「・・・すまない、長くここを空けてしまったな。」
夜空を仰ぎ見ていたの室内に静かに足を踏み入れたその男は、
女人と見まごうばかりの端正な顔立ちを持ち、凛とした雰囲気を漂わせていた。
振り返ったはその男、周瑜に向かって艶やかな笑みを向ける。
「これは周瑜様・・・ふふ、お久し振りにございます。」
月明かりの差込むその窓辺に立っている彼女の輪郭はぼんやりと白んでおり、
まるで今月から降り立ったばかりの天女のようにさえ周瑜の瞳には映っていた。
薄布から彼女の美しい曲線をたたえた肢体が、その白んだ明かりで透かし見える。
彼はその姿に魅せられた如くの傍まで近寄ると、その華奢な身体に腕を絡ませた。
「、お前はいついかなる時に訪れようとも、私をその美しい微笑で迎えてくれるな。
それ故に私はお前に心奪われ続けるのだ・・・・。」
「周瑜様・・・貴方様を想えばこそ、私も笑ってお迎え出来るのです。
唯の少しの時間だとしても・・・貴方様と時間を共有できること、それが私の幸せ。」
は夢見るような瞳でそう口にし、自らもその細い腕を彼の身体へと回す。
そして彼の絹糸を思わせる黒髪に白い指を滑らせた。
「・・・すまない・・・ここまで私を想い、私もお前を愛しく想っていると言うのに・・・、
それでも私は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「仰らないで下さいませ・・・!」
刹那。
僅かにが声を震わせた。
そして悲しげに眉を寄せ、その唇を彼の唇へと寄せる。
周瑜は言葉を紡ぐ事を止めると、そのまま彼女へ口付けた。
小刻みに震えているの唇を既に熱を伴い始めた己が唇で覆い、舌で割り裂く。
それを受け入れた彼女の舌と彼との舌がすぐに絡まりあった。
幾度となく角度を変え、離れては重なり、強く求め合う。
喉を灼く互いの吐息が欲を煽り、恋情を高めた。
「周・・・瑜・・・様・・・・・・」
微かな距離で唇を離し、掠れた声で彼の名を呼んだの瞳は、僅かに潤んでいた。
息を荒くし始めた周瑜の熱い吐息が彼女へと吹きかかる。
「このままお前の身も心もこの場所から奪い去る事が出来るならば・・・、
私はお前に何も望みはしない・・・。心からそう願って病まぬのだ・・・。
それは真に私の心・・・、それだけは信じて欲しい・・・。」
彼の言葉には再び哀しげに笑んで見せた。
否定とも肯定とも取れるその表情に、周瑜は切なげに眉根を寄せる。
そして再度腕に力を込めると、彼女を強く抱きしめた。
彼の背中に回しているの細い腕が、それに反応して衣服を握り締めるように掴む。
「周瑜様・・・私は・・・貴方様がこうして会いに来て下さる以外は何も望みは致しません・・・。
ですから・・・どうか・・・・・・どうか・・・・・。」
そこで彼女は言葉を切り、ゆっくりと彼から身を離すと、
その潤んだ眼差しを真っ直ぐに周瑜へと向けた。
「今宵もどうかお慈悲を下さいませ・・・。私の身も心もとうに貴方様のもの・・・。
どうか今宵一夜・・・次の逢瀬も貴方様に笑顔を向けることの出来る勇気を・・・。」
「・・・!」
彼女の口から紡がれた言の葉に、彼はまたその細い身体に腕を回した。
そして彼の手がゆっくりと彼女の腰紐を解く。
シュル。
抜かれた腰紐で薄い衣服が乱れ、月明かりの下に透き通る白い肌があらわれる。
周瑜はの胸元から手を差し入れ徐々に衣服を肩から下へと滑らせた。
ハラリ。
「・・・お前は美しい・・・。私がこの時間を永遠にする術さえ知りたいと願ってしまう程にな・・・。」
「周瑜様・・・。」
これ以上貴方様との時間が増えてしまったら、
私はきっと、貴方様への想いで気が触れてしまうでしょう。
嫉妬に身を焦がし、醜い憎しみを纏って・・・。
瞳を閉じ、彼に身を委ねながら、彼女は再び、心の内でそう哀しく笑んでいた。
逢瀬。
その瞬間が長く続くことを願いながら、
それでも決して踏み込めない壁を挟み、二人はまた今夜も束の間に愛し合うのだった。
(終わり)
-------------------後書き---------------------------------
周瑜は何処!?何処よ!?と言うツッコミはこの部屋にはあり過ぎるのでなしで。
企画部屋第1号は初の周瑜夢でした・・・。しかも含みのありまくりな後味に微妙感漂う感じに。
このような作品にお付き合い下さった方々、有難うございます。
そして何より周瑜の名を上げて下さった尊敬管理人瑞穂様、有難うございます。失礼します。
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