「アアン? ?アイツがどうかしたのか?」
「HA!おいおい、今更野暮な事聞くもんじゃねぇぜ。
最近この猿の奴が人目も憚らず、と仲良くやってんのは知ってるだろ?」
「違ぇねぇ!けどよ、猿飛、仮にも教師なんだ、オメェちったぁ周りを気にしろよ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
HAHAHA!
はっはー!
職員室内。
佐助を揶揄する如くそう口にし、元親と政宗はさも楽しげに同時に笑い声を上げる。
佐助は無言で二人に恨めしげな視線を送っていたが、
やがて深い溜め息と共に頭を掻き毟った。
「ああー!くそっ!やっぱアンタらに相談を持ち掛けようとした俺様が馬鹿でした!!」
「ま、そう腐るんじゃねぇよ、猿飛。それで?アイツの何が訊きたいんだ?
知っての通り俺はアイツのクラスの担任だ、話によっちゃ相談に乗るぜ。
オメェの可愛いチャンのことをな。」
言い終えると、元親は再び豪快な笑い声を室内に響かせた。
政宗も未だニヤニヤとした嫌な笑みを口元に浮かべていた。
彼らは明らかに現在の佐助の状況を面白がっている。
常は飄々とした態度で周囲に決して本音を見せぬ佐助であったが、
今回ばかりは心底困惑しきっている様子だった。
それ故に、政宗らにとっては今の彼はからかうに格好の餌食なのである。
「あんたらマジで性格悪いわ!!
ったく、真田の旦那ははなっから俺のこと信用してくれねぇし。
俺様可哀相っ!!・・・・・・・・やっべ、マジ泣きそう・・・。」
「ん?どうしたい?三人揃って。
おっと、もしかして、恋の井戸端会議でも開いてるってとこかい?」
今し方職員室に戻ってきたばかりの慶次が三人に声を掛ける。
その口調は元親達とは違い、揶揄する響き等帯びて居なかった。
元より、慶次に限っては色恋沙汰の含まれた会話内容は日常茶飯事と言える。
「Good job!どうやら猿の奴に春が来たらしいぜ。青い春が、な?」
「はっはー!言えてらぁ。俺はしょんべんくせぇガキなんか御免だが、
はああ見えて中々人気もんだぜ。オメェにゃ丁度いいかもな。」
「おおっ!?生徒に恋しちまったのかい?
そりゃまた・・・苦しい恋を選んじまったもんだなぁ。」
政宗と元親の説明を真に受けた慶次は、神妙な顔つきで幾度も頷いた。
「こらこらこら!なーに言っちゃってんの!?
俺様確かに女の子は大好きだけど、さすがに生徒に手ぇ出す様な真似はしないって!」
「さんかー。あのコは俺の顧問の陸上部だが、すっげぇいいコだぜ。
惚れちまうのも仕方ないってね。」
「おーい、人の話はきちんと聞きなさいって!」
佐助の言葉を全く無視し、慶次は話を進めていく。
以前から知らない訳ではなかったが、
と言う生徒は同級生やクラスメイトのみならず教師達からの評判も高かった。
陸上部ではエースと呼ばれ、成績も常に上位に入っている事は、
佐助もある程度周囲の者から聞き及んでいる。
だが、彼女の性格については深く関わった事が無い為よく理解していなかった。
が佐助に所謂『突撃』を開始し出したのは一箇月ほど前からだ。
それまで彼は評判のいい人気者のあの女生徒を『明るい優等生』だと思い込んでいた。
それがとんでもない勘違いであったことは今更説明するまでもない。
「つーか・・・あのコ・・・絶対俺様で遊んでるとしか思えねぇんだけど。」
ボソリ。
誰に聞かせるでもなく、佐助は呟いた。
彼の側に居た三人の視線が同時に此方に注がれる。
「What?何でそう思うんだ?」
「ま、今の女子高生ってのは何考えてんのか分んねぇからなぁ。」
「んー、けど、さんはそう言う擦れたとこは全然ねぇけどなぁ・・・。」
「いや・・・『遊ぶ』って言ってもそう言う意味じゃねーっての・・・。」
苦笑と共にそう答え、佐助は深い溜め息を吐いた。
「俺とあのコの会話聞いたら分かると思うぜ。
あれは絶対イケメン教師に恋する乙女って感じじゃねぇもんなぁ。」
やーれやれ、困ったもんだぜ。
尚もごちる佐助に対し、政宗はククッと喉を鳴らして哂った。
「そう言う方向に逃げてられんのも今の内だ。
あの年頃の女のpower舐めてると足元掬われるぜ?」
「はっはー!コイツの言う通りだ、猿。
しょんべんくせぇガキでも女は女。痛ぇ目みねぇよう気ぃつけな。」
ニヤリ。
元親は政宗の言葉に同意を示し、口角を上げる。
慶次も彼らの台詞に大きく頷いて見せた。
「ああ、俺もそう思う。あのコ達の恋の力ってのは侮れねぇよ、ホントに。
あんたが思ってる以上に、さんは本気であんたに恋してると思うぜ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
佐助は無言で三人を眺めた。
彼らは校内で佐助ととのやり取りを目撃した事がある様だが、
それはあくまで遠目からであって、会話まで耳にしている訳ではない。
そして既に佐助との間で毎朝恒例となってしまっている、
突撃登校を直接目にした者はこの中には居ないだろう。
「いやぁ・・・やっぱあのコのアレは恋なんて甘いもんじゃねぇだろー・・・。」
彼がそう結論付けた瞬間と、
その後すぐに話題の中心であるが職員室内に姿を見せたのは、
ほぼ同時だった。
彼の受難の一日が、今日も始まる。
(終わり)
気になるあの子
頼むからさ、俺の中、あんま引っかき回さないでよね、ホント
後書き
って言うか、学生とノリの変わらない教師達だな、おい!!(笑)
一応キャラは皆教師です。特に細かい設定は決めていないですが、
ありがちなとこで行くと政宗は英語、元親は日本史、慶次はー・・・何だろ(おいい
とにもかくにも一応皆教師です。今回ヒロイン名前だけですが、
自分で書いてて謎が深まってしまった。あんな性格のヒロインなのに人気者設定って(苦笑
きっとバサラ系の学校だから個性派じゃないとやってけないんだ、そうに違いない。
ではでは、ここまでのお付き合い、誠に有難うございました!失礼します。
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