ち着いたからか、私はひとつ思い出した事があった。
それは私がつけている日記帳だ。
日付けが飛ぶ事もしょっちゅうあったけど、それでも毎回1ページは埋めてたはず。
って言うか、昨日つけたばっかりだから、絶対何かの手がかりにはなるだろう。
私は急いで日記帳をしまってある引き出しを開けた。

「あった!」

あまり厚みのない小さめのシンプルなデザインのその手帳を引き出しから引っ張り出す。
そして急いでそのページを捲ってみた。
とりあえずは適当に開いたとこに目を通す。

「・・・・『7月7日 政宗先輩が七夕パーティを開くと言い出した、
身内でやるからあまり客は来ないだろうと言ってたくせに、来賓数は100を超えていた、
嫌味なボンボンだ・・・。』・・・・・・・・・・・・・・・って、政宗って・・・・・・・・あの政宗!!??
て言うかこんな日記書いた覚えないし!」

私は思わず声を上げて言った。
因みにその筆跡、自分で言うのも何だけど、そのくせのある文章、
どれを取ってみても私の物に間違いないみたいだった。
だけど勿論、私はこんな出来事全く身に覚えない。
戦国BASARAな人々はゲームの人物としてしか知るはずもないんだから。
私はまた適当にペラペラとページを捲る。

「『7月25日 新記録達成!利家兄がまつ義姉のご飯を茶碗に日本昔話盛りで8杯おかわりした。』
・・・・・・・・・・・・・・・・・『8月2日 姫親と長曽我部組の若い者と一緒に海へ行った。
古風な刺青は浜辺で浮きまくり、ある意味 It's show time!だな(政宗談)・・・・・・・・・・・』・・・・・・。」

そこで私は日記から目を上げた。


組・・・・・の・・・若い者って・・・・、姫親・・・・極道の息子かよぉぉぉ!!??
てっかどう言う設定!!??それでいいの!!??


その後も色々と読んでみたけど、殆どどこもかしこもBASARAキャラの名前が飛び交っていた。
クラスメイトの名前とか、そう言うとこは地味に見知ったのが出てきたりはしたけど。
結局、日記で分かったのは私の周りにほぼオールキャラで戦国BASARAキャラが生息しているということだった。
ま、誰がどう私に関ってんのかとか、設定は大体分かった訳だけど、
私が知りたかったのは断じてこういうことじゃない。


・・・・て言うか、こんなことなら寧ろ知りたくもなかったし・・・。
『これが全部現実』って証拠を見ただけじゃん・・・・・・・・・・・・・、あり得ない・・・・・。


日記を隅から隅まで読んだ後、私はやりきれない気持ちでそれをまた元あった場所にしまった。
そしてお茶を飲むついでにまつが作ってくれたお粥の器を台所へ持って行くことにした。
勿論、極力BASARAな人たちとの接触は避けるつもり。
って言っても、今は皆仕事とか学校とかで家に居る人間は限られてるみたいだけど。


それでも用心するに越した事はないわよね・・・。


自分の家の中だってのに、私は妙にコソコソと階段を下りて台所に向かった。
幸いな事に、誰にも見つからず(ってのも変だけど)に目的地に到着。
私はさっさと洗い物を済ませ、冷蔵庫からお茶を取り出してコップに注ぐ。


・・・そうだ、1杯はここで飲んで行こっと・・・何度も来るの嫌だし・・・。


『キャラ』との接触を避けるため、私はコップのお茶を先に1杯だけ飲み干して、
また新しく注ぐことにした。
急いでコップに口をつけた・・・・・・・その時・・・・・・。


「ザビザビザビザビザビザビザ〜♪」

「ブハーーーーッ!!!!!!」

本日2度目の噴射。
口元を手で押さえながらゲホゴホとむせて、手にしていたコップをテーブルに置く。
むせ込みが激しくてかなり苦しいけど、そんなことより今何が怖いって、
ドスドスと言う足音が私の居る台所まで近付いて来てる事だ。
私は慌てて台所の隅にかけてある台拭きで床を拭き、それを持って立ち去ろうとした。
逃げるが勝ちと言う言葉を今日程実感したことはない。
コップはそのまんま放っておいて、さっさと台所から出ようとした直前、

「オー!!倒れたときいてましたケド、生きててヨカッタネ!!
これも愛のなせる技なのデース!!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」


もうこれは誰かが仕組んでやがるとしか思えない、絶対そうとしか思えない・・・。

「これを機会にも愛についてモット良く知るとイイネ!!」
「・・・・・・・や、ザビー・・・・・・・・叔父さん(日記に書いてあった)
ここぞとばかりに私を勧誘しないで。あの・・・私まだ気分悪いから・・・これで・・・。」

私にしては良くやった方だ、何せBASARAキャラとここまで長く会話(?)したんだから。
だけど目の前に居るやたらとデカイ体つきのザビーは、それじゃ引き下がってくれないようだった。

「オオー!気分悪い!それなら愛について聞くとイイノデース!!
可愛い姪っ子にはサービスデス!!
このDVD買うと、今なら、特典としてこの『ザビーマスコット』ついてクルネ!!」

言いながら、どこからかDVDと掌サイズのザビー天使のマスコットを取り出してきた。
そう、あのいつきとのムービーで出てきた、明らかに怪しいザビー顔の桃尻天使だ。
しかもそれをグイグイ私の手に押し付けてくるザビー・・・叔父さん。

「ギャァァァ!!!!絶対要らないから!!!!!!!」

マスコットの余りのリアルさに、私は思わず絶叫してから激しくそれを拒否した。

「そんなに遠慮しないで下サーイ!!大丈夫、大丈夫ネ。」
「いや、本気で要らないし!!!しかも大丈夫どころかそれ絶対夢に出てくるから!!!!」

何故かそこで激しくもみ合ってしまう結果になりながら、
それでも必死に私はその不気味マスコットを受取るまいと防御を固めた。
鉄壁のディフェンスってやつだ。

「強情な子羊デース!!」
「あんたの姪だわよ!・・・・いや、それも違うけど・・・。」

〜〜〜♪

そこで、突然携帯の着メロのようなものが聞こえてきた。
因みに、この曲はどこかで聴いたことがあるとか思ってたら、ザビーのステージの曲だった。

「オー!哀れな子羊からの電話デスネ!」

ザビーはそう言って携帯を胸元から取り出すと、そのまんま私の傍から離れて行った。


私は半分呆然とその背中を見つめながら、心から祈ったもんだ。


おぉ神様、私をお救い下さい・・・・・・・。


(現実!?現実!!現実ぅ!?)



----アトガキ-----
とりあえず相手キャラは全部出したので、
今度は家族全員出してみました。
いつきとザビーはどうもセットで考えている為か、
同じ回に出してしまった・・・。
では、ここまで読んで下さって有り難うございました!
失礼致します。


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