今日は月曜日だ。
しかも第3月曜日。
第3月曜日ってのは、毎月朝礼がある日。
私はまだここの朝礼経験が1回もないんだけど、激しく嫌な予感がする。
凄くする。寧ろこの世界でのそう言う嫌な予感は予言にも近いものがあると言っていい。
て言うか、まず、校長がBASARAキャラ、織田信長と言うこと自体、怪し過ぎる。
あの信長が朝礼台で『おはようございます、皆さん』なんてまともに挨拶するとは思えないし、
そんなの絶対あり得ないだろうから。
大体、朝礼が始まるってだけで、こんなに緊張(??)するのは初めてだ。
「ねぇ佐助、校長と教頭の挨拶は分かるけど、やっぱ生徒会長挨拶もあるの?」
「はぁ?、なーに今更そんなこと聞いてんの?
毎回伊達の旦那が派手に挨拶しちゃってるでしょうが。」
「チィっ・・・あの目立ちたがりがよぉ。周りの奴らも騒ぎたて過ぎなんだよ。」
そう、驚いた事に、この日ばかりは朝っぱらからある、例の4人揃っての妙な小競り合いがなかった。
皆ぶちぶちと文句を垂れ流しつつも、ちゃんと時間通りに登校して来てて、
私はまずそれに驚いてしまった。
いつきもそれはもう知ってたらしくて、
「いつも第3月曜ならおらたちも楽なんだべ。」と漏らしてた位だ。
恐るべし、魔王の朝礼パワー。
って、まだ思い知らされてないけど、もうこれは直感だわね。
「お前ら!もうすぐ信長様の挨拶だぞ!静かにしてな!」
突然に、隣に並ぶ1年生の列からそう声が飛んできて、私はそっちへ目を向けた。
少し高めの、声変わりしてない男の子の声。
この系の声質の持ち主は、1人しか知らない。
勿論、BASARAキャラの中で、って意味で。
私の視線の先には予想通り人物が、可愛らしいとも言える瞳でジロリとこっちを睨みつけていた。
予想通りのキャラ、森 蘭丸が。
「アアン?魔王んとこの餓鬼が、上級生に対していい態度じゃねぇか。あ"?!」
そう言って凄む姫親。
だけど蘭丸は全く怯んだ様子じゃなくて、寧ろ妙にファイティング魂のこもった目でこっちを見てる。
「うるさい!だまってろ!」
「んだと!?」
「あーー、はいはい、姫親の旦那、落ち着いて落ち着いて。」
「俺を姫親って呼ぶんじゃんねぇ!!」
そろそろ止めた方がいいかな、とか思っていると、私より一呼吸早く声が上がった。
「そなた達、いい加減にその騒がしい口を閉じよ。」
静かな、それでいて何故か威圧的な声。
もう慣れた、もう慣れたんだけど、敢えて言わせて貰えば、またBASARAキャラだよ!!
と、言う感じだろうか。彼は教育実習生って設定らしい(日記で読んだ)毛利元就。
つかつかと他の生徒の列を避けて、いや、他の生徒が道を空けて、
彼は私や姫親の居る場所まで来た。
「元親、そなたせめてもう少し声の音量を下げよ。
更に言えば留年の身で後輩に脅し文句を出すのは説得力に欠ける。」
「ああ!?おめぇ、俺だけに説教食らわす気か!?」
「姫親、元就先生と戯れてないで前見なよ、前。」
このまんま行っても平行線っぽいとしか見えなくて、仕方なく私は姫親の服の袖を軽く引っ張った。
姫親は機嫌悪さ指数満点にチッと舌打ちしつつも、結局それ以上何も言わずに前を向く。
佐助はその隣で苦笑してた。
で、そんな騒ぎ(?)がありながらも、とうとう魔王、織田信長校長のご登場。
驚いた事に、彼が姿を見せた途端、ざわついていた生徒達が、ピタリと静かになった。
水をうったように、って言葉がまさにピッタリな位に。
けど、確かにそれは凄く頷けた。
私の居る場所からあの朝礼台までは結構な距離がある訳だけど、
信長の姿が見えただけで妙に圧倒される雰囲気が漂って来たから。
まさに、恐るべし、第6天魔王。
って言っても、今から校長挨拶があるんだから、きっとその内容の方が凄いはずだ。
カッ・・・カッ・・・カッ・・・
朝礼台に登る信長の足音が聞こえ、
彼は台を登り終えてから、生徒を見下すような視線を向けてきた。
そして、思いっきり馬鹿にしたみたいに唇の端を上げて笑う。
[虫けらどもよ、貴様らに望むことがあるとすれば、
愚劣で低脳なその頭を日々僅かでも磨き上げろという事に尽きる。
我が覇道、貴様ら如き虫けらの所業なぞ、微塵の影響も受けぬがな。]
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・おい、おいおいおいおいおいおいおーーーい!!!
校長よね?いくら『魔王』でもこの人校長でしょ!?そうでしょ!?
ちょっとこれ・・・・・・・・・・・・・・・PTAとかで問題になるんじゃないの!!??
なるでしょう!!??
予想以上。
見事なくらい。
もう驚くとか、度肝を抜かれるとか、ビビるとか、そう言うレベルじゃない。
大げさじゃなくて、腰が抜けるかと思ってしまった程。
なんだけど、もっと驚いた事は、その信長が朝礼台を下りた後、佐助と元親の言った台詞。
「ケッ、今回のはいつもよりゃ甘い方だな。前々回のが迫力あったんじゃねぇか?」
「だねぇ、あの時の魔王の旦那の挨拶、今日に比べれば序の口。このまま続くとも思えないけどさ。」
って、日常茶飯事かよ!!!!????
これ以上酷い挨拶って何よ!!??寧ろ何処が挨拶よ!!??
固まる私をよそに、今度は隣の1年生の列から蘭丸の声が耳に入ってきた。
「さっすが信長様!凡人とは言う事が違うよな!」
ある意味でね!!!!!!!!!
この世界に来て、ツッコミ所が満載過ぎて、ツッコミを入れる事は止めようと思ってたのに、
最近、逆にそれが板について来てしまった気がする。
因みに、今更だけど信長校長のあだ名はまんま『魔王』。
で、蘭丸はその養子らしく、まんま『魔王の子』と呼ばれてる。
ゲームでも思ってたけど、可愛らしい顔つきとは裏腹にほんっと黒いコだ。
そこが憎めないのが蘭丸なんだけど。
[ほほ、今日は一月に1度、まろからお前たちに言葉を掛けてやると言う貴重な日なるぞ。
心して耳を傾けるがよいでおじゃる。ほほ。]
信長が朝礼台を下りた後、現れたのは今川義元。
もう、説明なんか全くちっとも全然不必要だろうけど、彼もBASARAキャラだ。
こう言っちゃなんだけど、信長の後に義元ってのは恐ろしく気が抜ける。本当に。
[風流なまろの舞でも拝むでおじゃるか?ん?まずはまろが舞いの手順を・・・・]
と、朝礼台でいきなり舞を披露する義元。
ハッキリ言って、生徒の誰も、そっちを見てないし。
本人は全く気付く様子もなくて、腰をくねらせたり手元の扇をひらつかせたりしてる。
それから約30分、義元は1人で雅について語ったり、舞って見せたりしてた。
・・・・・・らしい。途中で見るのも疲れて姫親達と雑談してたから、断言は出来ないけど。
[Good morning!しけた面晒してんじゃねぇぞ!野郎共!
俺の可愛いlady達も、笑顔で俺を迎えてくれんだろ?]
キャァァァァーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!
オオオオオオオオオオオオウッ!!!!!!!!
義元が下りたその後に朝礼台に立った『ソイツ』の言葉に、
空気が震える、なんて表現じゃ足りない音量で生徒たちが熱狂的な声を上げる。
耳がじんじん痺れるんじゃないかって大音量。
マジで、あり得ない。
この世界でのあり得ない事に、非常識な事に、慣れちゃいるけどやっぱつっこまずにはいられない。
しかも今、女生徒の反応の方が素早かった・・・・・・・絶対素早かった・・・・・・。
なんて事を考えていると、前に立っている姫親が舌打ちをした。
「ったく、ギャァギャァギャァギャァ、田舎もんどもが。」
「って、旦那、もしかしたらあんたもあそこに立つことになってたかもしんないんだぜ?」
「ケッ!だとしても、俺ぁあんな気障な挨拶なんざしねぇ。」
「ははは!ま、そーかもね。それにしても、毎度毎度、伊達の旦那のカリスマ性には驚きだねぇ。」
カリスマ性。
その一言で済まされるあんた達の方がよっぽど驚きだわよ。
と、思ってるのはこの世界じゃきっと私だけだろう。
周りの殆どが、教師も生徒も関係なく、熱狂してる。
勿論、ある1部を除いては、だけど。
例えば、目の前の2人もそうだし、蘭丸もそう、ドぐされ弟家康もそう、
それから光秀や元就、いつの間にか隅で薔薇地獄作っちゃってる塚ップルもそうだし。
幸村も多分そう。
つまり、BASARAキャラは政宗に対して『そー言う』感心は持ってないってとこ。
まぁ、仕方ないわよね、それは。
[近い内おめぇらにsurpriseな催しをpresentしてやるぜ!せいぜいイイコで待ってな。]
ニヤリ。
憎らしい位に形のいい口元を薄く上げて政宗が言った。
それに反応して、また周りの生徒が雄たけびチックに声を上げる。
まさに政宗 オン ステージ。
長嶋○雄みたいな言い回しだったのに、あいつが言うと変に様になる。
ぼけら、と、それに見入っていたら、コツン、と、姫親が軽く頭を小突いてきた。
「何よ?」
「アアン?別になんでもねぇよ。
ただ、まさかおめぇまであの馬鹿騒ぎの中心に居る野郎に目が行っちまってんじゃねぇかと思ってな。」
「え?ああ、ま、純粋に凄いな、とは思ったけど。」
「あらら、、あれを今更凄いとか思っちゃう訳?」
佐助まで私の方に向き直ってそう言ってきた。
2人の反応の意味がイマイチ分からないと思いながらも、私は軽く頷く。
「うん。けど佐助だってさっき驚きって言ってたし。」
「はは、ま、そうなんだけどな。俺が言うのとあんたが言うのは別なんだ。」
「????」
「ケッ・・・佐助、俺の隣でを口説くなんて真似はすんじゃねぇぞ!」
何故か不機嫌そうに言う姫親に、佐助はチラっと目を向けて苦笑する。
私はといえば、全く2人の言ってる意味が理解不能。
それはそれとして、伊達政宗生徒会長の挨拶は、どうやら今終わったみたいだった。
疑問。
いつから私の通う学校は、朝礼1つに2時間近くも費やすようになったんだろう?
教訓。
第3月曜日は、色んな意味で覚悟が必要だ。
(我が校の朝礼挨拶)
----アトガキ-----
濃姫を出せなかった!!!元就は予定外にこの回で登場させてしまいました。
幸村も結構登場回数少ないし、どうにかせねば。
しかもパラレルトリップ連載の更新久々!?いかんな。
でも書いててかなり楽しかったです。無駄に長い文章になりましたが(笑)
それから今回名前変換が極力少なかった事をお詫びします、申し訳ありません。
では、今回ここまでのお付き合い、誠に有り難うございます。失礼致します。
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