その日の3限目は自習だった。
その事を予め知っていた私は、休憩時間が終わってすぐに教室には戻らずに屋上へ向かった。
旧校舎の屋上は一応普段は立ち入り禁止で、鍵もかかっている。
けど私はそれを開ける裏技を知っていた。
そしてその先がこの世界に来る前までは私だけの特等席だった場所。
だけど今はその特等席にもう1人、陣取る奴が現れてた。
私は例の裏技で屋上の扉の鍵を開けて、それを極力音をたてないようにゆっくり開いた。
屋上に出た途端、ゲームの効果音みたいなものが聞こえてくる。
私はすぐにその音のする場所に足を運んだ。
「わぁお!22面!?それって後半かなり難しいゲームじゃん?」
「おぅ、、おめぇやっぱ来やがったか。」
後ろからひょこっと覗き込んだ私に背を向けたまんまで姫親が言った。
手元のケータイでゲームをしながら。
「ま、ね。自習だし、天気もイイしね。それに姫親絶対こっちに居ると思ってさ。」
「ケッ悪かったな、予想通りでよぉ。つーか、前から言ってっだろうが、いい加減その呼び方やめろ!」
「まぁまぁ。それより私にもそれやらせて?」
言って、私は姫親の隣に座り込んだ。
「アァン?おめぇこの手のゲーム全く出来ねぇだろうがよ。」
「そうやってすぐ決め付けるのはいけませんねー。貸して!絶対3面はクリアしてやるから!」
「・・・おめぇ、目標からしてそれか!まぁいい、おら、やってみろよ。」
奴にケータイを差し出されて、私はそれを受取るとすぐさまゲームを始める。
隣の姫親が覗き込む為に私に近付いた。
思わずそれを意識してしまう。
ゲームのキャラとこんな超現実的状況で一緒に居るなんてホントおかしな話だ。
って言っても、もう最近それに慣れてはいる。
慣れてはいるんだけども・・・・・。
ピッピピピ・・・
チュドーー・・・ン・・・!
「げげ!?嘘!?」
「はっはー!!あり得ねぇっ!!3面所か速攻で終わりやがった!!
おいおい、どうした?まだ5分も経ってねぇぞ!?」
そう言って、姫親がゲラゲラと笑い出す。
私は笑い転げているあいつの脇腹を、肘で軽く小突いた。
「ちょっと笑いすぎ!!てかまだ後3機あるから終わりじゃないわよ!」
「おぅ!ってこた3機で10分持つか持たねぇかだな?はっはー!腹いてぇっ!」
「うるさいわね!今度は絶対1度も墜落させずにクリアしてやるんだから!!」
今のは姫親があんまり近寄って来るから・・・!
なんて言い訳は勿論しなかった。
大体、この世界のBASARAキャラどもは無意識なのか意識的なのか、接近率が高すぎる。
特に私の周りに居る若手キャラの奴ら。
更に言えば独眼竜はその筆頭。
姫親は彼ほどじゃないけど、それでも時たまこうやって思わず意識してしまう位近づいてくる事がある。
「、その先進んじまやぁ後はこの面のボスだぜ。ま、せいぜい頑張れや。」
「え!?マジで!よっし、ほら、私もやれば出来るじゃないか!」
「1面ぐれぇでよく言うぜ。」
「うるさいなー、このまま進めば絶対・・・!」
ピロピロロ・・・
チュドーーーン・・・!
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「っブハっ!!あり得ねぇっ!!!今この場面でやられやがった!!
はっはー!マジでおめぇ馬鹿だろ!?」
またしても大受けの姫親。
私はジロッとアイツを睨みつけて、手元のケータイを奴の手に押し付けた。
「ちょっと休憩!後でまた貸して。」
「休憩だぁ?まだ初めて全然時間たってねぇじゃねぇか。
やっぱオメェにゃこの手のゲームは無理だわ。」
「ムカツク・・・。」
そう呟きながら、私は持ってきた缶ジュースを取り出して開けた。
そしてそれにすぐに口をつける。
「お、いいもん持ってんじゃねぇか。」
姫親はそう言うと私が勧めるよりも早く私から缶ジュースを奪ってそれを飲み始めた。
「ちょっと・・・!?」
「ああ?何だぁ?ケチケチすんなって、ジュース1本ぐれぇ今度奢ってやっから。」
「そうじゃなくて・・・、まぁ・・・いいけど別に・・・。」
間接キス、なんですけど・・・。
意識しているのは自分だけだと知りながら、思わず顔を少しだけ赤くする。
元居た世界でも回し飲み位したことはあるけど、向こうの男友達とはやっぱり違う。
「けどおめぇも毎回同じ種類のジュース飲んでてよく飽きねぇな?」
「え?ああ、つぶつぶグレープフルーツ?」
「おぅ、はガキの頃から何か飲むつったらこればっかじゃねぇか。
いくら好きだっつってもそれだけ飲み続けりゃ飽きるのが普通だけどな。」
私は姫親が返してくれたジュースの缶をじっと見つめてから、それを一口飲んだ。
「そうね、普通はそんなもんかも。でも飽きないんだな、これが。」
「昔ッからおめぇは強情だったからな。ガキの頃のままごとで、
佐助がおふくろで自分は親父役だっつってよ。
普通あの年頃でそんな配役しねぇだろ?ありえねぇ。」
「幸村兄は息子で、姫親は娘役だったよね。」
「アアン?うるせぇ!」
「あははははは!」
少しだけ顔を赤くしてムッとした表情を見せた彼がおかしくて、私は笑った。
ホントにBASARAキャラと昔話するなんて変な話。
グレープフルーツジュースが小さい頃から好きなのも、
おままごとでお父さんの役をやりたがったのも本当のこと事ではあるんだけど。
私の記憶の一部とここの世界の人間とがごちゃまぜになってる。
それはダンボールにあった今までの日記張で分かった。
「ガキの頃と言やぁ、、おめぇ初めて会った時俺の家に乗り込んできやがったな?」
「ええ!?・・・えーーーっっと・・・、だっけ?」
「ケッ何だぁ?忘れちまったか?・・・まぁいい。あん時おめぇ、
うちが極道だって知って妙な興味持ちやがって、
うちの野郎どもの目ぇ掻い潜って勝手に俺の部屋まで入り込んで来やがってよぉ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
って、どんな子供よ・・・・・・・・・・・・。
いくら私でもそんなことはしない!!・・・・・・はず・・・。
たまにこうして日記では分からない話をされると反応に困ったりする。
しかも内容が内容なだけに。
でも、私が知る限り、どうやらこっちの私(??)も今の私と殆ど性格は変わらないみたいに思えた。
それは日記帳の字や文章は勿論、彼らBASARAキャラから聞く話の内容からもそう思えた。
「好奇心旺盛なお子様だったのよ・・・。」
「ケッよく言うぜ。」
そう言った姫親が、私の頭を軽く小突いた。
「まっ、俺は嬉しかったけどな・・・。」
「え?」
「アアン?何でもねぇ!」
ぼそりと呟いた彼の声が聞こえなくて聞き返すと、あいつはそう言ってまた私の頭を小突いた。
その後もケータイゲームをしながら、他愛のない話をして私達は時間を潰した。
「あ、授業終わった!姫親、次は出るわよね?」
「ああ、あんま抜けると周りがうるせぇからな。」
彼の返事を聞いて、私は笑って立ち上がった。
それから片手にあるジュースをグビグビと飲み干す。
「鍵は俺がかけといてやる、おめぇは先に行ってろ、。」
「え?一緒に教室もどんないの?」
「次は体育だろ、女は着替えがあんだからさっさと行け。」
「分かった、じゃ、任せたね。」
私はそう返事をして屋上の扉に向かった。
「やっぱこの場所は誰にも譲れねぇわ・・・。」
私の背中に呟いた姫親の一言は、私の耳に届かないくらい小さなものだった。
(チカちゃんと一緒)
----アトガキ-----
よーし、どうにか6話目書き上げた!
今回は元親メインで書いたので、他キャラ一切出ず。
次回は明智出す事は決定で、他は流れに身を任せます(笑)
相手キャラメインの話をところどころ絡めつつ、他キャラも出して行きたいなーと言うのが希望。
あ、このキャラとこんな話入れて欲しい!と言うのがあれば拍手からでもお願い致します。
日常のエピソード的な物を色々と増やしていきたいので。
申し訳ありませんが、その場合はキャラ個々の設定は変えずにお願い致します。
では、今回もここまで読んで下さったお客様、誠に有り難うございます!失礼致します。
ブラウザバック推奨