クリスマス到来。
12月に入って、嫌でも街はクリスマス一色。
仏教徒の人間も、そうでない人間も、
あんたも君ももどいつもこいつも浮き足立つ。
まぁ、勿論私も例外じゃないんだけど。
特に、このBASARAな住人に囲まれたクリスマス、
何かあってもおかしくないと思うのが普通ってもんだろう。
そしてきっと、『彼ら』は期待を裏切らない。
佐助の言葉じゃないけど、『何でも有り』なこの世界、なんだから。
「あり得ないから!!!」
学校に到着して、校門前、私は驚きすぎて思わず声を上げた。
今日はクリスマスイヴの土曜日。
普通なら学校なんかない訳なんだけど、
例の暴君生徒会長の提案で、クリスマスパーティが開かれることになった。
そう言えば、朝礼でキザったらしく長嶋茂○風に、
『近い内おめぇらにsurpriseな催しをpresentしてやるぜ!せいぜいイイコで待ってな。』
とか言ってた気がする。
それはこれのことだったんだと今更ながら思う。
で、何があり得ないかといえば・・・・。
今日は確かに恐ろしく寒くはあるけど、雪は降ってない。
昨日もちらついた程度で積もることもなく止んでしまった。
・・・・・・・・・はずだ。
って言うか、絶対そうだった。
ここに来るまでだって、雪は全く降らなかったし。
なのに、なのに。
銀世界。
学校の敷地内は、それ以外の何物でもない状態になっていた。
地面は勿論、校舎の屋根も、校庭も、どこもかしこも真っ白な雪が降り積もっている。
純白の雪で覆われた、そりゃもう雪国か!って位見事に綺麗に。
「これっておかしくない!?ねぇ、そう思うでしょ?いつ・・・」
き。
と、隣に居たはずの我がBASARA系妹の彼女に声をかけたんだけど、全く聞いちゃいなかった。
いつきは一瞬にしてその顔を輝かせて、そのまんま、雪に向かって突進していく。
「雪だ!!雪だべ!!あはははは!!」
嬉しそうにそう言って、雪を掴んでは空中に投げる。
砕けた粉雪がキラキラ舞いながら、また、いつきの上に降っていく。
さすが北国キャラ、とでも言うべきか。
一応パーティって名目だからいつきも含めて盛装してるんだけど、それもおかまいなしみたいだ。
「あらら、無邪気だねぇ、お子様は。」
「チッ、もっと厚着して来るべきだったな。寒くて仕方ねぇ。」
「安心するでござるよ、長曽我部殿。いつもの破廉恥な軽装よりはマシに見えている故。」
「アアン?おい、幸村、おめぇ今俺に喧嘩売ったか?」
「フン、オメェらと居ると煩くてかなわんな!わしは先に行かせてもらうぞ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
こいつ等の会話、噛み合ってないし。
私の叫び、無視の方向に片付けられてるし。
家康が私の隣をすり抜けて先に校舎に入って行く。
その途中、急にクルリ、と、私の方へ振り返った。
「何よ、家康?」
このドぐされなBASARA系弟は、口を開けば憎まれ口ばかり叩く。
なので、私は思わず身構えて言った。
家康は、じっと私を見つめた後、また背中を向けて一言。
「馬子にも衣装とは、、お前のことだとわしはつくづく悟ったぞ。」
「・・・・・家康君って、ほんっっっとに、いい性格です事!!!お姉ちゃん嬉しい!!!」
ドズゴッ。
「だぁっっ・・・・・・!!!」
青筋を顔全体に貼り付けて、すかさず右ストレートを繰り出した私。
頭を抱えて思い切り抗議の視線を向けながら、家康が怒鳴る。
「貴様!!またわしの頭を殴ったな!?褒めてやったんだろうが!!!」
「褒める!?褒める!!??HA!家康!女の子にモテたいならLADYへの褒め言葉をもっと学びなさいよ!!」
「・・・おいおい、ってば喋り方に伊達の旦那入っちゃってるよ。」
「ぬぅ!余り良いとは言い難い影響を受けているでござるな。」
「・・・・ケッ・・・下らねぇ。」
私と家康がやり合っている間、脇に避けている3人は言いたいことをいっている。
因みに、いつきは未だに雪遊びを続けているみたいだった。
「くそ!貴様なんぞ、この先わしは一生褒めてやらんぞ!暴力女が!」
捨て台詞と一緒に、家康は校舎の奥に消えた。
「家康の奴・・・!!」
「まぁまぁ、。あれでもあんたに対する精一杯の褒め言葉のつもりだったらしいからさ、機嫌直せって。」
言って、佐助が私の肩に手を置いた。
って言うか精一杯の褒め言葉が『馬子にも衣装』なんて、ふざけてるわよ、本当に。
「はいつでも可愛いぜ。でも、ま、今日は特別そうだけどね。」
「・・・・え?」
耳元。
不意に囁く程度の声で佐助が言った。
ビックリして、私は思わず彼を見る。
幸村と姫親は会話中で、それには気付いてないみたいだった。
「Hey!佐助、気安くの体に触んじゃねぇよ。」
突然、佐助が手を置いているのとは反対側からそう声をかけられる。
「・・・政宗先輩・・・!」
「・・・伊達の旦那。」
珍しく佐助が一瞬身構えるような顔を見せた。
でも、すぐにいつもの表情に戻る。
「気安くってのはないんじゃない?俺たち家族だからねぇ。」
「HA!随分下心のあるFamilyじゃねぇか?」
「何言ってんのよ!」
私がそう言って軽く政宗を睨みつけると、奴はまた薄くて綺麗な唇の端を、ニヤリ、と上げて笑った。
「honeyそう怒るなって。アンタがいつもより更にBeautifulなんで、ちぃと心配になっちまっただけだ。」
「なっ・・・何を・・・・!」
ボフン。
と、顔が一瞬にして真っ赤な火を噴く。
コイツはよくもまぁ平気でこんなことを言えるもんだ。
それでなくてもこっちは遠巻きに『伊達政宗生徒会長』を見ている女生徒達の視線に耐えてるって言うのに。
元々、幼馴染の姫親や家族な幸村や佐助自体、人気があるから嫌でも目立つんだけど。
加えて言うならあのクソ生意気な家康も、あれで中々人気がある。
それからいつき、彼女には密か(??)に『いつきちゃんを嫁にし隊』と言う、
何故か北国なまりの男子生徒達が作ったファンクラブみたいなものもあったりする。
「おい!!おめぇ、から放れろや。」
「伊達殿!!我が妹に手を出す事!!許さぬぞ!」
いつの間にか私たちに気付いた幸村と姫親が言った。
政宗がちらっと2人に視線を向けて、わざっとらしい溜息を吐く。
「やれやれ、暑っ苦しい兄ちゃんと元親まで一緒か。」
「ケッ、生徒会長さんよぉ、おめぇこんなとこで油売ってていいのか?あ"?」
「佐助!そなたは少し兄として自覚が足りぬぞ!!」
「自覚ねぇ?そう言う旦那はどうなの?」
・・・・・・・まーーーーーた、始まったわね・・・こいつ等は・・・。
額に手を宛てて、思わずハァーーーっと私は深い溜息を吐いた。
その長い溜息が、白くふゆふゆと辺りを漂って、それから空気に溶ける。
クリスマスにまでこれなんて。
「姉ちゃん・・・!姉ちゃん!」
「いつき!」
「しっ!こっちだべ、おらと先に校庭さ行くだ。」
「ん、いつも有り難う。」
ひそひそ声で会話を交わして、私は私の手を取ったいつきと一緒に第1会場の校庭へ向かう。
辺りはそろそろ暗くなり始めていた。
それに、もうかなりの人数の生徒が校庭に集まってる。
校庭の丁度真ん中には、見上げるほど大きなもみの木。
飾りがあんまり豪華で傍に近寄った時点で私はあんぐりと大口を開けてしまった。
何ていうのか、飾りのひとつひとつ、絶対高価なもんばっかりだ。
しかも色とりどりの電飾が、まさに宝石箱を引っくり返したみたいにキラキラと光り輝いている。
赤、青、黄色、緑、とにかく思いつく限りの色が眩い光を放っていた。
「伊達財閥と長曽我部組が協力したらしい。言い出したのは伊達の方みたいだがな。」
「かすが!」
振り返ると、黒のシックな、それでいて彼女の色気を最大限引き出す為に作られた様なドレスを着たかすががそこに立っていた。
「あいつ等はやることが派手過ぎる。人口雪まで持ち込むなんて。」
「派手好きなのは政宗先輩だけだと思うけどね。姫親は方向性が違うから。
でもほら、かすがもこのツリーの前で謙信先生とロマンチックに過したりしたいんじゃないの?」
「なっ・・・わたしはっ・・・!」
カァッ
一瞬にして真っ赤になるかすが。
分かり易い。
そしてホントに可愛い。
かすがは赤い顔のままで、軽く睨むみたいに私を見てから口を開いた。
「そう言うはどうなんだ?好きな相手はいないのか?」
「・・・・・え?私!?」
思いもしない切り替えしに、私は動揺して言った。
「わっ・・・私は別に・・・・・・・・・。」
なんて言いつつ、思い浮んだ顔が、3つ。
って、3人!?普通は1人でしょ!?何者よ!私!!
その顔を掻き消す為に頭をブンブン左右に振り回していると、
かすががジッとその反応を観察するような目で見ていた。
「いないからね!!そんな相手!!いませんから!!」
力強く否定すると、かすがは少しだけ不思議そうな顔をして、
でもすぐにその視線が私から外れた。
「・・・かすが?」
「ああぁ・・・あの方が・・・・っ・・・!」
例えるならピンクのオーラを発散して、彼女が夢見るようにうっとりした目つきでそう言った。
『あの方』彼女がそう口にすれば1人しか居ない。
と言うか、そう言う事が今問題なんじゃなく、
彼女達がこのロマンチック溢れる雰囲気でこのツリーの前に2人揃ってしまった時の事を考えると、
さすがに恐ろしいものがある。
北条の爺ちゃんじゃないけど、『阿鼻叫喚』の図が出来上がるかもしれない。
『愛の花園』はこの雪とツリーにはある意味じゃお似合いかもしれないけど、
そう言う悠長な事を言ってる場合じゃないんだから。
「かっ・・・かかかすが!!謙信先生、多分今は忙しいと思うよ。
それにほら、周りにこんなに人が居たらムードぶち壊しだし・・・ね??」
って言うか、負傷者多数、我が軍壊滅状態です、に、陥る可能性、無限大。
かすがは未だにとろんとした瞳で頬を染めつつも、小さく頷いてくれた。
今、半径10メートル以内、ラブテリトリー内になるはずだったこの場所に居た生徒は、
私に感謝すべきだと思った。本気でそう思った。
もうすぐ、クリスマスパーティが始まる時間だ。
既に充分驚かされはしたけど、この先、一体どうなることやら。
(BASARA的クリスマス-続く-)
後書き
長々と書いてしまいましたが、ネタ的に後半ギャップ有りな程短くなりそうな予感です。
まだ書いていないので分かりませんが。
しかも連載の番外編にしては時期的に辻褄合わない部分を自分で発見。
もし万が一気付いた方も、スルーして下さる事を切に願います(笑)
補足、幸村は極度のシスコンと言う設定で、他3人とは微妙に心境が違います。
本当の意味で熱いバトルを繰り広げて居るのはメインの3人と言う事で。
では、ここまでのお付き合い、誠に有り難うございました!失礼致します。
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